かわいそう……だと?

 また北海道新聞に、こんな記事が載った。

 60頭以上の牛を襲った(要するに食い殺した)ヒグマを駆除したハンターに、主に道外から抗議の声が相次いでいるそうだ。「かわいそう」だ、と。

 この想像力の貧弱さは何だろう。

 「なぜ殺した」? 殺す以外にどういう方法があっただろう。

 「かわいそう」? 食い殺された牛の立場、その牛たちを飼養していた酪農者の立場はどこへいったのだ?

 ハンターは、牛たちや、それを飼育する人間と、その生活を守った。それだけのことだ。

 いいか、ヒグマはプーさんの姿はしていない。パンチ一発を食らえば人は死ぬし、頭を咬まれれば頭蓋骨は砕ける。猛獣の中の猛獣だ。

 内地にどんな害獣や、害虫が現れ、農作物や人間に被害が生じても、駆除は一切するな。かわいそうだから、駆除は一切しない、一頭たりとも、一匹たりとも殺さない者だけが、抗議をしてもよいだろう。

 ヒグマが殺されるのがかわいそうだと思うなら、ゴキブリの一匹も殺さないことだ。ゴキブリは人を殺さない。かわいそうだから、ゴキブリを殺すな。

 シロアリをなぜ駆除した? 家を守るため? こちらは牛を食い殺されているのだ。60頭も。大切な命が60頭も奪われたのだ。家なんてまた建てればいいだろう。奪われた命は戻ってこないのだ。なぜ殺した、シロアリの群れを。

 そういうことだぞ。

 文句を言いたいなら国に言え。ヒグマの捕獲と飼育を許可するよう、法改正を迫ることだ。
 そして、ヒグマを捕獲して飼育すればいいのだ。人間の力ではとても太刀打ちできない猛獣を、大きな檻でもって飼育してやればいい。犬や猫でさえ持て余す人間に、ヒグマを飼えるのならば飼ってみせればよい。ひとたび檻から逃げれば、大惨事が起こる。その責任を取れるのならば、飼ってみせればよい。さあ、国に抗議するのだ、ヒグマを飼育できるようにしろ、と。

 今、おじさんは猛烈に怒っている。

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