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【プリズンライターズ】被災者を全力で救済すべき

日本は位置的条件、地形的条件などの理由で、地震などの自然災害が発生しやすい国だが、どの災害を観ても犠牲者の救出活動や捜索活動に違和感を強く感じていたので、他人の命を奪った無期懲役囚という身分ではあるが、今後の災害のために提言をさせて頂く。

 これまで大地震を筆頭に、台風、大雨、土砂崩れなどの自然災害が立て続けに発生していると感じているのは私だけではないだろう。沢山発生した災害の中で特に私の記憶に残っているのが、平成二十六年九月二十七日に噴火した御嶽山の災害で、登山客などが犠牲になり、多くの命が失われてしまった。

突然の噴火で逃げ遅れてしまった人たちが、何を思いながら亡くなって逝ったかを想像すると、無念としか言いようがない。

当然、何とか助かりたいと思ったはずだし、誰でもいいから助けに来てほしいと、最後の瞬間まで思っていたはずだが、もう助からないと覚悟した最後には、残して逝かなければいけない大切な人たちの事を思っていたに違いない。

それに、犠牲者の家族や友人、更に恋人たちは、自分の大切な人が災害に巻き込まれてしまった事実を知らされた時に、どんな思いで報道される被災地での救出、捜索活動の様子を見守っていた事かを思うと、全くの他人で無期懲役囚という身分の私でも、心が痛んだ事を思い出す。

代弁するまでもなく、無事に戻って来る事を強く願っていたと思う。

 そんな人たちの気持ちを知ってか知らずか、気をもませる救出、捜索態勢に苛立ちと憤りを感じていたのは、私だけではないと思う。

何故なら、当時の首相、安倍総理は御嶽山の噴火直後の記者会見で『政府として全力で対応します』と発表していたはずだが、報道によると、最初に被災地で救助、捜索活動に当てられた人員は、わずか三百人態勢でしかなく、実際の活動内容にしても、火山ガスの臭いが強いため、救出、捜索活動を打ち切ったとか、雨が降ってきて二次災害の恐れがあるため、救出、捜索活動を打ち切ったなどの連続で、災害に巻き込まれ一刻も早い救出を待つ人たちの命を、救うつもりがないのかと、報道内容にイライラしながら毒突いていたのを、よく覚えている。

二次災害を恐れず、救出、捜索活動を続けて被災者を助けろなどと理不尽な事を言うつもりはないのだが、ならば、自衛隊や消防などの災害時に救出・捜索に当たる隊員たちは何のために日々、過酷な訓練を繰り返しているのかという事だ。

もし敵国が日本に攻撃して来た時に、危ないからといって、自衛隊員は防衛活動を打ち切って撤退するのかという事だ。

必要な訓練を受けていない一般人では近づけない危険な場所でも、救出、捜索などの活動が出来るように、過酷な訓練に耐え、国民が納めた血税から給与を受け取っているのではないのかと言いたいのだ。

火山ガスが出たなら、ガスマスクは使えなかったのか?

ガスマスクが駄目なら、酸素ボンベを背負って行けなかったのか?

雨による土石流にしても、想定した上で救出、捜索を続ける手段は何もなかったのか?

救出が遅れる程、被災者の生存率が低くなる事や、最初の救出、捜索活動が重要な事も、周知の事実であるのに何故、当初たった三百人しか救出、捜索に投入しなかったのか残念でならない。

何故なら、後に千人態勢になり、最終日には三千人を超える過去最大の人員で捜索活動が行われたからだ。

三千人以上の人員を投入できるなら、被災者の生存率の高い初日に三千人を投入しないのかと思うのは私だけだろうか?

当時の首相が記者会見で発表した「政府として全力で対応する」とは、被災者の生存率の高い初日に、投入可能な最大の人員を救助、捜索に投入してこそ、全力の対応だと思う。
政府(国)に限らず、災害対策本部の幹部は、今後も発生するであろう災害時に、被災者の生存率が低下する七十二時間以内に、投入可能な最大の人員を集めて、救助、捜索に当たり、一つの命も取りこぼさない活動を目指して欲しい。


 令和五年八月二十日

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