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人類は夢の核融合を実現できるのか?!!(5分でわかる解説)

こんにちは。

今回はガチの科学ネタです。

先日、米エネルギー省より、さる12月13日に核融合の研究で大きな進展があったと発表がありました。米国のローレンス・リバモア国立研究所内にある、NIFと呼ばれる国立点火施設の核融合実験で、水素燃料にレーザーを照射して「2.05メガジュールのエネルギー供給に対して、その1.5倍の3.15メガジュールの出力を得た」というものです。

何がすごいと言うと、要は「1の投入エネルギーが1.5のエネルギー出力を得た」ということです。これは歴史上初めてのことで、「核融合点火」と呼ばれる、この現象が実現できたことは、ものすごい快挙だということです。

さて、みなさま、「核融合」について少しおさらいしましょう。

現在、原子力発電や核爆弾で使われている技術は「核分裂」です。「核分裂」がウランという重い原子核を核分裂反応を起こすことにより、軽い原子核に分裂させて、その過程でエネルギーを得ます。

それに対して「核融合」は水素のような軽い原子核同士が高温でぶつかった時、ヘリウムなどの重い原子核に変化し、その過程でエネルギーを得るのです。「核融合」は自然の世界でも起こっています。太陽のような恒星は膨大な「核融合」を起こし続けていることによって、あのような莫大な光、熱、エネルギーを放出しています。

「核融合」は理論上は1グラムの燃料から石油8トン分のエネルギーが出る計算となります。莫大なエネルギーです。しかも「核融合」に用いる重水素は海水などからほぼ無限に取ることができます。また「核分裂」よりも「核融合」のほうが放射性廃棄物が少なく、影響も低いと言われています。

さて、ここまで硬い話でしたが、もう少しくだけた話をしましょう。

「核融合」は実はSFの世界でよく使われています。例えば、アーサー・C・クラークが描く未来世界の宇宙船では、「核融合」の技術を使ったエンジンを積んでいる宇宙船が登場します。映画の「インターステラー」でも「核融合」エンジンの宇宙船が出てきたようです。

そして、それよりも身近なのは、あの「バック・トゥー・ザ・フューチャー シリーズ」に登場するあのタイムマシンカー「デロリアン」の時空跳躍エンジンはなんと「核融合」エンジンでゴミを燃料にしています。

さらには「アイアンマン」で主人公が着るスーツの胸の真ん中にある「アークリアクター」という動力源は実は小型の「核融合炉」という設定です。

そんな映画にも出てくる「核融合」実験のはじめの第一歩が今回の「核融合点火」の成功だったのです。

ちなみに日本も参加している核融合の世界的プロジェクトがあります。

その名も

「ITER(イーター)」(International Thermonuclear Experimental Reactor)(国際熱核融合実験炉)

日本、EU、米国、韓国、中国、ロシア、インドが参加しており、なんとITER機構のトップは日本人の多田英介さんという方です。

この、核融合の実験炉を作るプロジェクトは予算あ200億ユーロ(約3兆円)近くと言われている大型プロジェクトです。

すでに現在フランス南部で核融合炉の組み立てが行われており、2035年には核融合実験炉の運転が開始される予定です。

ただし、この「核融合」が商用化されて、私たち社会の次世代エネルギーに替わるのは「数十年単位では間に合わない」と言われています。

まだ「核融合点火」以外に山ほど課題があり、現在の「核分裂」の原子炉ほど安定して連続稼働でき、エネルギーを効率的に取り出せるようになるにはまだこれからです。

人類はこの夢の核融合を実現できるのか? 実現はできるが、時期は今世紀後半以降になるかもしれませんね。

それでは。

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