日本は土建国家ではなく福祉国家
既に書いた内容だが、日本の為政者や一般国民の多くが現実認識ができていないことを示す好例なので再度取り上げる。
これ👇を読んでおかしさに気付かない人は認識が25年以上前で止まっている(認識がアップデートできなくなるのは老化の特徴)。
1963年生まれの泉市長が大学生だった1980年代前半には国と地方の国土保全及び開発費(公共事業)の対GDP比は約5%で、民生費(子どもや福祉)はその2/3だった。泉市長はこの時代の認識に基づき、2011年5月に市長に就任すると「過剰な公共事業を削って、無駄遣いのお金を子どもや福祉にシフト」したわけだが、2011年度には国土保全及び開発費は対GDP比3.5%に低下し、民生費はその1.9倍になっていた。
従って、泉市長が連呼する「利権」も、公共事業から「子どもや福祉」にシフトしたと考えるのが妥当で、「焼畑戦術」は死体蹴りになる。
泉市長は「経済成長していない・・・理由は明確で、予算配分が間違っとるから」「子どもや福祉に使わず、公共事業にばっかり予算かけてるから国民、市民は疲弊していっとるんです」と言っているが、日本が土建国家だった時期よりも、福祉国家へと変貌していった時期(金融危機以降)の方が、経済の停滞と国民の疲弊は深刻になっている。
泉市長の40年前に形成された認識は明らかに現状から乖離しているのだが、それがあまり指摘されないのは、国民の多くも認識のアップデートができていないためだと考えられる。50歳の人間が30代の自己認識で何かにチャレンジしても、思うように頭や体が動かないために失敗に終わって当然だが、それと同じことが経済財政運営にも生じているように見える。25~40年前の認識に基いた「改革」が現在の日本に適切とは考えにくい。
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