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学問への扉

昨日は、阪大の新一年生全員の必須科目「学問への扉」(通称マチカネゼミ。実施される豊中キャンパスの地名が待兼山なので)の私のラボ担当のクラスの1回目だった。

学問への扉は、高校までの受動的で知識蓄積型の学びから、主体的で創造的な学びへと転換するための「課題・文献など一つの内容をもとにアカデミック・スキルズの指導を含む、大学における学びの基礎科目」と位置づけられている。

そのためにひとつのクラスは最大17人までで、教員が一方的に講義をする形式ではなく、学生同士でディスカッション、ディベートを行うことを特徴としている。学生は、学部と無関係に好きなクラスを受講できる(人気が高いクラスは抽選になるので、第8希望まで書く)。3,000人以上いる全学部の新入生が受講するので、200近いクラスが用意される。

教員には負担が大きいため当初不評で、私も仕事増やすなよって思ったが、やってみてこれは学生にとって非常に有意義だと思うようになった。学生達は、世の中には正解のないことのほうが多いこと、自分で考えることの重要性を学ぶ。

私のクラスは「文系ウェルカムのライフサイエンス入門~細胞内宇宙にようこそ」と言うタイトルだ。「文系ウェルカム」というキャッチフレーズが功を奏したようで、人気が高く最大人数になった。希望したが抽選で漏れた人もいたかも。ちなみに希望者が5人未満だと、クラスは開講されない。

我がクラスは、数名の工学部生以外は法学部と外国語学部の学生達。以下は、私がクラスの初回に彼らに伝えたことの一部。

「文系理系の区別は日本独特のものでナンセンスだから、そういうことに囚われずに好きなことを学ぶべきだ。」

「(私のこれまでの来し方を説明し)このようにいきあったりばったりに生きてきたが、それで良いと思っている、学生諸君は自分には生きる目的がないとか何をやるべきなのか判らないとか悩まずに、そのときに好きなことをすればいい。」(学生には私のちゃらんぽらんな半生が紹介されているウェブサイトも教えた。)

「生きていく上で最も重要なのは、キュリオシティー(好奇心)を失わないこと。キュリオシティーは人間を人間たらしめている本質のひとつ。」

「人との出会い、人と人の繋がりを重視せよ。私がここまで来られたのは、人のネットワークのおかげである。」

「ネットの膨大な情報にすくむことなく、思い切って新しいことに挑戦しよう。私は小心なので、座右の銘を『見る前に跳べ』にしている。」etc.

次回から、拙書「ライフサイエンス 長生きせざるを得ない時代の生命科学講義」を少しずつ読んで貰い、それに基づいて議論していく。どんな議論になるか楽しみだ。(本は大学が購入してくれたので、学生は買う必要は無い。)


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