選挙の投票率の低下

『表現者クライテリオン』2023年9月号に、施光恒が連載「やわらか日本文化論」で、国政選挙の投票率低下の原因が「新自由主義に基づくグローバル化路線の本格化」だと論じている。

「規制緩和」「民営化」を推進するいわゆる新自由主義的政策が進められるにつれて、政治の領域が経済の論理に浸食されてしまい、官僚という職に就く意義があまり見いだせなくなったというものである。

「官僚志望者の減少は良いことか」p.176

日本でも、新自由主義に基づくグローバル化路線が本格化した1990年代以降、投票率は急速に低下している。戦後の衆院選の投票率を見てみると、終戦直後から1980年代まではさほど大きな変化はなく各年代の平均はほぼ70%台前半で安定していた。それが1990年代から下がり始め、近年は50%台前半か半ばが普通となってしまった。
政治の領域の減少は、一般庶民の政治的関心も削ぐのだろう。

同p.178

しかし、それよりもはるかに重要だとされているのは、衆議院が中選挙区制から小選挙区制に変更されたことである。小選挙区制で例外的に投票率が高かったのは郵政選挙(2005年9月11日)と民主党への政権交代選挙(2009年8月30日)という特殊な盛り上がりをした二回しかない。

総務省
大選挙区/中選挙区/小選挙区で非連続

小選挙区制への「改革」が日本の劣化・衰弱を加速させたことは確実と思われる。

当時のマスコミは、ジャーナリストの田原総一朗氏やニュースキャスターの筑紫哲也氏らが旗振り役となり、定数2人以上の中選挙区制から定数1人の小選挙区制に移行して政権交代が可能な二大政党制を実現しなければならない、と主張していた。それに賛成すれば「改革派」とされ、反対した私などは「守旧派」というレッテルを貼られた。だが実際、細川護煕内閣への政権交代は中選挙区制のまま実現している。

戦犯👆

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