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「The Posture」姿勢の教科書保存版〜ピラティスインストラクターが伝える真実〜

どうも吉田です。

NピラティスをOPENして。

たくさんの人の「姿勢」の悩みに向き合ってきました。


みなさんは「姿勢」をどうみますか?
何を評価していますか?
どう変えていきますか?


僕は理学療法士1年目の時は

「猫背姿勢だから、大胸筋がかたくて、背筋が弱くて、、」

みたいなことを考えて。

弱い部分を筋トレして・硬い部分をストレッチして、、、
そうすれば「姿勢」は良くなり、「体のメカニカルストレス」も減る!

と思っていました。

教科書的な姿勢分析や筋肉のバランスは全て頭に入れていてうまくやれると思っていましたが。。。


しかし・・・

現場は違います。


・硬い部分を伸ばしても立位に反映されない
・来週来た時にはすぐに戻ってしまう
・筋トレをして、回数もセット数も増えているのにも関わらず姿勢は変わらない


そんなお悩みを解決する1つのヒントとなるようにnoteを作ってみます。


<こんな人におすすめ>
・ピラティスインストラクター
・ヨガインストラクター
・理学療法士
・作業療法士
・トレーナー
・ボディワーカー
・医師

などなど。姿勢や体に関わるすべての人の+になれば幸いです。


主に

・教科書的なこと(解剖・運動・生理学・バイオメカニクス)
・論文的なこと(データからわかっていること)
・臨床的なこと(上記2つでは語れない臨床的な部分)

を3つを混ぜ込んでお伝えします。


1つでは語れません。


3つ必要です。


では1つ1つ丁寧に伝えていきます。




最初に伝えたいこと5つのまとめ

・姿勢で全ては語れません
・姿勢で全てを見ようとしないでください
・姿勢は1つのヒントです
・姿勢を筋肉だけでみないでください
・姿勢を治すことは「総合的な技術」が必要です

この5つがとても大事です。

5つを頭の片隅に入れながら読み進めてみてください。


教科書的な「姿勢」の基準をまずは知る

まずは教科書的な基礎からチェックしていきましょう。

みなさんが思い浮かべる「良い姿勢」を数値で示していきます。

頚椎前弯:30-35°
胸椎後弯:40°
腰椎前弯:40°
人間の背骨はS字カーブであり、立位の時の重心は第2仙骨前方

で、実際の重心線がどこに落ちると理想か?というと。。。

横から見た時に
耳垂ー肩峰ー大転子ー膝蓋骨後面ー外果前方

後ろから見た時に
後頭隆起ー椎骨棘突起ー臀裂ー膝の真ん中ー内くるぶしの真ん中

です。とてもシンプルですし、臨床で姿勢を見るときも。この線を頭の中でクライアント様の姿勢に引きます。


すると、どこがずれているのか?がよくわかるようになります。

実際のクライアント様のピラティス前の写真です↑

上の画像を見たときに。


「重心線よりも骨盤が前方にある」

ことがわかります。最初はこれくらい大雑把でいいんです。


この大まかな重心線によってアライメントの位置がわかり、次に細かく筋肉のバランスをチェックしていきます。


ちなみにピラティス5回目でこれくらいの変化になっています。

ここまで姿勢変化を出せるように目標を立てていきましょう!!


姿勢・上半身と下半身アライメントの基礎

これも教科書的な部分ですが、なんとなく頭に入れておきましょう。


まずは上半身の部分。

<上半身アライメント>
肩甲骨の位置は第2〜7肋骨の位置
肩甲骨内側縁は平行、内側縁と棘突起の距離は7cm
肩甲骨面は前額面で30°前に傾く
肩峰はTh1よりもわずかに下

胸骨下角は70~90度
上腕骨は内旋・外旋の中間位
上腕骨近位・遠位が一直線
矢状面から上腕骨と胸郭は平行の位置

骨盤は左右の腸骨稜が平行
骨盤はASISと恥骨結合が平行

次に下半身です。

<下半身アライメント>
ASISとPSISの角度は指1〜2押し前方に傾く
閉脚した時は膝内側、足関節の内側がくっつく

膝関節は屈曲・伸展中間位
FTAは175°が正常。180°でO脚、165°でX脚
ミクリッツ線(大腿骨中心〜足関節中心)は膝の中心〜
やや内側を通るのが正常

正常では足関節軽度外反位
leg-heel alignment、too many toe signでチェック

です。

あくまでも基準です。

ここから外れたら絶対NGかと言われれば。そんなこともありません。

骨には個体差があります。
左右差もあります。
生まれた時からの骨の形もさまざまです。


だから外側から見た「姿勢」だけ左右差を直すことがイコール全て正しいというわけでないのです。


歪みというのは「ある」という前提でOKです。(このあたりは臨床的です)

ここまでは基礎の基礎。
サクッと頭に入れておきましょう。

姿勢評価に必要な触診ポイント

姿勢は目で見て判断することで多くの情報が手に入ります。
でも、見た目だけではわからない部分もあります。(服でごまかされます)

これをなんとかするために「触診」が必要です。

<最低でも触診してほしいポイント>
・棘突起
・肩甲骨
・骨盤
・膝蓋骨〜脛骨粗面

このあたりの触診は比較的簡単で、時間もかからずに評価できます。

ポイントは

・あくまで骨の位置関係を知る
・先入観は捨てる
・左右差は基本的に健側側を「正常」として捉える

です。

ぜひチェックしてみてください!



姿勢を「筋肉」だけではみてはいけない理由

と一気に、各姿勢タイプや筋肉バランスを説明すると。

頭の中が「筋肉」で全て理解しようとしますw

それは避けたいので。

ここで一旦、姿勢を筋肉だけではみてはいけない理由を説明していきます。

姿勢からほんの少し外れて、「バランス能力における身体要素」をみてみましょう。

すると

・中枢神経
・感覚系
・筋、骨格系
・運動のfeedback
・環境の変化

などなど。

多くの要素がバランスに影響を与えます。

姿勢もバランス戦略の1つです。

姿勢は静止することはなく、常に動き続けています。

つまりバランスをとり続けているのです。


その中の1つが「筋、骨格系」です。
あくまで1つの要素です。


もし。不良姿勢の原因が「筋、骨格系」でない場合は。
どれだけ筋トレしてストレッチしても変わりません。

中枢神経の問題かもしれない
感覚系の問題かもしれない
環境の問題かもしれない

など。

多角的な視点で「姿勢」をみていくことがポイントになります。

頭を柔らか〜く使いましょう^^


では「姿勢制御」をわかりやすく臨床に例え理解しよう


有名なHorkさんの研究から姿勢制御をわかりやすく噛み砕いていきます。

1バイオメカニカル

抗重力伸展活動によって床反力を頭部に伝えて姿勢を保つ・・です。
で、臨床的に最も重要なのは

・下腿三頭筋
・ハムストリングスの近位部
・脊柱起立筋

です。これら3つの筋肉が適切な張力を保ち、立位姿勢を保つことでキレイで機能的な姿勢が保てます。


また、人間はそもそも前方に回転するようにできている動物です。結果的に背面側の筋活動が必要になるんですね。



でも、現代人は

・下腿三頭筋→硬くなり・弱くなっているパターンが多い(しゃがみ込み動作の機会が減ったこと)
・ハムストリングスの近位部→デスクワークなどにより、硬くなっている人がほとんど
・脊柱起立筋→日常生活で腕を上げることがないため収縮しにくくなっている

といったことが多くみられます。


2垂直性


重力に対して垂直を保つ機能。。なのですが。
ここで重要なのは支持基底面中で安定できる範囲(安定性限界)が多いことが大切です。

つまり。

・足趾が床から浮いている
・アーチが上がりすぎている
・アーチが潰れすぎている
・足趾のMP関節が屈曲位になっている

といった状態は。


安定性限界を減らし、足部からの感覚入力も減らしてしまいます。結果的に垂直性が保ちにくくなります。姿勢の制御も足関節制御だけでなく、股関節やステッピングが必要なったりします。

答えはシンプルに。

足部の支持面積を増やして、足部の機能を高めることが。姿勢を変える1つの手段になるということです。


3姿勢反応

姿勢が崩れた時に保持する能力、予測する能力などなど。
姿勢に対する反応は反射を含めると様々です。
ただ臨床的に考えるときに3つの姿勢反応を知っておくと便利です。


引用:血友病関節症のメンテナンス体操

Aカウンターアクティビティ:姿勢の崩れに対抗する筋活動
Bカウンタームーブメント:倒れる反対側へ体を曲げる動き
Cカウンターウェイト:頭部・腕・脚の重さを利用する動き

です。


ピラティスや運動療法の代償動作に置き換えると。

代償動作はカウンターウェイトとして出てくることが多いです。

このあたりをしっかりと分析できると、代償動作を的確に捉えることができます。


4:予測的姿勢制御

先行性姿勢調節(antcipatory postural adjustment: APA)は有名ですね。
運動を行う手前に予測的に姿勢を調整します。Hodgesさんもこの辺りで

「手足が動く前に腹横筋が働くぜお!」

という研究報告をしてくれました。随意運動のカウンターバランスとして働く機能です。

つまり、何かの動作・運動をするときに。腹横筋や多裂筋が最初に働いて動くことが姿勢制御として重要であるということですね。


5:感覚オリエンテーション

感覚も重み付けですね。

人間は

・視覚10%(頭部の位置や移動)
・前庭感覚20%(頭部の位置や移動)
・体性感覚70%(立位からの下肢の感覚入力)
※明るい環境下で平らな床の上

の3つの感覚をうまく統合して、脳に入力を行い、姿勢を制御しています。その「%」の基本は上記に書いてある通りですが。年齢や疾患、身体状況によって感覚入力は変化します。

※体性感覚の重みは強く、セラピストやトレーナー、インストラクターが関われる部分でもあるので、どんどん介入しましょう!


例えば上位頚椎は多くの筋紡錘と視覚系・前庭系の関連性が高い場所です。
この部分を放っておいたままでは「姿勢」は変わりません。
上位頚椎を適切なポジションに持ってくることで、正しい感覚入力がインプットされていきます。これも後ほど詳しくやります。筋紡錘などが絡んできます。



6:歩行

動的な場面においてのCOMのお話なのですが。。
ここはちょっと割愛w




ここまできてやっと。

「姿勢評価」なるものをみていくことができますw

何が言いたいかというと。


「猫背だ!大胸筋を伸ばして背筋を鍛えれば姿勢は治る!」


という戦略は。だいぶ短絡的であるということです。


もっともっと考えるべきことがあります。


まだまだ序盤ですが大丈夫でしょうかw??


ついてきてください。

動画でも説明しているので。ぜひ!!

さらにここから姿勢評価・分類・呼吸・臨床での評価方法、姿勢制御に必要な3つの要素、各疾患別攻略方法・・・みたいにマニアック、体系的に進めていきます。

どうぞついてきてください。

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