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関係舎の原案

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記事一覧

関係舎の原案/「町は静かになりたかった」

関係舎の原案/「町は静かになりたかった」

(フライヤーデザイン:サノアヤコ)

イントロダクション入れ替わり立ち替わり、町に人がやってくる。
大きなビルが次々できて、町はどんどん変わっていく。

みんなといるのが楽しくないわけじゃない。
みんながいて楽しくないわけないじゃない。

だけど、ここでは誰も、ひとりで泣かせてはくれない。

キャストA/主人公(マチ):大学生。あまり自己主張をしない性格で、唯一の趣味は図書館通い。小さい頃にDから

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劇場通り抜け公演「搬入と搬出」

単なる思いつきですが、実行力のある人がいれば【原案】として託します。

「搬入と搬出」会場

任意の劇場。ただし、劇場内へ出入りのできる経路を2つ以上有すること。

開場前に行うべき準備

劇場内(できれば舞台上)に3つの台と3つの箱を置く。3つの台はそれぞれソーシャル・ディスタンスを考慮し、互いに距離をおいて配置すること。

箱は60cm×60cm×60cm程度。3つとも同じ大きさで、蓋がついて

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関係舎の原案/「夜を通る」

関係舎の原案/「夜を通る」

(写真撮影:奥山郁)

イントロダクション「久し振りに会ったのに、お葬式みたいな暗い顔してどうした?」
棺の中から、それはそれはフツーに起き上がってきた親父は、開口一番そう言った。

「葬式は明日だよ」
と、泣き腫らした顔で俺は冷静にツッコミを入れる。
そしたら親父は困ったような目をして、
「最後くらい笑って送り出してくれよ」って言ったんだ。

蝋燭の火を絶やすな。
話題の花を枯らすな。

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関係舎の原案/「思い出にニスを塗れ」

関係舎の原案/「思い出にニスを塗れ」

(舞台写真:保坂萌)

イントロダクション 今ここにいないあの子の絵を描こう。
 今ここにいないあの子を呼び戻すために。

 あの子はきっと綺麗だった。
 あの子はもっと嫌な子だった。

 思い出を美化してはいけない。
 思い出は保存しなくてはいけない。

 描き上がることのない肖像の前で、私たちは立ち尽くしたまま。

キャストA:油絵画家でもある母親の絵画教室を手伝っていた。自分で絵を描い

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関係舎の原案/「タナトスのガールフレンド」

関係舎の原案/「タナトスのガールフレンド」

(舞台写真:保坂萌)

イントロダクション 女は高熱を出していた。
 男は風邪薬を買いに出かけた。
 死神が部屋にやって来た。
 男の死期は近づいていた。
 死神は男を迎えに来た。
 女しか部屋にはいなかった。
 死神は女に用はなかった。
 女は男の帰りを待っていた。
 死神も部屋で待つことにした。
 男はなかなか帰ってこなかった。

 なんにもならないのに出会ってしまった、ふたり。

キャスト女

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