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大岳山周回縦走

《山行概要》
JR武蔵五日市駅(08:20)⇨軍道(08:50)⇨高明山(09:30)⇨馬頭刈山まずかりやま(09:45)⇨大岳山(11:00)⇨御岳山(11:40)⇨日の出山(12:15)⇨金毘羅山(13:15)⇨JR武蔵五日市駅(13:45)

総距離:31.5km
累積標高:1,782m / 1,780m
日付:2022年4月9日

山行地図(注1)

東京には登山のイメージはあまりないかもしれません。

言うまでもなく都心は大都会。世界屈指のメトロポリスです。しかし、それは東京の一面に過ぎません。

文明の喧騒かまびすしい雑踏で見上げる摩天楼スカイスクレイパーを背にして平野を西に走れば、奥多摩の重畳たる山脈に阻まれます。この、寂寥せきりょうの感さえ帯びる眼前の深山幽谷も、同じ東京都です。しかるにここには数々の名峰があり、多くの登山者を魅了してやみません。

奥多摩にはそう遠くない過去のひと時、開発の波が押し寄せました。それについては詳述しませんが、結果としては、太古から受け継がれてきた自然の多くがそれにあらがい、残りました。ここでいう自然には、人間の営みとは無関係に自然が紡いできたもの(主に高山帯)と、人間の営みと密接に関係しているもの(主に里山を含めた低山帯)に大別できます。

それぞれが特有の趣を備えていますが、今回は典型的な後者をつなぐルートです。太古から人間は自身の生存のために山を利用してきました。ですが、それは対立関係ではなく、自分たちもその一部であり、それに生かされているということを前提とするものでした。すなわち山が健全に保たれていることそれそのものが命を繋ぐ条件であり、ある程度は人為によって自然を制御しつつも、同時に畏れ、山を大切に守ってきました。

こうして守られた山には、現在も豊かな植生が残されています。特に、芽吹きの季節である春は多様な野草との出会いがあり、それらを通じて、私たちの祖先が先達として何を大切にしてきたのかを教えてくれます。春の花が特に多いルートを巡ってきました。

JR武蔵五日市駅を出発。桜が満開でした。
アスファルトの隙間から芽を出しているスミレ(「スミレ」という名のスミレです。この種としてのスミレを、植物分類学上の属としてのスミレと区別するために、「ホンスミレ」と呼ぶこともあります。)
スミレは極めて強靭な植物で、このように光合成に必要な光を奪い合うライバルが選ばないところで芽を出しているのをよく見かけます。
セリバヒエンソウ。関東地方の里山ではよく見かけます。
徳雲院の桜は満開。
綺麗ですね。境内には大きな桜の木が複数あり満開を迎えると見事ですが、あまり知られていないとみえ人が少なく、とても静かです。
軍道の集落にて。イモカタバミ。都会の道端でもよく見かけます。
同じく軍道の集落にて。アリアケスミレ。人家に近い里山の道端でよく見かけます。山の中で見つけることはまずありません。
同じく軍道の集落にて。畑に植っていたボケの木が鈴なりの花をつけていました。
同じく軍道の集落にて。民家の石垣に咲いていたタチツボスミレの集団。ボケの深紅の花びらが落ちています。スミレの種にはアリが好む蜜が付いていて、アリによって運ばれることにより、このように石垣から芽吹くことがままあります。
同じく軍道の集落にて。青空に映える満開の桜。
同じく軍道の集落にて。ムラサキハナナの花。中国原産ですが関東地方の里山では野生化し、ごくありふれた野草です。
馬頭刈まずかり尾根に取りつきます。ナガバノスミレサイシンがあちこちで咲き始めています。
こちらもナガバノスミレサイシン。
ヒナスミレも。大事に山が守られてきた証拠です。
高明山山頂直下、高明神社跡の碑。地元の人たちがこの山を大切に守ってきたことがわかります。
馬頭刈尾根にて。素晴らしい!
これはフモトスミレです。その名前に反して、麓ではみかけません。
同じく馬頭刈尾根にて。イワウチワ。咲きかけの個体を見つけました。
大岳山の周辺で観察されるのですが、個体数は多くありません。思わずうっとりと見つめてしまう、とってもかわいい花です。
馬頭刈山から富士見台の間に名もないピークがあり、富士山方面の遠景に優れることで知られています。今日は霞が強くて富士山は残念ながら見えませんが、素晴らしい眺望です。
ベンチもあり、ここでしばし休憩。
歩みを進めて、大岳山山頂に到着。ここからの眺望も素晴らしい。
大岳山も、ナガバノスミレサイシンが花盛りでした。
大岳山から御岳山の間の沢沿いにはハナネコノメが。かわいいですね。
ツルキンバイの花が咲いていました。
葉は三出複葉、菱状卵形で深い鋸歯。
高尾や奥多摩でよく見かけるキブシ。春は花の季節です。
御岳山山頂に到着。御嶽神社にお参り。
金毘羅尾根も花の宝庫。オカスミレ。
同じく金毘羅尾根にて。シャガ。
東京の低山ではよく見かけます。
同じく金毘羅尾根にて。ミミガタテンナンショウ。
同じく金毘羅尾根にて。ニオイタチツボスミレ。
このほか金毘羅尾根では様々な花を見つけました。桜も綺麗でした。
そして、JR武蔵五日市駅にゴール。今日もすごく楽しかった。お疲れ様です!

(注1)
《国土地理院コンテンツ利用規約に基づく表示》

出典:国土地理院ウェブサイト(地理院地図:電子国土Web)

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