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複数で相談対応する難しさ

今日のよしなしごと。

1人で開業してカウンセリングを行う場合や、カウンセラーの指名制がある職場で働く場合は別として、基本的にはクライエントを最初から最後まで1人で担当する、ということは意外と少ないものです。

例えば、あなたの勤務時間と、クライエントの相談可能時間がズレていると、最初はあなたが話していて、途中から同僚が引き継ぐ、ということは普通にありますよね。あなたがフルタイム勤務ではないなら、あなたのいない日にあなたが担当していたクライエントが来ることも珍しいことではありません。

このように、1人のクライエントを複数のカウンセラー(相談員)が担当する場合、どうしてもとらえ方や、考え方の違いが生まれてしまいます。

分かりやすい例としては、あるクライエントの無礼な応答に対して、相談担当者Aは「試し行為」として捉えているけれど、相談担当者Bは「クレーマー」として捉えている、などですね。

こういった場合、Aさんが忍耐強く話を聴いて、クライエントが心を開きつつあったのに、Bさんの応答がきっかけで元の木阿弥になってしまった。ということになりかねません。

また、「家族には相談できない」という前提で話を聴いていて、最終的に自治体の支援窓口にリファーしたところ、その窓口で「まずは家族に相談してみたらどうですか」と言われてクレームになった、なんてケースもあるでしょう。

前者は引継ぎをきちんと行えるようにマニュアルを改定することで、改善することが可能かもしれませんが、後者については改善できない可能性も考えられます。

なぜなら、自治体の支援窓口の場合、「使えるリソースは全て使った上で、それでもダメなら初めて支援する」という考え方も根強いからです。一番分かりやすい例が、生活保護の家族照会ですね。家族に頼れるなら、生活保護なんて必要ないはずです。

もうこればかりは、どれだけリファー元とクライエントがラポールを作っていたとしても、リファー先の担当者の個々の考え方までは把握しようがありませんし、変えることも困難です。

育児に悩む女性の場合、「義両親に頼る」という選択肢はなかなか取りづらいケースも多いのですが、自治体の支援窓口だと、簡単に「義両親に頼る」ことを提案してきます。

もちろん、「義両親に頼れないだろう」という思い込みはよくありませんが、簡単に頼れるなら自治体の支援窓口には来ていないわけで。(「念のために確認なんですが、義両親さんには援助を求めることは難しいのでしょうか…もしそうならちょっと理由も教えてくれると助かります」程度ならいいんですけどね)

1つの職場でも、引継ぎが上手くいかないことは多々あります。他の機関まで含めば、個人情報保護の問題もあり、非常に難しくなることは言うまでもありません。

全ての相談を1人で完結できる、そんなスーパースキルがあれば良いのですが…そういうわけにもいかず、どうしても「割り切り」が必要なこともありますね。


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