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[75.1mm]なかなか渋い老齢なミヤマクワガタ


標本DATA

【種類】  ミヤマクワガタ Lucanus maculifemoratus 

【サイズ】 75.1㎜

【採集場所】奈良県五條市大野新田町

【採集日時】2012年7月10日14:00

【採集方法】Looking採集(クヌギ)


ピーさん採集のミヤマです。

私が小学生の頃に奈良市内で採集していた、これぞ「奈良県産」というフォルムです。

もちろんミヤマの形状は様々ですので、私の想い(気持ち)を述べております。

ピーさん曰く、しっかりノギスで計測を始めてからだと…ナンバー3のミヤマになります。

2011年に76㎜クラスを別の場所で2頭採集されていますが、

残念ながら標本で残すという考えが浮かばず…

優しいピーさんは、2頭とも最後まで飼育されてお墓を作って埋めてしまわれたそうです。

だいぶ残念です。でも、生きていたものに対するピーさんの気持ちがとても良いですね。

ピーさんの御人柄に現れていると思います。

さて、写真をご覧いただくとわかると思いますが、当時の私の標本作成技術がイマイチでございます。気に入らないところは、色々とあるのですが、特にこの頃に私が作成した標本は、爪先まで伸びていないことです。

これは人の好みがありますので、爪先までピタッと伸びていると美しい!と感じる…あくまで私のこだわりです。何かが美しくない…とずっと自分の中で感じていて、やっと5年ほど前から、今の展脚型に落ち着きました。大切な命をいただいたわけですから、できるだけ美しく残したいと思っています(自己満足)。

ミヤマクワガタと言えば美しい毛並み?です。生まれた(羽化した)ばかりの個体は、光にかざすと金色の毛がキラキラ輝いて、とても美しい。

さて、この写真のミヤマクワガタですが…体(特に前胸背板と上翅)に生えているミヤマ特有の毛も抜け落ちています。

しかし、このような個体に、私はより魅力を感じてしまいます。

長く自然の中で生き抜いてきた証であり、老齢な渋みを感じます。

残念ながら、この特大ミヤマを採集した場所は、ソーラーパネル設置のためにクヌギ、コナラ林が、どんどん切り開かれ、近年、猛威を振るっているカシノナガキクイムシのおかげで良い木がほとんど枯れてしまいました。樹液を出す老木ほど弱っているので、キクイムシが入ると数年で枯れてしまいます。本当に残念なのですが、採集できる環境は無くなってしまいました。

毎回、お伝えしていることですが、野生動物が、その地で絶えてしまう一番大きな原因は、生息環境の破壊です。人間が一番影響を与えているのです。

私たちは責任ある行動をとる必要があるのです。

【執筆者:川原 洋】


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