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【GASでIoT】手頃な表示デバイス、「7セグメントLED」をアマチュアが安価に実装する方法を探る(2)

GAS(Google Apps Script)にアクセスして得られた情報を掲示するための、安価なディスプレイの試作レポートの続きです。

天気情報などは、常時掲示してスマートフォンをいちいち覗かず確認できる様にしたいものですが、日常の些細な情報に、高額なディスプレイを使うことは難しいので、安価にディスプレイをできないか探ってみました。

過去の記事では、ラズベリーパイPico WにフルカラーLEDを接続し、LEDの点灯状態や色を利用して、安価な掲示ディスプレイを作りました。これは1000~2000円で作成できます。

ただし、上記のデバイスでは文字が表示できません。

やはり、文字や数値を掲示できるものも必要と考え、安価な文字表示デバイス、7セグメントLEDを使った掲示用のディスプレイの作成にトライしました。

ところが、8桁の文字だと簡単に実装できる部品があるのですが、実用上は2桁や4桁の方が使いでがあるので、少ない桁数の実装にチャレンジしていました。

トライしたのが、8桁をドライブする部品から配線を伸ばして、より少ない桁数の7セグメントLEDを点灯させる方法です。

ただ、部品が安いのはいいのですが、多数の配線周りをどう処理するか、それからケース材にこれをどう配置するかが難しく、色々と試行錯誤しながら改善策を練りました。

今回の試作品は、その、一応の解決策となります。以下の記事でどんなものかをご紹介しました。


今回の記事は、上記の記事の続きで、上記の試作品のメイキングの記事になります。配線まわりの処理、および7セグメントLEDの取付け方という2つの課題のうち、前者の内容になります。何かのご参考になれば幸いです。

7セグメントLEDディスプレイの試作品の配線状況


今回作成した7セグメントLEDを使った文字ディスプレイは、以下の写真の様なものです。

黒いケース材はペーパークラフトで作ったもので、これに7セグメントLEDが嵌め込まれています。これらは、ラズベリーパイPico Wに繋がっており、Google Apps Scriptやスプレッドシートから情報を取得して、文字情報として表示できる様になっています。

Q、R、S、T、U、V、Y、X です

写真ではアルファベットを独特のフォントで表示していますが、数字ももちろん表示できます。


今回の記事ではプログラムに関する内容は割愛しています。これについては、以下の記事を参照ください。


これに掛かる費用はラズベリーパイPico W、ドライブIC、7セグメントLEDを併せて2000円少々といったところです。

さて、このディスプレイの試作品ですが、中身は以下の様になっています。

奥が8桁の7セグドライブIC]、手前がラズベリーパイPico Wです


何だかまだごちゃごちゃしていますが、先回の試作品では無造作に配線し、7セグメントLEDも剥きだしにしていましたので、ささやかな改善にはなっています。


配線内容とそのための課題


さきほどの配線写真をお見せしましたが、何を配線していたのか、ご説明します。

本品では、制御デバイスとして、ラズベリーパイPico Wを使い、これで7セグメントLEDを点灯させています。

ただし、そのままラズベリーパイPico Wと7セグメントLEDを直結するとGPIOピンがすぐ埋まってしまうので、MAX7219というドライブICを介しています。

MAX7219はピン数5つで、最大8桁の7セグメントLEDを駆動できます。安価な基盤実装品が出回っており、数珠つなぎに何桁でも接続できる(カスケード接続)長所もあります。

さて、全体のシステム構成は以下の様になります。7セグメントLEDは2桁のものを4つ使っています。

ラズベリーパイPico WとMAX7219との間には5本が配線されていますが、MAX7219とで7セグLEDの間には、合計40本が配線されています。(各10本の配線を要する2桁の7セグLEDを4つです)

この40本をどう処理するかが課題でした。

使用したMAX7219の実装商品と7セグメントLED部品


ここで、実際のMAX7219の実装商品と7セグメントLED部品をお見せします。

MAX7219は、単独のICを利用するよりも、配線用のピンや抵抗などが基板上に実装された部品を使う方が便利です。広く出回っているのが4桁の7セグメントLEDを2連実装した製品で、安価に販売されています。

こうした商品の中には、7セグメントLEDをソケットに挿して実装した以下の様な製品があります。今回はこれを使用しています。

この製品は、横から見ると下の様にメスのピンホールに7セグメントLEDを挿しており、簡単に外れます。

以下が4桁の7セグメントLEDを取り外したところで、この状態で利用します。


一方、利用する7セグメントLEDは以下の様なものです。

カソードコモンと呼ばれるもので、マイナス側からは上記のa~gおよびDP(ドット)表示用の8種類のLEDを点灯させる線が出ています。


線は各桁共通で通電しており、製品からは桁数によらず8本出線しています。一方、プラス側は各桁1本ずつの電源供給線があり、今回の商品では2桁なので、2本出線しています。

結局、マイナス側は8本、プラス側は2本の出線をするため、製品からは計10本のピンが出ることになります。


4桁の7セグメントLED用のMAX7219実装製品に、2桁の7セグメントLEDをつなぐには


さて、上記で紹介したMAX7219の実装商品に2桁の7セグメントLEDをつなぐわけですが、これが中々一筋縄ではいきません。

配線の概要としては、ドライブICに2連ある、4桁の7セグメントLEDを想定したソケットのピン・ホールから線を出して、2桁の7セグメントLEDにそれぞれ分岐させることになります。


ところで7セグメントLEDから出ているピンは以下の割り振り(ピン・アサイン)になっています。ピンa~gで各LED素子の点灯を制御し、D1とD2でどの桁に電源を供給するかを制御できます。


2つの桁で異なる文字を表示させるためには、非常に短い時間で、1桁目と2桁目を交互に点灯させる「ダイナミック点灯」という方法を使います。MAX7219はダイナミック点灯に対応しており、ユーザ側は簡単なプログラムで実装できる様になっています。


一方、MAX7219の実装商品側は4桁のLEDを2連使う想定になっていますが、4桁のLEDのピン・アサインは以下の様になります。これがMAX7219の実装商品側のピン・ホールのアサインです。


両者をつなぐには、a~dについては、1つのピンホールから2つの7セグへ分岐させて配線し、D1、D2,D3、D4については、前者2つを1つめの7セグのD1とD2に、後者2つを2つの7セグのD1とD2につなぐ様にします。

さきほどの図を再掲しますが、上図で細く表現されているのがa~gとDP、太く表現されているのがD1~D4の配線です。

こうした場合、専用基板を用意して工作を容易にするのが定石ですが、自作するにしても、サービスに依頼するにしても準備や費用がかかりますので、ここでは、ケーブルの取り回しだけで配線するものとします。

MAX7219側には同じソケットがもう1つあるので、これを2セット配線することになります。

数にして1の7セグあたり10本、4つあるので40本もの配線をどう処理するかが課題というわけです。



ジャンパー線を加工して、特製の配線ケーブルを作る


先に結果を申し上げますと、今回は以下の様な、複数線が束になったジャンパー線(メスーメス)を加工して特性の配線ケーブルにし、これを使って配線しました。

以下が加工したあとで配線した様子です。

まだごちゃごちゃしていますが、以前の試作品よりずいぶんマシになったでしょう。

以前の試作品

半田付け(本数が多いと大変)もしない方法で行いましたが、しっかり導通して結線できました。

他の配線部品は無かったのか


一般的に、多数の並行配線がある場合は、フラットケーブルやリボンケーブルという、多数のケーブルが並んだ配線部品に、専用のコネクタを使って簡易につなぐのが定石です。

フラットケーブル

リボンケーブル

しかしこれらを使うと、配線部品だけで、7セグ1ケあたり500~600円します。コネクタ周りの部品まで含めると1000円いくかもしれません。これを4つ使うと、4000円以上・・・費用の大半が配線代となってしまうので採用しませんでした。


今回使用した方法~安価なジャンパー線を加工する~


ところで今回使用したジャンパー線は、以下の様に10色40本がセットになったものです。安く売っているお店で200円で売られていました。


端部はメスーメスのタイプです。

ドライブIC側のピンホールにジャンパー線のオスピンが使えそうでしたが、太すぎて挿せませんでした。

そのため、オスピンタイプは使いませんでした。ピンホールへは、後述しますが、ピン代わりにジャンプワイヤを取り付けて使用します。


ケーブルの加工

さて、さきほどのジャンパー線から10本分を切り離します。(10本単位だとケーブルそれぞれが独自の色となり、配線の識別ができて丁度良いです)

ケーブルの中間部分の被覆をラジオペンチでむしって剥き、さらに2本は切断します。写真では白と黒のケーブルは2本に切断しています。

中央部で軽く曲げます。

ここで、別途購入した短いジャンプワイヤを使います。

取り出したジャンプワイヤです。

この1端をラジオペンチで以下の様に軽く曲げます。

そして、この折れ曲げ部に、さきほど被覆を剥いたジャンパー線の銅線部分を挟んで、ラジオペンチで折りつぶします。

結線部に熱収縮チューブという配線用部品をかぶせます。Φ3のものを使いましたが、途中で切断した白と黒のケーブル部はΦ1のものを使いました。

熱風(あまりお勧めできませんが、アルミホイルで包んで着火ライターで遠くからあぶりました)を吹き付けると、キュッとしまって、物理的にもしっかりした結線が完成します。

以上の作業によって、メスーメスのタイプのケーブルの中央に、ジャンプワイヤで作ったオスピンが出た状態になります。

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、途中で切断した黒と白のケーブルを除き、1つのオスピンから2つのメスピンが出た状態となります。

以下の図は、その様子を表しています。色のついた四角はメスピン、下を向いた線の端はオスピンを示しており、白と黒以外は、1つのオスピンから2つの同じ色のメスピンが分岐した状態となっています。

束になったケーブルは、ちょっと曲げにくいのですが、まとまっていて扱い易く、この特性ケーブルで、配線を行いました。

ここまでの左表で半田づけはしておらず、時間もそれほど掛かりません。

長くなりましたので、一旦記事を切ります。次回はこれをつかった配線についてご説明します。

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