宇宙の詩(そらのうた)

いつの日かは覚えていない。ただ場所だけは記憶に焼き付いている。夜明け前の比叡山延暦寺。根本中堂への山道を登る時の夜明け前だった。

いつその「歌」というか音に気付いたのかは定かではない。邯鄲や草ひばりの声に似てはいるのだが、それは普通横か木の上からしか聞こえてこない。

その音は、驟雨上がりの星の大河から聞こえてくることに気付いた。一言でいえば天の川、いわゆる地球から見た銀河の中心だが、生まれて初めて見たそれは月明かりもない新月なのに、とても眩しく感じた。比叡山延暦寺そのものが原生林で、(当時は)オオクワガタ取り放題という条件もあったが。

気になったので、足を踏み外さないように注意しながらもその音が何かを、少ない脳のデータから検索開始!最初は虫の声と感じたが、良く聞くと弦楽重奏曲らしい。邯鄲や草ひばりの音声も、羽の構造を調べたら弦楽器なので似ているのは当たり前だが。

東の空の地平線近くからは重低音ひとつと低音ひとつ。すこし上空からは軽い音源が二つ。そして銀河の中心からはトルコ行進曲?か密教のサンスクリット語声明・グレゴリオ聖歌っぽい音が。


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