見出し画像

中川エリカ展「JOY in Architecture」に行ってきました

2021年3月21日まで、東京・乃木坂にあるTOTOギャラリー・間で開催されている建築家・中川エリカさんの個展「JOY in Architecture」に行ってきました。

本展覧会では、設計の現場で活用されてきたさまざまなスケールの模型を一挙に公開し、中川氏が考える建築の「よろこび(JOY)」が躍動感いっぱいに展示されます。(中略)
展覧会を、建築そのものとして実現しようとする中川氏の挑戦を、ぜひご覧ください。

画像7

会場内Gallery1では「設計の現場」として、2014年以降に中川エリカさんが手がけた11作品の模型やドローイングが59点も並べられています。

画像1

私が建築学科出身ということもあってか、建築模型を見るだけでテンションが上がってしまいます。中川エリカさんの手がける建築の模型は、なんというかそれ以上の“ワクワクする高揚感”のようなものを感じることができます。

その要因は、巧妙なスキップフロア(小上がりのように床の高さを変えた空間構成)による空間の躍動感と、模型なのになぜか伝わる生活感の演出が、そうさせるのではないかと感じました。

画像2

上のドローイングは軽井沢で計画中の住宅「高柳邸」の断面図です。左側リビングのところに半地下になる小さな空間があります。半地下の段差に座って本を読んでいたり、段差を活かして机のように利用したり。

画像3

建築模型を見ると、リビング以外にもいろいろな箇所でレベルの差を設け、リズムをつけていることがわかります。
そして中央部に配置された片流れの屋根が特徴的です。この下は屋外なのかな?カウンターもチラリと見えるので、夏場とか外でBBQなどやったあとにちょっと集まれるキッチンカウンターかもしれません。

画像4

1つの作品に対して、複数の模型・ドローイングが展示されているのも、この展示の特徴です。「高柳邸」だけで8点も展示されていました。
↑上の写真のように、ふせんで修正点などが書かれているアイディア段階での段ボール模型も展示されているのも面白いです。

画像7

上の階 Gallery2では、ガラリと変わって、中川さんとスタッフが13日にわたって旅した、南米チリ6都市での都市スタディの様子が展示されています。

画像8

例えば、上の写真はサンティアゴの市場のジュース屋さん。こういう街のひとコマを切り取り、考察し、模型(↓)に落としていくという作業を行ったそうです。値札の雰囲気など市場の雑多な感じが模型から伝わってきます。

画像6

このような考察って、これってUIデザイナーがやるアプリやwebのデザインの「UIトレース」と同じ作業ですよね。

建築家が建物をスケッチするのは、私も建築学科の学生時代に課題としてやってきました。中川エリカさんは、建物そのもののスタディではなく、市場とか、建築現場の足場とか、電柱とか・・・街のひとコマを切り取り、考察し、設計のネタというかアイディアというか、引き出しを広げる筋トレをしているのだと感じました。

画像9

コロナ渦ということもあって、来場には事前予約が必要です。建築に関わる方はもちろん、ほかのジャンルのデザイナーの方にも楽しめる展示になっていると思います。無料ですし、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

最後までお付き合いいただきありがとうございます! Twitterもやっていますので、よろしければこちらもご覧ください♪ https://twitter.com/HayashiDaisuke