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[62.8mm]ギザギザが少ないヒラタクワガタ


標本DATA

【種類】  ヒラタクワガタ Dorcus titanus 

【サイズ】 62.8㎜

【採集場所】奈良県北葛城郡上牧町

【採集日時】2021年7月22日14:15

【採集方法】Looking採集(クヌギ)

【採集者】 P


標本写真を見て下さい。同じ種類のクワガタでも内歯(大アゴ)に着目すると、多くのヒラタが持っているギザギザがかなり少ない個体です。これは自然に削れたものではなく、生まれた(羽化した)時から、このような歯型なのです。ギザギザが少ないだけで、ずいぶん印象(風貌)が変わりますね。私たちの顔が十人十色であるのと同じです。

それから、この標本写真を眺めてちょっとやり過ぎたなぁ~と改めて感じたのは、触角でございます。触角の整形が一番面倒なのですが、ここの形が決まると標本がグッと締まります(格好良くなる)。ふにゃりと曲がらずピシッと伸びて、開きが90度になっていること。個人的には85度ぐらいが好きです。この標本は…60度ぐらいになってしまった。触角はしっかり乾燥させたつもりでも数か月後には自然と少し開くので、それを見越して角度をつけたのですが、そのまま固まってしまいました(苦笑)

でも、これぐらい角度付けたほうが格好良い!って言ってくれる人もいますのでマル(良し)とします。

さて、上牧町で採集できるヒラタクワガタは、このような短歯型(大あごが短め)が多い。私は圧倒的に短歯派です。重量感ある平たい戦車のような格好良さがあります。

ピーさんの採集に御一緒させていただいた時、樹液が浸みだしたクヌギ大木の前で、「この木で10年以上前に特大ヒラタを採集したんですよ!」と笑顔で話してくれました。サッとノギスで計測したところ68ミリを超えていたとのこと。

当時、ミヤマ以外のクワガタには、それほど興味のなかったピーさんは、捕まえて満足して同じ洞にすぐにリリースしてあげたそうです。奈良県産としては超~大物を…即リリース…。

あ~もったいない。それが後にも先にもピーさんの採集Guinness(ヒラタクワガタ)だそうです。

でも、手元に残っていない…68ミリ越えのヒラタが…。

採集時の写真は残されていたので、見せていただきました。

大きい!手の平に納まりきらないような特大個体。この標本のような短歯型で、さらに頭部の張りだしが凄い重装甲車のようなヒラタでした。

もう一度…あ~もったいない(笑)

標本の良さは、正しく保管すれば、半永久的に残すことができます。この地(場所)に、こんな大きなヒラタクワガタが生きていた証明になります。残念ながら自然環境の大切さが注目されているにも関わらず、どんどん宅地開発は進んでいく。この場所もすぐ隣に住宅地が進出してきています。この林はいつまで残っていくのだろう?

多くの昆虫たちは、生息環境が残ってさえいれば子孫をつないでいってくれます。

Plus…根こそぎ採らないようにしましょう。特にメスはリリースしてあげて下さいませ。樹液周りで採集できたメスの多くは、すでに結婚されております(交尾済み)。立派な卵をたくさん産んでくれます。

来年も再来年も、魅力的なクワガタ採集が楽しめますので!

【執筆者:川原 洋】


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