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part3 HSPの幼少期の足りなかった愛着形成と心の傷を癒して前に進む方法

こんにちは。
私はHSP(HSS型)体質で、仕事はNPO法人で心理カウンセラーをしています。

ここで発信する情報が、もしかして誰かのより良い人間関係やより良い子育てのヒントになれば幸いに思いブログを始めて2ヵ月になります。しかし、書くことで自分自身の新たな学びにも役立っています。

先日part2の記事では、ボウルビィの愛着理論の発祥と安定型愛着について詳しく触れました。

今回のpart3の記事はその連載ですが。安定型の理解が深まるので先日の記事を添付します。

訂正
※part2の記事で心理学者のエインスワースの研究で4つの愛着スタイル型に分けられたと記載しました。正確には、エインスワースは愛着スタイルを3つに分類し、後に1986年にメインとソロモンの研究によって更にもう一つの型が付け加えられて4つになりました。説明が足りなかったことをお詫びして訂正させていただきます。

心理学者が提唱するこの愛着とは、幼少期の母親との関係で築かれた絆とみなされています。愛着行動のパターンは4つありますが、今回の記事は残り3つのスタイル、不安定型 回避型 無秩序型について取り上げます。

この愛着スタイルの影響力について、精神科医の岡田尊司先生は下記のように述べています。

私たちの愛着スタイルは、内面の在り方や自己コントロールの仕方、ストレスに対する敏感さにも反映される。何を望み、何を恐れどのように自分を守り、どのように自分を律しようとするか。見えない腕となって結果を操っている。

例えば、人生でもっと違う選択肢を選びたいと望みながら、無意識に困難な道を選らんでいることが愛着スタイルの影響だと考えたことはあるでしょうか。それは、まるで体内に内蔵され目的地が既にセットされているカーナビだとしたらどうしますか?

ご自身のことをよりよく理解するために、どうぞこの先読み進める中でこのように自問してみてください。

自分はどの愛着スタイルの特徴に当てはまるのだろうか。どの愛着のスタイルが混合していそうだろうか。母親はどの愛着タイプだろうか。
そう考えながら読んでいただくと、ご自身の愛着の型を知り自己理解が深まる良い機会にしていただくことができると思います。

まずは、part2のまとめとして安定型愛着の特徴と利点を取り上げてみます。もしも、下記に挙げた特徴が当てはまればあなたの愛着スタイルは安定型といえるでしょう。他者が受ける印象については、社交辞令を言わない率直な気質のある家族にお尋ねになることをお奨めします。

安定型愛着の10の特徴

(本人の特徴)               
 1 人との触れ合いに喜びを感じる 
 2 情緒が安定して率直で前向きである。
 3 メタ認知能力が高い。
(自分を客観視し俯瞰する能力)
 4 メンタライジング能力が高い。(他者の感情を推し量る能力)
 5ストレス耐性が高い。
(他者が受ける印象)
 6 接していて怖さや危険な感じがなく安心できる。
 7 穏やかで気分や態度がいつも一定している。
 8 目線が対等で見下すような態度やおもねりすぎる態度をとらない。
 9 優しく親切だが必要なときには相手に言いづらいことも言う。
 10 相手の意志や気持ちを尊重し、決めつけや押しつけがない。

率直さという特徴について。
安定型の人が自分の意見を率直に言えるのは、相手に対する信頼と尊重をしているからこそ本音を話します。

それは、自分の意見を押し通すような感情的な話し方とは異なり相手に敬意を払います。どんな立場の人とも対等で人を見下したりしません。

ですので、安定型愛着の人は社会でも家庭でも周囲から愛され人望があることでしょう。

どうしたら自分の子どもは、成人して安定型愛着スタイルになれるのだろう。その答えに興味のある人は、ぜひpart2を合わせてご覧ください。

愛着スタイルの説明は、下記の岡田尊司先生の著書と他の文献を参照しています。また、下記の愛着名称の()内はその類似型と思われるものを記載しています。

回避型愛着

この愛着を持つ子どもの母親の特徴は、子どもとの身体接触を嫌います。幼少期から子どもに甘えさせることがなかったり、子どもに無関心で病気や仕事など何かの理由で子どもの世話ができない親です。

例えば、家庭がシングルマザーであったり、母親が仕事にのめりこみ精神的な余裕がないと子どもの心理的な必要に目を向けて時間を割くことが難しいでしょう。

回避型の子どもの特徴は、エインスワースのストレンジシチュエーション法という実験で、養育者が部屋にいてもほとんど注意を払わず、養育者を安全基地として探索行動を行う様子もあまり見られません。
また、養育者が子どもを抱っこしても子どもが抱きつくことはなく、抱っこから降ろされても嫌がる様子は見られません。

大人の回避型の特徴は、問題に向き合わないことで自分を守まもる愛着スタイルです。例えば、人間関係で親密になって相手を失うことが怖くて、初めから親密な関係にならないように避けます。

非応答的な母親の下で育った要因で、「自分は愛されない存在だ。」「自分には価値はない。」「他者はだれも信用できない。」など自分と他者に対してネガティブな認知を持っています。

そして、相手に心理的に支配されることや依存することを恐れ自己防衛をおこない、相手を見下すような傲慢な態度や自信たっぷりの素振りを示すこともあります。

わざわざこのような鎧をつけて人を遠ざけているのは、求めていることの裏返しだと岡田先生は述べています。やはり、幼少期の足りなかった愛情を無意識であっても欲する気持ちは、人として自然なことだと感じますが回避型は欲しながらも人を遠ざけるのです。

恋愛において回避型の人と長く付き合ってもうわべの親しさだけで、心の距離が縮まらず気持ちを共有することができないと感じることでしょう。なぜなら、回避型の人は、相手から情緒的な繋がりを求められることは煩わしいこと。利害や力で結ぶ関係こそが信頼できる唯一のものと考えているからです。

しかし、その行動の根底にある動機は、幼少期に求めても与えられなかった経験。人からの拒絶や裏切りへの強い恐れや不安な感情からです。もしも、私たちがこのことを思いに留めているなら、そのような相手の態度に寛容になることもできるのかもしれません。

今の時代、幼い子にスマホやネット子守をさせたり、傍にいる子どもを放って親が何かに夢中になる時間が長ければ長いほど、その代償として我が子が回避型愛着スタイルに近づく危険があると言えるでしょう。

何より子どもが回避型愛着に育たぬよう、我が子との赤ちゃんの頃から親子のスキンシップの大切さを。そして、どんなに忙しくても、日常の子どもの投げかけに応答することの大切さが身に沁みます。

不安型愛着(両価型・アンビバレント型)

この愛着を持つ子どもの母親の特徴は、気まぐれでムラがあり、子どもをかまうときと無関心なときの差が大きく神経質で過干渉の場合が多いようようです。

時には、甲斐甲斐しく子どもにかまっていた母親が、下の子どもの誕生や何かの理由で以前と同じように世話ができない状況が、子どもを不安や満たされない思いにさせることもあるようです。

不安型の子どもは、母親から離れると激しく泣いて強い不安を示すのに、母親が再び現れて抱っこしようとしても、母親がいなくなったことに腹を立てて怒ったり、拒んだり嫌がったりします。

母親の安全基地としての機能が十分でないために、愛着行動が過剰に引き起こされていると考えられます。その後、不安障害になるリスクが高く、いじめの被害に遭いやすいといわれています。

大人になってからの愛着スタイルの特徴は、求める気持ちと拒絶する気持ちが併存している状態にあり、愛情は無条件のものとは思えず状況が変化したら見捨てられるという不安を抱いています。

それは、幼少期に親から過保護に甘やかされた一方で、親の意にそわないと強く拒絶されるという極端な成育経験の影響のようです。したがって、甘えたいとか愛されたいという気持ちの一方で拒絶されたら…という不安や恐れを常に抱いてしまいます。

その影響は、家庭での親の期待や社会で上司からの期待をかけられた時に、それが頑張るモチベーションになるより、「期待に添えなかったらどうしよう。」という不安やプレシャーが大きく膨らみ苦しんでしまうことになります。

不安型愛着の特徴は、否定的な感情にとらわれやすく些細なことをいつまでも引きずり、見捨てられることへの恐怖を抱えています。認められたい承認欲求がとても大きいので、それをないがしろにされた怒りは何年も収まらない傾向があるようです。

恋愛においては、相手の言動に左右されやすく、幸福感は相手の承認に依存しているので感情の落差が大きくて情緒が不安になりやすいようです。失恋して長く悲しみを引きずり、気持ちを整理して次に進めないタイプは不安型の人が多いでしょう。

アクシデントがあったときに、怒りの矛先は相手だけでなく自分自身に向かい自分を責めてしまう場合はうつ病を発症することがあります。このような場合、精神的な疾患の根底には深い愛着障害の問題を抱えていると考えられます。

不安型も回避型と同様に、感情の根底には拒絶されることの恐れと不安があります。このことから、幼少期に体験し続けた感情は、とても根深く大人になった私たちの思考を勝手に支配していると感じます。


自分の子どもを不安型愛着にさせない為に、親は首尾一貫した接し方で愛情をかけることの大切さを痛感します。

無秩序型愛着(未解決型愛着)

この愛着を持つ子どもの母親の特徴は、子どもに押しつけや支配や心理的虐待、ネグレクトを含め身体的虐待をしていたり、母親自身が精神疾患を抱えて予測不可能な行動をとっていたと思われます。

ですので、子どもは親に対して愛着を覚えつつも同時に、不安や恐怖の対象でもあるという過酷な環境で暮らしています。

子どもの特徴としては、愛着対象との関係がとても不安定で母親と離れた後再会したとき、凍り付くように固まったり強い当惑示したり、そっぽを向いて近づく奇妙な反応を示し。突然の怒りなど一貫性のない行動パターンを示す特徴があります。



大人になってからの愛着スタイルは、エンジンに一つトラブルを抱えた飛行機のようなもので負荷がかかるともろさが表れます。
例えば、子どもの頃の未解決の愛着の傷となっている出来事に触れたとたん、涙ぐんだり、怒りを表したり、話が混乱し客観性が失われ本人の思い込みや感情の渦に呑み込まれてしまいます。

その逆に感情を伴わない冷淡な語り方をする人もいます。

未解決愛着の人に伴いやすい問題として、解離症状や依存症のリスクがあります。

不快な現実に向き合うことを避ける行為として、意識や記憶を飛ばしたり、ゲームやお酒・食物など様々なことに没頭し気を紛らわせようとして依存していきます。

岡田先生の著書に不安未解決とらわれ型が登場しています。
このタイプは、傷つきやすく過剰反応しやすいと同時に孤独に耐えられず依存できる対象の人物にすがって生きるタイプだそうです。

しかし、それはつらい幼少期のトラウマを抱えていることが要因です。

時には、過去のトラウマで終わらず今現在もトラウマを生み続けていることがあります。それは、現在の親子関係や夫婦関係の問題が絡んでいると新たなトラウマに遭遇する状況が起こります。

過去の傷と現在の傷から抜け出せないと、不安定な精神状態に陥ったり境界性パーソナリティー障害などの精神疾患を患うリスクが高いといわれています。

ですので、愛着に傷を残してしまうと大人になってから、どんなに辛く生きづらい人生になるかを想像できるでしょう。

しかし、子どもの目に見えない心の傷は、親としては愛情をかけて育てていても不本意な場合もあると思います。

私自身も子どもが成人した現在、自分の子育てを振り返り反省の数々で胸が押しつぶされそうになったこともありました。

この記事を書くのも反省を実際に行動として表す動機の一つでもあります。

自分の愛着スタイルを見分ける

日頃、一見安定した人間関係を保っていると思われても、大きなストレスがかかったときに不安定な面が表面化したら、私たちの愛着障害が潜んでいることを疑えるかもしれません。

愛着障害の広義(広い意味)の特性は、些細なストレスに過敏に反応すること。相手との距離が近すぎるか遠すぎるかどちらかに偏ってしまい程よい距離が取れない特徴があります。

適切な距離で付き合えば長持ちする関係を、濃厚になり過ぎることで消耗し疲れてしまいます。

こうした相手との距離を理解し調節する土台となっているのが愛着です。

愛着スタイルはとても複雑で、上記のスタイルが混合することもあります。決して0か100かの問題でもありません。賢明な観点は、自分はその特徴が何%くらいあるのだろうか。どうしたら足りない愛着を安定せられるだろうか。そう謙虚に自問することでさらに変化し自己成長をすることに繋がると思うのです。

興味深いことに、不安型か回避型かの愛着スタイルの判断は次の質問の回答でおおよそ判断することができます。
ストレスや不安が高まったときあなたはどう行動しますか?

①人との接触を求めようとする→ 不安型
②逆に求めなくなる→ 回避型   

①不安型の人は、だれかの支えを求めようとする行動が過剰に増加して、ずっとだれかにそばにいて話を聞いてもらいたい。または、ずっと触れてもらいたいと過度に望むようになります。

しかし、大きなストレスでの過酷な状況、悲しい経験をしたら誰かに話し聞いてもらいたい。慰めてもらいたいと望むことは人として自然なことです。

ですが、その愛着行動が過剰すぎるなら不安型愛スタイルと言えるかもしれません。

②回避型の人は、同じ状況でも逆に誰かに寄り添ってもらおうとは考えません。むしろ人との接触が減ってしまうこともあるようです。

岡田尊司先生の著書「愛着障害 子ども時代をひきずる人々」のP203には愛着スタイルの自己診断表も掲載されています。興味のある方はぜひご参考になさってください。

また、クリニックでは成人愛着スタイルの検査もできるそうです。それは、医師の面接によるものと、質問紙による検査の二通りがあります。

もしも、長年解決できない問題に苦しんでおられるなら、専門医の診察を受けて支えを得ることやカウンセリングを受けることも賢明な一つの方法です。

信頼できる担当医やカウンセラーがあなたの安全基地にとなり、愛着の安定に貢献することもあります。

そのような行動は、いまの日本ではまだまだ勇気のいることですが、自分に合った専門家の支援は後の人生をより良く変化させるための早い解決につながります。

しかし、クリニックを受診し医師が安易に薬を処方しようとしても、本当に飲まなければ生きて行けないと感じる時以外。私は個人的に薬の服用をおすすめしません。薬の依存性や副作用の怖さを知っているからです。

ときにご自身ではなく、大切な友人や愛する家族の行動が愛着障害ではないかと感じることもあるなら。その場合どう対処すれば良いのだろうか。

自分がその人からの影響を強く受けているなら知りたいと思われるでしょう。

それぞれの愛着スタイルに適した対応は、ここでは取り上げませんでしたが、その点は上記の岡田先生の著書に詳細が記されています。また、愛着障害に関して複数の著書を出版されています。ぜひ、必要と感じられたら読まれることをお奨めします。

また、私自身も仕事で愛着問題のカウンセリングをおこなっています。

ご希望がある方、ご質問やご意見のある方はどうぞお気軽に「こころの相談すずらん」までお問合せください。どんなことでもご連絡を歓迎します。

いただいたお問合せは全て数日中にメールでご返信させていただきます。

こちらにホームページのURLを添付すます。どうぞご参考になさってください。https://www.suzuran-psychology.com/

次回part4では、愛着障害だった著名人から学べる実例と大人になってからの安定した愛着形成の方法と、その要となる安全基地についてお話したいと思います。

今日も貴重なお時間ここまで長文をお読みくださり感謝いたします。
ありがとうございました。

日頃カウンセラーをしている私の生きるモチベーションの一つに、困窮家庭や難民の方や国境なき医師団などを支え合いを6年続けています。例え100円でもその真心でこども達の未来に笑顔を!頂いたサポート金は、大切にお預かりして寄付として送ります。バタフライ効果どうぞよろしくお願いします。