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キーボード葬送

キーボードなどというものはそうそう壊れるものではないだろうと思っていたのだが、夜半過ぎに異変に気づき、仕事が止まる。

壊れたのはスペースキーと、カーソルを下へ動かすキー。位置的に、なんとなく、近い関係にあるが、連動して壊れたのだろうか。

壊れてみると、この二つを使う頻度が高いことを再認識する。

スペースキーは日本語を書く時には変換キーだし、英文を書くときに、これが反応しないというのはリズムやら効率に非常に響く。

「カーソルを下へ動かすキー」は文章を書いているときに、かなり使っていることに気づかされた。文章を直し終わって、行末に飛んで続きを書くときなどにやたらに使っている。

そう考えれば、壊れるのもムベなるかな。宜なるかな。

思えば、15年近く使っていた。Appleのワイヤレスの初代だと思う。以前、ここでのタイトル画像にも使った。

こればっかりは仕事の効率に大きく響くので、ほぼ開店と同時に、近所の量販店で直接、後継機Magic Keyboardを買った。こういうときに歩いて5分に大手量販店が2軒もあるのは助かる。1軒目で在庫があったけど。

Magic Keyboard。前のよりも角度が緩い。こっちの方が工学的に使いやすいということではあるんだろうけど、慣れるまでは違和感が残る。

しかし、手首を支えるパッドとの関係が前よりいいようだ。このところ、手首に負担を感じていたが、ずいぶん楽に打てるような気がしてきた(慣らし運転でこの文章を書いているようなものなのだけど)。

もうひとつ大きく違うのは充電式であること。今更な話ではある。

前のは電池式。充電池のエネループを取り替える頻度もこのところ多くなっていた。思えば、この手のワイヤレス機器に使うために、エネループをまとめて10本買ったのを今でも使っているのだから、そのエネループも15年使っていることになる。エネループが三洋電機からパナソニックに売り渡されてからも、もう12年くらいだそうだ。

エネループといえば、ちょっと年下の人に「エネループって、前はパナソニックじゃなかったよね」と同意を求めたら、「何を馬鹿なことを」という態度をとられたのをよく思い出す。人はあっけなく昔のことを忘れ、人の情報が間違いであると思おうとするときがある。当方の情報能力への信頼度が低いということでもあるのだろうけど、情報は手放してはいけないだろうと思う。この先、あやふやな情報に騙されることは確実に増えていく。

新しいキーボード。内蔵の充電池の性能はわからないけど、悪い評判も聞かないから、大丈夫なのだろう。一度の充電でひと月もつという謳い文句である。

ものが壊れるのは寿命でもあるのだろうけど、長く使っているものが壊れると、何か悪い使い方をしているような気にやはりなる。

15年では付喪神も付かないだろうけど、やや後ろ髪を引かれる。

ももとせにひととせ足らぬ九十九髪、われを恋うらし おもかげにみゆ

やや宗教めいた話と、業平のものとされる歌を添えて、今回は終わることにします。

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