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立場転換-心身の活動-茶道のおもてなし


日本の文化おもてなし

G.7広島サミット

G.7広島サミットでの岸田総理夫妻の
公私に渡る様々な心の「おもてなし」は、
一国民として素晴らしいと感じました。

中でも分刻みのスケジュールに取組む
総理の姿は政治家としては「当たり前
かも知れません。

しかし、
おもてなしの心を学んだ一個人として、
もてなす主人として岸田総理の配慮の
心身の取組姿勢と言動に感服しました。

日本は今、
コロナ渦で失った尊い多くの人の命、
営業活動が出来なくなった様々な店
とその関連企業損失の回復と共に
低下したGDP(一人当りの国内総生産)
の向上を図る大切な時期に面している
と言う国民全員(社会人)の自覚を持ち
取組む時に来ていると受止めています。

その一つとしてインバウンドに拠る海外
からの観光客に対する日本のおもてなし
に徹しつつ、オーバーツーリズムの防止、
コロナ後行きたい国№1.の期待に応える
と共に日本と日本人の素晴らしさを心に
印象付ける和のおもてなしに尽力する時
であると思われます。

その為にも日本ならではの「おもてなし
に関する知識、心身の活動をより理解し
実践法について書いて行きます。

【日本のおもてなしの由来】

平安、室町時代に発祥した茶の湯
から始まり、客人や大切な人への
気遣いや気配りと言う配慮の意識が
築かれた世界に誇れる独自の文化です。

おもてなしの原点である茶の湯の歴史
を紐解きますと平安時代に貴族同士の
間で生まれ、侍の時代になった鎌倉から
江戸時代へと引継がれたと言われます。

また、
この間に千利休により堺の豪商や信長、
秀吉、家康などの大名に広められました。

一般の人々の間に広まり始めたのは、
江戸時代に多くの人達が信仰と娯楽
を兼ねてお伊勢参りが盛んになった
頃から生活の中に根付いたようです。

お伊勢参りのために、
全国各地から旅してきた農民、商人、
職人などの方々を心の底から温かく
お迎えすると同時に、長い旅をして
来た人に心地よい接待をすることで
一般の庶民の間にまで「おもてなし」
が広まったと言われています。 

このように遠くから来た旅人のお世話、
身分の上下の隔たりなく温かく迎え入れ
接待して「もてなす」と言う意味では、
日本のおもてなしはホスピタリティの心
と同様ではないかと考えられます。

また、
相手を立てるという意味では、
サービス(主人に仕える奴隷)
にも相通じるものがあります。

しかし、
日本独自の文化「おもてなし」は、
サービスやホスピタリティと異なります。

サービスとおもてなしの相違点

現在SDGSとして広まる取組みと
日本の様々な文化、おもてなしは
類似点が多いと受止めています。

その一つ茶道の心得利休七則を
紐解いてみます。

「茶道」の心得-利休七則
日本の茶道は、
主客夫々が互い立場を理解し、
思い遣りの心を表わしています。

即ち、現代社会での人間力の元
となる対人関係力の「立場転換」
心身の活動を表しています。

様々な海外の教えや心理学を
学び知ることは大切ですが、
その前に私達が日本人である
ことを自覚認識し古から伝わる
日本独自文化、茶道、武士道に
目を向けその心を理解する必要
があるのではないでしょうか。

クールジャパンと海外で称される
日本独自の文化に私達が学ぶこと
が沢山あり現代に活かせます。

それは日本人の心の礎と言えます。
「灯台下暗し」にならぬよう以下に
私見を含め利休七則を解します。

利休七則

千利休

一. 茶は服のよき(佳き)ように点て

※季節、時と処を考慮し、もてなす相手
 の状況や状態、気持ちを汲取り察知し、
 考えた上で誠心誠意をもって
 お茶を点てるよう戒めています。

これは、接客接遇サービス業で言えば
立場転換の心で主人ともてなされる客人
両者の体験と心を豊かにすることであり、
顧客満足(CS)や余韻創りの為に大切です。
また提供する側の商品や物のクオリティの
向上、改善にも役立つと考えます。

二. 炭は湯の沸くように置き

茶道=茶の湯では、
炉や風炉の湯が深々と沸く音も、
その場の風情として大切にする。

このような深々と湯が沸く状況が
作り出す為の準備として炭の配置
にも心するように戒めています。
設え(しつらえ)をする際に細かな所
まで気配りを怠らず確実に準備する
ことの意であると解します。

炭を人に置き換えると、
おもてなしやサービスをする「人」
(=スタッフやお世話する人々)にも
当て嵌まることではないでしょうか。

この「湯の沸くように」の言葉には、
おもてなしやサービスを受ける客人
=相手の心に湧き出る様々な心
(印象・余韻・感情・感激・感動・感銘)
を指しているとも解せます。

三. 花は野にあるように

茶室に飾る花を生ける時、
生ける人は心の中を無にし
野山に咲いている本来の姿を、
客人が想い浮かべられるような
生け方をするよう戒めています。

即ち、
野にあるままの自然な姿で花を
いけることが大切ということです。

それは、人と物の命を大切にし、
人や物の原点に立ち戻ると共に、
その人や物の持つ本質を出来る限り
端的に表現することを教えています。

このことを、
サービス業界に置き換えると、
見られること見せることを意識
して作ったように見える姿でなく、
限りなく自然な姿、立ち振舞いで
接客、接遇サービスすることです。

別な捉え方をしますと、
人の目や周りの環境を意識し、
無理や見返りを求めて作られた
物や形は自然な美しさの足元にも
及ばないということではないか
とも受け留められます。

この教えは、
サービスやおもてなしを見直す
大切な【キーワード】と言えます。

四. 夏は涼しく、冬暖かに

暖かさや温もり、涼しさや爽やかさ
を感じて頂けるあらゆる環境を設え、
人間の「五感」に訴えられるような
もてなしをすることを戒めています。

言い換えれば、
人工的なエアコンなどの空調で
居心地の良い適切な温度でなく、
時節に合った音や香りもてなす場
の提供する四季折々の自然界の色、
もてなす為の道具類、お菓子に至る
までに細かな気配りや演出をして、
客人の五感に訴えかけることです。

これは、
接待する環境である居心地、
心が温かになる心地良さを
与えることを表現すると考えます。

まさに、
心の通い合いを大切にする相手を
思いやる心」の表れなのです。

同時に、このことは四季折々の自然
と共に生活する日本ならではの自然
との調和の「おもてなしの心」です。

文明科学が進化した現代社会環境に
おいて自然環境が汚染されてしまう
様々な自然災害や環境の悪化現象が
世界中の国々で現れております。

「夏は涼しく冬暖かに」の教えは、
SDGSにも繋がるように思います。

また、
私たちのサービスやおもてなしを
する上に於いて人間の創り出す
心地良さの重要性大切さを再認識
させる教えであるとも考えられます。

五. 刻限は早めに

平常心を持っておもてなしの設え
を出来るよう心にゆとり(余裕)を
持てるよう時間の設定をし設えを
徹底することを戒めています。

このことは茶道に限らず、
おもてなしや接客・接遇サービス、
ホスピタリティなどを始めとした
サービス業に限らず何事においても
当て嵌まることではないでしょうか。

以前の記事で、
約束や時間を守る心身の活動は
「思い遣りのものさし」であると
記したことがあります。

この「刻限は早目に」の教えは、
大切な人に対する配慮=思い遣り
の心の表れで、謙虚さ・誠実さの
象徴と言っても過言ではありません。

また、
焦ることによって起きる様々な
障害や弊害を克服するためにも、
ゆとり=心の余裕の大切さ重さ
を教えているとも思われます。

六. 降らずとも傘の用意

もてなす客人の不安不快や憂い
を取払うような心配り、心遣い
を以って天候に限らず様々な事態
に備えるよう予め考えられる限り
の準備をするよう戒めています。

設えの持つ役目や役割を強く認識
させる教えではないかと思います。

この教えは、
ももてなす大切な方への思い遣り
の一つであり配慮であると考えます。

七. 相客に心せよ

お茶席で同席した周りの人にも、
一期一会の心、思い遣りの心
気配り、気遣いを以って相対し
もてなすように戒めています。

このことは、
招かれた本人に限らず、
同じ処に居合わせた方々にも
心地良い体験を齎せるように
配慮しなくてはならない心の
取組み姿勢の教えです。

大きく捉えると「人の文字」
示されている如く、人は支え、
支えられて生活している
ことも
表す教えではないかと思います。

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