ニューヨークタイムズが伝える『帝国の慰安婦』論争。韓国人学生すら擁護しているのにアメリカ人ときたら…。

慰安婦をめぐるNYTのパク・ユハ教授へのインタビュー記事とそれに対する海外の反応

日本ではすでにおなじみの、そして予想通り韓国内で大きな反発を生み出した『帝国の慰安婦』。その著者である朴裕河・世宗大学教授へのインタビュー記事がニューヨークタイムズに掲載されていました。その記事とコメントを翻訳いたしましたので、ご覧ください。

元記事→
(以下、記事の梗概)

慰安婦をめぐる異説に韓国内から猛烈な反発
今年2月、韓国の裁判所は朴教授に、自著である『帝国の慰安婦』の中の表現を一部修正するよう命令を下した。

元慰安婦らは彼女を名誉毀損の罪で訴えるとともに、世宗大学から追放するよう求めている。「彼女は日本の代弁者だ」と非難する研究者もいる。ソーシャルメディア上には、「裏切り者」といった書き込みや誹謗中傷があふれている。

朴教授は言う。
「彼らは慰安婦を他の視点から見る気がないんです。仮にそんなことをしたら、それは日本の罪を軽くすることにつながると考えているんです」。

慰安婦問題は長い間、議論の的となってきた。今回朴教授が出した説と、従来韓国内で信じられてきた説のいずれが正しいのかを判断するのは難しい。

一般に認められている説によれば、20世紀初頭、日本は大勢の少女たちを韓国および他の地域から駆り集め、彼女らを日本軍兵士の慰安婦として働かせたという。

国内外の多くの資料を調べた朴教授は、これに反論する。
「韓国内で信じられている慰安婦に関する話は、事実とかけ離れている」
「少女たちを慰安所へ連れてきたのは、日本人の民間業者と韓国人の協力者だった」
「日本政府が公式にそれにかかわっていた証拠はない。したがって日本政府に責任はない」。

またこうも言う。
「韓国や台湾など日本の植民地から来た慰安婦たちは、帝国臣民として扱われ、そのサービスも愛国的なものとみなされた。彼女らは日本軍兵士と強い絆を持っており、なかには日本軍兵士と恋に落ちるものもいた」。

『帝国の慰安婦』は数千部しか売れていない。しかし、それは韓国内にとてつもなく大きな議論をまきおこした。

批評家のキム・グハンが言う。「このケースは韓国における慰安婦問題というものの難しさを示しています」。

日本、アメリカ、韓国の学者たちは、韓国政府の処置に反対する声明を連名で出した。もちろんそれは朴教授の意見に賛成したからではなく、学問の自由を守るためである。

その一方で、今月、日本人をふくむ380人の学者と活動家が朴教授を非難する声明を出した。

ソウル大学法学部のヤン・ヒュンア教授はこういって朴教授を非難する。
「彼女は特殊なケースを一般化するという決定的な間違いを犯している」。

87歳になる元慰安婦のヨウ・ヘイナムも、杖を振り回しながらこう訴えた。
「あいつを国外追放にしろ」。

朴教授は日本の早稲田大学で日本文学の博士号を取得した。
彼女がこの本を書いたのは、日韓の間の溝を埋めたいという動機からだった。

当時、パク・クネ大統領と安倍晋三首相というナショナリスティックなリーダーの元で、日韓の溝は広くなる一方だった。

「それを少しでも埋めたかった」と朴教授は言う。

また教授には、元慰安婦を貶めるつもりなどないと言う。

「直接の責任はなくとも、慰安婦というシステムを生み出したのは日本による植民地支配だった。それは糾弾されるべきだ」。

その上で彼女は言う。

「1945年の光復(終戦)後、かつての慰安婦たちは、彼女らを売り飛ばした親と韓国人人買いへの憎しみを、きれいさっぱり消し去ってしまった。そうして彼女らは『植民地支配における悲劇の象徴』としての役割を期待されるようになった。そしてそうした役割を押しつけたのは、反日感情を煽動する一部のナショナリストグループだった」。

「彼女らが自発的にそうしたのか、誰かに強制されたのか、あるいは彼女らが売春を行ったのか、そうでないのかは無関係だ。私たちの社会は彼女らに無垢で純粋な少女たちでいてもらわなければならない。もしそうでなければ私たちは日本を糾弾することができなくなってしまうからだ」。

(以下、コメント)

●カナダ
この話は民族主義というものがいかにばかげているか、またそれに取り込まれた国家がいかに反省というものを忘れてしまうかを教えてくれるいいい例だ。

朴博士のこの信頼できる研究は、植民地支配のなかで生きることが一個人にとってどれほどたいへんだったかを示している。あの戦争と植民地の時代、どれほど多くの女性たちが、ただ生きるためだけに売春という忌むべき稼業へと追いやられたことかーー。

その一方で、こうした微妙なニュアンスを無視し、白か黒かという単純すぎる見解に韓国人がしがみつきたがるのもよく理解できる。

わたしは日本を擁護しているわけではない。日本は慰安婦問題を含む、第二次大戦中の戦争犯罪をいまも国家ぐるみで否認している。これは米国も同じだ。米国もまた誰かにうながされないかぎり、自らの犯罪に向き合うことは避けようとする傾向がある。

奴隷制度を見ろ。インディアン虐殺を見ろ。それらは自由と文明というもっともらしい口実のもとで、いまもなおその真実はオブラートにつつまれている。これを歴史的な迷妄というのでなければ、何をもってそういえばいいんだ。
+321

●アメリカ(ネブラスカ州)
ここにはふたつの問題がある。ひとつは言論の自由だ。アメリカではどんな突飛な意見であろうとも社会的通念に合わせるよう強制されることはない。しかし韓国はどうやらそうではないようだ。

もうひとつは、この学者が書いた論文の内容そのものだ。彼女が主張しているのは、慰安婦たちが日本軍と同志的関係にあったということだ。このような見方に対して韓国人が怒るのは当然だ。

もし誰かが、黒人奴隷を白人に売っていたのがほかならぬアフリカ人だったという歴史的事実を根拠に、アメリカの奴隷主に罪はないと主張したら、アメリカ国内からも怒りの声が上がるだろう。

デモクラシーで大事なのは、インフォームドコンセントだ。つまり雇い主はそれがどんな仕事なのかをきちんと伝えたかどうか、そして雇われる側はそれに対してきちんと同意したかどうかだ。当時の韓国人慰安婦にはそのどちらもなかったように思う。

何人かの慰安婦がその雇い主の男性に共感的な心情を持っていたのが事実だとしても、それはこの問題とは無関係だ。それは一部の奴隷がその奴隷主から比較的よい待遇を受けていたというのに似た話にすぎない。
+346

●アメリカ(マサチューセッツ州)
そう、これはいわゆる「ストックホルムシンドローム」なのよ。ある状況に陥った被害者はその加害者に対してある種の忠誠心をもつようになる。そうしないと自分の生存が確保できないからだ。これは「愛情関係」なんかじゃない。「従属関係」というべきよ。

朴教授は慰安婦の強制連行の裏には大勢の韓国人協力者がいたというけど、彼らがそうしたのは侵略者である日本軍を満足させるためだった。これと似たような共依存関係は世界中どこにでもある。たとえば国連の平和維持軍兵士が貧しいカンボジア人女性を食い物にしたようにね。
+204

●オーストラリア
これは複雑な問題だ。だけどこういうややこしい議論には、シンプルな視点の方が逆に真実を照らしてくれることが多いものだよ。ここでコメントしている人もそうだけど、当時の韓国人がみな無力で他に選択肢がなかったと考えているようだけど、僕は必ずしもそうじゃないと思うな。

ソルジェニーツインやアンネ・フランクの例をみてもわかるように、人間というのはどんなにひどい圧政下にあっても個人の選択と道義的責任を保ち続けるもんだよ。

真実の歴史を調べようという人を僕は尊敬する。もちろんそうすると一部の人はすぐバリケードを作って反対の声を上げたりもするんだけどね。

だけど気に入らない意見に対して、悪罵と訴訟でもって葬り去ろうという考えが主流派であるうちは、韓国社会はけっして市民的な成熟を達成できないと思うよ。
+53

●アジア(韓国)
僕は歴史を学ぶ学生だ。僕は以前、1920年〜30年代に生まれた韓国人にインタビューをしたことがある。その証言からわかったのは、韓国人の父親が娘を売り飛ばしたことと慰安所のオーナーが韓国人女性を騙して連れてきたのは事実だということだ。日本軍による強制連行を目撃した人は一人もいなかった。

慰安婦の父親は借金の形にその娘を慰安所に売った。慰安所はその代価を前金で支払った。娘たちの奉公期間は、前金の額によって決まった。借金を返済しないかぎり、娘たちはそこから出て行くことができなかった。強制や監禁といった暴力を働いたのは、慰安所の韓国人オーナーだった。したがって、もし彼女らを「性奴隷」と呼ぶのなら、正確には「慰安所の韓国人オーナーの性奴隷」と呼ぶべきだ。彼女たちは日本軍の性奴隷だったわけじゃない。これらの事実は、2013年に発見された慰安所の韓国人従業員の日記によって明らかにされた。

僕は日本軍が無罪だったと言っているわけじゃない。慰安婦に対する需要を作り出したのは、日本による中国と東南アジアへの侵略戦争だったからだ。

しかし、韓国国内で信じられている「日本軍が突然玄関に現れて韓国人少女をさらっていった」という話は嘘っぱちだ。韓国人の事業者が韓国人女性をかき集め、慰安所を経営し、日本軍相手に金儲けをしていただけの話だ。日本が謝罪したのはあくまでもその一部分に対してだ。韓国政府は、その事実を認め、これ以上日本に謝罪を求めるべきではない。
+225

●アメリカ(ジョージア州)
「性奴隷システムの最前線で働いていたこれらの憎むべき韓国人ビジネスマンの存在は、だからといって日本軍および日本政府の責任を帳消しにするものではない」

これは同じ理屈で次のようにも言えるよ。
「日本軍および日本政府の責任は、だからといってこの憎むべき韓国人ビジネスマンの罪を帳消しにするものではない」

ここにあるのは、日韓どちらの国も強い家父長制社会であり、そこで女性たちが虐げられてきたという醜い真実だ。
+141

●アメリカ(オハイオ州)
わたしは、アメリカ人女性歴史家として、慰安婦問題の複雑さを理解している。今回、朴教授が光を当てたのはとても興味深い、そして明らかに混乱を巻き起こす新しい事実だ。しかし、問題は一般の人が必ずしも事実を知りたいとは思っていないことだ。もし彼らに真実を知らせたいのであれば、タイミングも重要だ。

わたしは朴教授が研究成果を公表すべきでなかったといっているわけではない。もちろん学問の自由をふみにじる韓国政府を擁護しているわけでもない。

朴教授がえぐりだしたのは日本軍の悪行ではなく、それに協力した韓国人の悪行だ。また朴教授が非難しているのは韓国社会にいまも根強く残る家父長制とそれが生み出す女性蔑視の考え方だ。そしてこのような切り口は、それまで多くの韓国人が教えられてきた切り口とは真っ向から対立するものだ。要するに一般の韓国人にとって彼女の説は衝撃的すぎるものだったのだ。

歴史的事実が一般人に抵抗なく受容されるようになるには最低でも数世代、あるいは100年程度かかるのが普通だ。アメリカの奴隷制度に関する研究が長足の進歩を見せたのも21世紀になってからのことだ。
+47

●アメリカ(カリフォルニア州)
奴隷主と協力したとしても奴隷は奴隷である。奴隷主と協力しなかった奴隷は死んだ奴隷だけである。
+237

●アメリカ(ニュージャージー州)
日本でしばらく働いていたことがあるけど、日本の歴史教育にはかなり当惑させられたよ。日本人は第二次大戦中の日本の戦争犯罪を一切認めようとしないんだ。学校の授業でも、中国、韓国への侵略の歴史は教えられていない。ましてベトナムや他の国についてはなおさらだ。

高校の歴史教科書は、日本を犠牲者として描いている。要するに日本人が性奴隷を否定するのは、日本政府がおこなってきたこれまでの教育の成果だといえるだろう。

かえりみるに、わがアメリカはどうだろうか。

われわれの性奴隷は文字通り黒人奴隷がそうだった。しかも当時、それは合法だった。ジェファーソンをはじめ、多くの白人奴隷主が黒人奴隷に子供を産ませた。

またわれわれはいまもアフリカ人を二級市民扱いしている。われわれにだって日本人を非難する権利などないと思うよ。
+171

●アメリカ(ニューヨーク州)
事実は小説より奇なりだよ。多くの女性は死ぬまで繰り返しレイプされた。
また捕虜となった男性兵士は強制労働の中で死んでいった。
ほんの一部、親切な日本人がいたことを針小棒大にあげつらったところで、日本が犯した大罪は消す事ができないよ。
日本人に過去を忘れないよう努力する若い世代が出てきたのはいいことだ。
+150

●アメリカ(ハワイ州)
西洋の軍隊における買春は多くの場合、人目につかないよう隠されてきた。それは、西洋社会の偽善的な態度に起因する。

19世紀のインドでは、英国は慰安所に似たシステムを持っていた。それは兵士たちが性病にかかるのを防ぐためだった。ところが、聖職者たちがそれに対して大騒ぎしたため、廃止されてしまった。

以後、イギリス人とインド人の兵士は、民間人が運営する売春宿に頼らざるをえなくなった。ベトナム戦争中のいわゆる「R&R」(管理人注:レスト&レクリエーション=休息と娯楽) も同様に民間業者によって提供されていた。そしてそこにはアメリカ軍の関与もあった。兵士たちをバンコクやマニラ(そしてソウル)に移送するのはアメリカ軍の役目だったからね。

この慰安婦問題は、日本の植民地支配とそこでの韓国人の犠牲を象徴するシンボルとなってしまった。そこに、日本軍と協力して韓国人女性を駆り集めていたのがほかならぬ韓国人自身だったという新しい事実を提示したのが朴教授だ。それが韓国人の怒りを引き起こした。

しかし、多くの韓国人が日本軍に協力していたのは事実だ。しかもそのうちの一部は非常にうまくやっていた。その一例が現在の韓国大統領パククネ氏の父親だ。彼は日本軍の将校だった。

韓国のナショナリストは、韓国が100%犠牲者だったというイメージを作り出そうとしている。それは日本の保守主義者が、広島と長崎を盾に日本は犠牲者だったというイメージを作り出しているのと同じだ。日本と韓国、そして中国にとって、歴史というものはたんなる政治的な道具でしかない。それが後世への知恵として扱われることはない。+151

アメリカ人の知ったかぶりには困ったものです。

あの戦争に関する真実を広めるため、また反日プロパガンダを粉砕するため手弁当で活動を続けております。皆様のサポートがいただけるとたいへん助かります。