好きな事に関われるならどんな土地でも働けると思ってた

7年前、ピカピカの新入社員だった頃を思い出す

第一志望の会社から豪華な入社式で迎えられ夢を叶えられることを疑っていなかった

そんな私からピカピカが剥がれたのは実習が終わった半年後、配属地が決まった時だった

関東に配属されると思っていた私は9月から静岡県に住むことが決まった
同期が500人いたが、同じ配属になるのはたったの10人だった

全く知らない土地でほとんど会話がない日々を過ごして初めて働く土地が大切だと思った

そもそも望んだ仕事なんて元からなくて、安定していればなんでもいいという人もいる

しかし、それは今まで慣れ親しんだ土地あるいは望んだ土地で
安心する家族や友人がいたから言えたことではないだろうか

望んだわけではない土地で、望んでいない仕事を任せられる会社員がこの日本には大勢いるだろう

この仕組みのおかしさに気づかず何が原因かも分からずゆっくりと心を病んでいくピカピカの新入社員の皆様
環境の変化は思ったより人間の心に影響を与える
自分は大丈夫だと思わずに遠く離れてしまった家族や友達に学生の時に戻ったように他愛もない話をしてみてほしい
それだけでも心は元に戻っていく

私は辞めるまでの5年間、本当にずっと配属地の愚痴を言っていた

(謝っておくが、静岡県という場所は本当に住みやすい
毎日晴れているし、日本の真ん中あたりにあるのでどこに旅行するにもアクセスがいい
百貨店があるので買い物にも困らない
自分の地元が元からここだったら県外就職など考えなかっただろう
これだけの利点があっても文句たらたらだった
実家に帰省するために車で10時間、または新幹線と特急を乗り継いで7時間かかっていたのも嫌な原因のひとつである)

今になって思えば、望んだ土地以外で生活する経験は私の人生を豊かにしてくれた
友達ができそうもないから二人乗りのオープンカーを買って四国を一人で一周したり
思い立って琵琶湖を見に行ったり
時間が有り余ってバイクの免許を取ってみたり

そもそもこの気持ちの切り替えに2年ほどかかったが、関東に住んでいたら思いつきもしないことにたくさん手を出した

しかしそれは関東でできることの引き換えに得ただけで、
仕事終わりに学生時代の友人と飲みに行ったり
思いつきで観劇に行ったり
全国ネットのテレビで見た流行りのお店に行ったり

どちらをやりたかったかと言われると今なら非常に悩む
当時なら間違いなく関東と答えるし、貴重な二十代前半を失ったとさえ言うだろう

最終的に私は好きな会社と好きな土地で働くことを天秤にかけ、結婚して辞めるまでの5年間好きな会社を選び続けた

好きな事に関われるならどんな土地でも働けると思ってた

しかしそれは少し間違いで、

好きな事に関われるならどんな土地でも(文句を言いながら、自分で楽しめる方法を見つけられれば)働ける のだ

文句を言い続けていた5年間は今再就職する私の履歴書を華やかに彩ってくれている


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