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【インタビュー】プロスの外国人材事業が本格的な開始!社内スペシャリストの“リアルネパール訪問記”(#プロスグループ)

プロスグループで展開する「外国人材活用サービス」。「簡単にわかる外国人材」を目指し、今後コンテンツを作っていきます。初投稿は、社内スペシャリストの安食のインタビュー。

Gファクトリーの取締役で外国人材に知見を持つ安食は、「ネパール人材はポテンシャルがある」という思いで、実態を調べるために直接ネパール視察に。その訪問記のリアルストーリーを聞いてみました。

Gファクトリーの安食

ネパール視察を決めた経緯は?

―今回初めてネパールへの視察に行かれたということで、まずネパールへの出張を決められた経緯を教えてください。

ネパールは、日本への留学生がここ5年くらいで右肩上がりに増えてきている実態があり、その流れの中で弊社としても留学生の派遣事業を検討したことがあります。その時に色々と調べたのですが、ネパールのアッパー層、つまり優秀な人は欧米に行きたがり、その下のミドル層が日本に来たがる傾向があることがわかりました。なぜ日本に来るのか、その理由は留学生を受け入れる日本語学校の先生も知らないのですが、とにかく年々増えている傾向だけがあったんですね。留学生は150万円程度のお金を払って日本に学びにくる。一方で、技能実習生は50〜80万払えば来られるのに、まだ多くはないのです。このギャップが不思議でした。なぜそのような状況になっているのか、調べてみる価値があるのではないかと思いネパール視察を決めました。

―実際G-Factoryのお客様でネパールからの人材を受け入れていらっしゃる企業様はあったのでしょうか?

はい、数は少ないですが、受け入れている企業様はあります。ご担当者様からは、ネパール人は長く働いてくれるよ、何が違うの?という声を聞いていました。ただそれ以上の詳細が分からず、気になっていたというのもあります。2023年の9月中旬あたりに、まだネパールからの人材を受け入れたことのない企業様から、ネパールからの留学生はすごく優秀と聞くが実習生はどうなのか、何か情報はないのかと聞かれ、いよいよ行かねばと思い出張手配を始めたというのが今回のネパール出張の直接的なきっかけです。

リアルなネパール訪問記

ネパールの空港

―実際ネパールに出発されたのはいつ頃で、どれくらいの期間行かれたのですか?

行くと決めたのが出発の3週間前で、2023年9月末に4泊5日で行くことにしました。
ネパールまでは直行便だと7時間くらいなのですが、直行便は私としては利用したことのない航空会社の運行でなんとなく不安で(笑)、インドのデリー経由の便を使ってトランジットで行くことにしました。デリーまで7時間かかり、現地の夜に着いて、次の日の朝カトマンズへ。日本からの移動時間はほぼ24時間かかったので、ネパールに滞在できたのは実質2泊3日でした。

―なかなかの強行スケジュールですね!その3日間の過ごし方はどのような計画だったのですか?

現地でやりたかったことは、まずは送出機関3社の視察ですね。加えて、どういうところでどんな生活をしているのかがわかるような現地のまちの視察。また日本での就労の内定が決まっている実習生の面談も予定していました。

現地で食べたネパールの代表的な家庭料理「ダルバート」

現地の送出機関について

今回訪問した送出機関の外観

―今回接触された3社の送出機関は、どのように選定されたのですか?

ネパールにある送出機関は聞くところによると全体で50社ほどあるそうで、そのうち日本向けだったり中東向けだったり、留学生派遣をやっていたり、いろいろな種類があります。そのうち今回会った3社を選んだ理由は、悪徳ではない良質な業者に接触したいという意図から、まず、外国人技能実習機構という日本の機関のおすすめの送出機関になっており、日本の国として調査してまともな機関であるお墨付きがある中から選びました。加えて、日本国内に管理機能を持っており、日本国内での就労中に問題が起きた時に母国語を使って対応してくれること。また3社のうち1社は日本の大手アウトソーシング会社が提携していることもあり、まともな機関なのではないかと思えました。

―実際接触してみていかがでしたか?

接触した3社はどこも監理団体との不当な関係性があることもなく良質な機関でしたね。ただ、まだどの送出機関も未成熟で、例えば日本語教育についても、日本のネイティブの先生がいて日本語を教えるのが理想ですが、送り出しの実績がまだ100〜200人程度と少なく、優秀な先生を採用する予算がないのです。

―送出機関の教育というのはどういう内容なのですか?

基本的には日本語教育がメインで、加えて、日本の風習、法律についても教えます。財布拾ったら自分のものにしたらダメだよ、お店で物を勝手に持ち帰ったら万引きになるよ、警察に捕まるよ、などのような内容ですね。また今回接触した3社はいずれも、オーナーまたは責任者が日本に10年近く住んでいた経験のある人だったというのは特筆すべき点でした。日本では仕事の考え方が違うよ、日本語を学ぶのは仕事のためだけじゃなくて日本で楽しく生活していくために大事で僕たちはこういう生活をしてきたんだよ、日本は楽しいし綺麗だしいい国だけどこういうこともあるんだよ、など、自分たちの実体験や苦労も話していることが印象的でした。

ネパールの人々が国外に出る事情

現地で撮ったネパールの街並み

―そもそもネパールの人々はなぜ国外に働きに出るのか、その辺りの働き手の事情について分かったことがあれば教えてください。

大前提として、ネパールはフィリピンに次いで出稼ぎ労働者の多い国です。出稼ぎすることがもっとも大きな収入につながるという風潮があるんですね。留学生の送出機関であれば、面接で合格しなくても、お金とビザの段取りがつけられれば日本に行けます。一方、技能実習生は行きたいですって言って面接して、受かったら、4ヶ月勉強してから行くことになるので、安い代わりに行くまでが大変。なので留学生が多いのだということも、現地に行って分かりました。
ネパールから日本に行く人は10〜20代中盤。家族や親戚で海外に出稼ぎに行く人が多くて、その出稼ぎ先で一番多いのは中東だそうです。建設、溶接、道路を作るなどの仕事で、月収5万円ほど。そのうち2〜3万円を国に仕送りする。家族や親戚で何人か出稼ぎしている人がいれば幸せに生きていけるレベルになります。45歳くらいまでには中東にいくとして、若いうちに日本へ行き、勉強や仕事をするというコースを辿る人も一定数います。

ネパール人材の失踪について

ネパールの日常

―日本に来る実習生がなぜ失踪しないのか、その点について分かったことはありましたか?

そもそもネパールには産業が少なく、ビルや工場もとても少ないです。食料や調味料はインドや中国から輸入しているし、農業も自分たちで食べる分を生産しているだけ。なので自国で働き口がないので、一度出稼ぎに出た働き手としてはあまり国に帰りたくない思いもあるんですね。留学生であれば、日本で学び、その後技人国で在留資格を取ることができれば、家族も呼べるし長期間に渡って日本にいられる可能性も掴むことができます。技能実習生の場合は10年海外で出稼ぎをしてお金が貯まれば自国に帰っても生活していくことができます。ネパールの人材は留学生も技能実習生も失踪しないと言われているのは、国に帰っても仕事がないからなんです。失踪して捕まったら必ず強制送還されるので、途中で仕事がなくなるリスクが大きい。何かあったら国に帰ればいいやと思っている他の途上国に比べると、帰っても稼げない事情があり失踪しないということも現地の事情を聞いてわかったことです。また、特定技能1号から特定技能2号になる道もあるので初めは我慢して働き特定技能2号を目指す方が多いです。そのため失踪の道を選びません。

―そもそも出稼ぎをするくらいしか収入を得る手段がないということなのですね。その出稼ぎ先として色々選択肢がある中で、日本が選ばれる理由は何でしょうか?

技能実習生が日本に来るモチベーションとしては、まずは円安もあります。この記事を制作している2023年時点では、レートの兼ね合いで月収8〜10万円相当になり、中東の倍くらい稼げる国です。また家族からすると、ネパール労働者に対して暴力行為が横行していて心配です。一方、日本は、留学生として何万人も行くけどアルバイト先で暴力もなく安全で、家族としても安心して送り出せる国という認識があるようです。ちなみに、中東、日本の他にネパール人の出稼ぎ先として多いのは実は隣国のインドです。陸路で入れて、ビザがいらないんですね。国境に近いところでいうとデリーで働いて週末帰ってくるという働き方の人も多く、短期の労働者もかなりインドに行っているようです。昔の日本の、東北や北海道の人が農業できない間東京にくる、という感覚に近しいものがあります。

今後の取り組み

―最後に、実際にネパールに行ってみられて感じている、今後取り組みたいことについて教えてください。

海外から日本に来て1人でも多くの人が幸せになれるような取り組みに注力したいですね。自国に産業がなくて、お金に困る、そういう人の受け入れをできればしていきたい。お金に困ったことが原因で失踪したり犯罪に手を染めたりしないような工夫をしていくことです。儲かるからこの送出機関、儲かるからこういう取り組み、じゃなく、ハッピーを増やしていくことを念頭において仕事していきたいですね。これまでG-Factoryではベトナムやタイも送出機関をしっかりと選んで協業してきました。ネパールにおいてもそれと同じように、良質な機関を選んでお取引していきたいですね。

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