ぷりんけぷす

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超短編小説 短編小説 ショートショート 時々長め 出来る限り日々アップしていきます。 聞く小説も制作してます。 ⇨ https://youtube.com/user/thepicaro1

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  • 自称・ぷりんけぷすの超短編小説集

    超短編 ショートショート集です。主に死と愛と笑がテーマです

  • 超能力研究会

  • 自称・ぷりんけぷすの聞く小説

    表現の一つとして小説に音楽を合わせています。

最近の記事

シン死神 短編

 サトシは今日こそは必ずプロポーズをするんだと鏡の内側にいる自分を睨み言い聞かせながら最終チェックを済ませた。その時サトシのスマホがいつもより強く震えた。  見覚えの無い番号の正体は近所の総合病院だった。 「杉村サトシさんの携帯ですか?実は・・」  内容は京子が昨夜遅くに交通事故に遭い病院に搬送され未だに意識不明の状態との事だった。     京子とは言うまでも無く本日サトシがプロポーズをする予定の相手だ。  一瞬だけ一張羅のスーツを着替えてから病院に向かうべきか悩んだが

    • 超能力研究会 浮く 超短編

       月曜日。全校朝礼の最中一通のメールが届いた。 「拓也。今日の放課後時間ある?」真奈美からだった。  放課後。僕の所属しているバドミントン部は月曜は基本筋トレだけだが、高校最後の大会前だから休む訳にはいかない。 「おい。柴田」担任の川口が僕のすぐ後で声を上げた。  慌てて僕はスマホをポケットにしまい、首だけ動かし頭を下げた。 川口はフンと鼻息を吐き出し、役目を終えたロボットの如く元居た位置に戻って行った。  朝礼が終わり、教室に向かう途中の廊下で真奈美に肩を叩かれた

      • 南の島にて 超短編

         全てをやり切った。これだけやっても世界は何も変わらなかった。果たして誰かは救われたのか?本当に誰かに必要とされたのか?もっと頑張らなければダメなのか。いや、もういい。どうせ同じだ。  都会にしても田舎にしてもどうせ窮屈に感じる。この世に救われる場所なんて無い。ひょっとすると広い海ならば、まだどこか隙間に入れてもらえる余地があるのでは無いか。  田中は沖縄の離島行きの飛行機に乗り込んだ。どうせならば綺麗な海が良いと思ったからだ。  人は辛い時ついつい南の方に流れて行くと

        • 腕時計 超短編

           最近時計が私の事を焦らせてくる。  いや、別に概念的な話では無く物理的に焦らせて来るのだ。  ある日、いつものように腕時計に目をやると想像していたより時計の針が大幅に進んでいた。  約束の時刻に間に合わないと思い慌てスマホを取り出すと20分くらい腕時計の時刻が進んでいただけだった。  その時は別段気にも止めず側面にあるツマミで時計の針を合わせ直した。  後日また時計の時刻がずれた。  流石に故障なのかと思い近所の時計屋に持ち込んでみたが店主から何処も悪いところは見

        シン死神 短編

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        • 自称・ぷりんけぷすの超短編小説集
          74本
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          6本

        記事

          もしもしかめよ 超短編

           もしもしかめよ かめさんよ せかいのうちで おまえほど あゆみののろいものはない どうしてそんなにのろいのか  浩司は歩いている最中、ふと子供の頃の記憶が蘇った。不安定な畦道を友達と歌を歌いながら歩いた記憶。  毎日の様に朝から日暮れまで遊び、次の日また次の日。何も考えなくて良かった。  ああ、あの頃は楽しかった。  いつからだろう。明日が来るのが楽しみじゃ無くなったのは、ただ黙々と日々を消化するだけで、気付けば空を見上げる事も無くなり、姿も見えない何処かの誰かを傷つけ

          もしもしかめよ 超短編

          殺人の動機 超短編

           今野検事はタバコの煙を深く吸い込み喫煙所を埋め尽くす程に大きく煙を吐き出した。  今野検事は明日に迫っている勾留期限に焦燥感を感じていた。被疑者 喜多川晴夫(36)は連続殺人犯として先日検察に送致されて来た。  現行犯逮捕という事もあり起訴する事自体は概ね決定しているのだが喜多川の殺人の動機だけがどうもはっきりしないのだ。  警察からの調書によれば喜多川の犯行は終電の時刻頃に駅から出てくる女性の跡をつけ、人通りが少なくなった所で殺害すると言うものだった。被害者の数は実に5

          殺人の動機 超短編

          Heaven 超短編

           けたたましい銃声が行内に鳴り響いた。  次の瞬間に女性客の悲鳴と共に行内が混乱に包まれそうになるが、二発目の銃声と同時に静まり返った。  私自身はまるで初めての光景に震え動く事が出来ない。以前支店長が若い頃に一度銀行強盗に遭遇したと話していたが、幸運にも支店長は一昨年退職していたので二度目の遭遇は避けれたのだ。  パッと見た感じで犯人は5、6人。可能性を思えば行員にも協力者が居る恐れもあるので正確な人数は計り知れない。  たちまちに出入り口のシャッターを降ろされ、私

          Heaven 超短編

          水 超短編

           私は酒をよく飲む。自分で言うのもなんだが、毎日かなりの量を飲む。  そして寝る前に大量の水を飲む。その日飲んだ酒のほぼ同量を飲む。酒を飲む人なら分かると思うが、酒を飲むとやたら喉が乾く。  まぁ毎日大体そんな感じである。  ただ最近ふとした疑問が浮かんだ。  この大量に摂取している水は一体何処に行っているのだろうと  もちろん酒を飲んでいる最中トイレに行く事もあるのだが、多分他人と比べて私は極めてその数と量が少ない様に思う。どう考えても摂取した量と排出した量が合わないの

          水 超短編

          素晴らしき世界 超短編

           小説家とは全知全能な存在だ。  自身で世界を創り上げ、自身で思う様に操る事が出来る。  例えば、のどかな牧場で老夫婦が質素ながらも日々を仲睦まじく暮らしている。  突如としてして規格外の嵐に見舞われ家ごと飛ばされてしまう。   たった一行だけで老夫婦の平和な生活を一変させる事が出来るのだ。  そのまま老夫婦は上に上に空高く運ばれ雲の上に着地した。そして天上世界での新たな生活が始まった。そう老夫婦は神に選ばれたのだ。  みたいなSF的な展開にしても構わない。  ある

          素晴らしき世界 超短編

          トンカツ 超短編

           妻が急にダイエットを始めると言い出した。「出来ればあなたも付き合って欲しいの。その方が食事のメニューとかも便利でしょ」まぁ私も40歳を越えた辺りから腹回りの贅肉やらが気にはなっていたので妻の申し出に私は快諾した。  そして、翌日ダイエットノートなる物を妻から提示された。早朝のジョギングから休日のプールでの運動、カロリーの計算式などがノートにビッシリと書いてある。  これは見事なものだと、妻の方に目線をやると、思った以上に誇らしげな表情をして反応を待っていたので「見事なも

          トンカツ 超短編

          魔王 超短編

          「魔王様。新たな勇者の団体が確認されました」 「そうか、そいつらは強いのか?」 「戦力的には、まだ全然駆け出しなので脅威には至りません。ただ」 「ただ?なんだ?申してみよ」 「人数がやや他の団体に比べると多い様子です」 「どのくらいだ?」 「200名程だと報告を受けています」 「それは多いな。今の間に潰しておけ」 「かしこまりました。魔王様。直ちに対処致します」  私は勇者が私のレベルにまで成長するのを待つなどと言う武士道精神は持ち合わせてはいない。私は出る

          魔王 超短編

          ある晴れた夜の真下で 超短編

           ある晴れた夜。窓から空を見上げると眩いばかりの満天の星空が広がっていた。そんな中、本来ならば堂々としていて良いはずの月だけがやけに控えめに見えた。  ふと気が付けば3年前に死んだ妻がテーブルを挟んで前の席に座っていた。 「これは夢なのか?」 「そうかもね。触ってみる?」  私はいつものように深夜一人、リビングで晩酌をしていた。妻の死は意外な程迄に私を落ち込ませた。結婚してから20年余り連れ添ったが妻が生きている間には意識していなかった。側にいて当たり前。煩わしさこそ

          ある晴れた夜の真下で 超短編

          青の証明 超短編

           休み時間を告げるチャイムが鳴り、シンジは義務を果たしに行くかの様にトイレに向かう。  トイレでは既に友人達がタバコをふかしていた。シンジもタバコに火を着け煙を吐き出し不味そうに小便器に唾を吐いた。トイレの入り口ではいつも決まった同級生が見張りをしている。  休み時間毎に教室にまで届くタバコの煙は他の同級生達がシンジ達を敬遠するには充分だった。  それ程、絶え間なく高校生の体にニコチンが必要なのかと疑問に思うところだが、まるでワルの証明かの様にシンジ達は毎時間トイレに集

          青の証明 超短編

          主役 超短編

           マイケルが10歳の頃マイケルは高い崖から飛び降り大ケガをした。何故そんな馬鹿な事をしたのかと母親が訪ねるとマイケルは「僕は主役になりたいんだ。」と言った。  母親はそんなマイケルに「あなたはもうすでに主役なのよ」と言った。  マイケルは母親の言葉にキョトンとしたまま「違うよ。全然違う」と答えた。  成長するに伴い益々マイケルはその気持ちが強くなっていった。  マイケルは常日頃、主役になるにはどうすれば良いのかを考えた。  まずマイケルは体を鍛える事にした。スポーツ

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          相談屋 超短編

           大阪の繁華街のとある雑居ビルの3Fの一室に「なんでも相談屋三井」という看板が掲げてある。  如何にも怪しげなその看板にも関わらず「なんでも相談屋三井」の評判は悪くなかった。当然の様に知る人ぞ知るという感じだったが商売自体は順調だった。  商売の内容はこの事務所の主、三井が客の相談を聞くだけという至って単純なものだ。料金は高かったが、それでも客は途絶える事無く三井の下に訪れた。その理由も単純で三井は相談に対して必ず正解を出すと評判だったからだ。  ある日、三井の事務所に1人

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          かゆみ 超短編

           かゆみとは人体の感覚の中で至上の快感なのである。  かゆみ部分を掻きむしる事で かゆみを解消する。その行為は性行為や排泄行為をもはるかに凌駕する快感なのだ。  更にかゆみには痛みが伴う。実はこの点が一番重要なのだ。掻けば掻くほど傷は深くなり、肌はただれ、血が吹き出す。それでも掻くのを止める事は出来ない。  その背徳感がより一層かゆみの快感を大きくしているのだ。今さえ気持ち良ければ後はどうなっても構わないというリスクを恐れずに快楽を求める行為そのものこそがかゆみの中毒性

          かゆみ 超短編