Y医師のストックホルムの街角から~#3 優しい先生
久々のマガジン再開です。
今回は、この数か月間に起きていたことと、マガジンを再開するに至ったきっかけについて、「お知らせ」をしたいと思います。
今回は、あえて敬愛の情をこめて「Y先生」とお呼びしたいと思います。
試験への挑戦と精神の疲弊
はじめにお断りしておきますが、今回のマガジンは自分語りがかなり多めです。
現在私はある国家資格に挑戦中です。超とまではいきませんが、難関といわれている資格です。
試験を1月下旬に控えた昨年秋ごろから、私は精神的なバランスを大きく欠くようになっていきました。「このままでは次回の試験に間に合わない」という焦りと、これ以上はどうやっても時間を捻出できないという物理的制約の間で葛藤し、にっちもさっちもいかない精神状態になっていました。
私が通っているメンタルクリニックの主治医には、「気合いだけで乗り切ろうとすると気分が落ちたときの落差が激しくなります。勉強する時間は制限してください」と言われました。その言葉もなかなかすんなりとは飲みこめなかったのですが、よく考えた結果は、1月下旬の試験は諦めるしかない、というものでした。とは言っても、既に受験料も払っていますし、ホテルも押さえてありましたから、一応試験だけは受けよう、そこまでは精神状態をこれ以上落とさないようにする範囲内で、尽くせるだけの力は尽くそうと考えました。
一方のY先生ですが、こちらも公私において大変忙しい時期を迎えていて、しばらく連絡が途絶えてしまう時期もありました。
それでも、こちらの現況をメールで伝えると、返事をくれました。
私が受けようとしていた試験は、過去の試験の結果から、一部の科目が免除されるというシステムがあり、その期限が1月の試験だったこともあって、正直に言えば諦めきれない気持ちもあったのですが、Y先生からのメールがそっと背中を押してくれたような気がして、安堵を覚えました。その返信として私が送ったメールには、このような一節がありました。
かなり危ない精神状態だったことがわかりますし、そこからY先生は私を救ってくれたことがおわかりいただけるかと思います。繰り返しになりますが、Y先生はこの時期公私ともに大変に多忙であり、その中で貴重な時間を割いてメールを返してくれたのでした。
試験の失敗と、Y先生の優しさと
案の定と言いますか、想定どおりと言いますか、試験は失敗に終わりました。去年の夏から常々気に掛けてくれていたこともあり、私はすぐにY先生に一報を入れました(──に続く発言が私のものです)。
お恥ずかしい話ですが、Y先生からのメッセージを読んで、年甲斐もなく泣いてしまいました。妻ですらねぎらってくれない受験について、こんなにも親身になって考えてくれ、励ましてくれる。本当に今受けている資格を取りたいのか考え直すように促してくれたのは、精神状態の悪化を懸念してでしょう。
そんな人が周りにいてくれるなんてこと、信じられますか? まあ、周りと言っても私の場合はストックホルムですけど。
Y先生は、こんな優しさの塊みたいな先生なのです。
大忙しのなかでのお誘い
さきほど、Y先生は公私ともに大変多忙でということを言いました。私のほうは詳しくは存じ上げませんが、一時期連絡が取れなくなる程度には、リズムというかバランスを崩した時期があったようです。
公のほうは、やれ外国で学会だ、やれ臨床研究だと大忙しの毎日を送っておられました。
とりわけ行政機関に提出する書類に手を焼いていて、英語で書けばいい論文とは異なり、すべてスウェーデン語で書かなければならないそうで、それが大変な苦労であるようです。
そういった内容の、Y先生の近況を伝えるメールをくださいました。幸いなことに、これまた優しい上司の手助けもあって、何とか期限までにひと仕事片付きそうだ(片付いたよ、ではないところがY先生らしいところです)、という長文のメールの最後に、こんな一文が添えられていました。
ああ、公私の私のほうも随分落ち着いてきたんだな、と思いました。私のほうも試験でいっぱいいっぱいでしたから、全然そんな余裕がないことをわかっていて、ちょうどいい頃合いを見計らってお誘いの言葉をかけてくださったというわけです。
そのようなことで、マガジン『Y医師のストックホルムの街角から』を再開する運びとなりました。
最近ぼちぼち記事を上げていたのは、実はこのお誘いを受けて、文章を書く「リハビリ」をしていたからなのでした。試験は記述問題が主なので、この数か月間試験で点数を取れる文章しか書いてこなかったものですから、普通の文章を書けるように練習を繰り返していたのです。
まだまだ皆さんの、そしてY先生の期待に沿えるようなレベルには達していないかもしれませんが、どうか生暖かく見守っていただければ幸いです。
どうぞ『Y医師のストックホルムの街角から』をよろしくお願いいたします。
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