見出し画像

運動の健康効果について

どうも予防栄養学アドバイザーの中村です。
私は理学療法士もしていて、普段は運動を使って治療(運動療法)をしているのですが、この運動療法は障害予防としても用いることができます。
運動が健康にとても良いことは周知の事実ですが、今回は『どのような運動を』『いつすべきなのか』について書かせて頂きますので、ご覧いただけましたら幸いです。

絶対にやってほしい運動はウォーキング

どのような運動が健康に良いのか?
ずばりウォーキングです。
定番ですが、ダイエットのため、筋力を衰えないようにしたいから、心肺機能を高めたいからといった理由だけではありません。
ウォーキングにはまだまだ健康効果があるんです。

ウォーキングをするなら速歩(はや歩き)が良い

速歩は認知症予防に効果があるということで最近注目を集めています。
科学的には2分間で歩いた距離が長ければ長いほど認知機能のパフォーマンスが高いということが分かりました。
つまり速歩のパフォーマンスが高ければ認知機能が高いということです。
この能力を『歩行耐性』といいます。

歩き始めのスピードがいくら速くても、徐々に疲れてきてスピードが落ちてしまうと歩行距離が伸びず歩行耐性は低くなってしまいます。
一方、疲れることなく歩行スピードを落とさずに2分間歩けると、歩行耐性が高く素晴らしいということになります。

歩行耐性には脳機能が関与

歩行耐性と認知機能にどのような関係があるのでしょうか?
歩行耐性の高い人と低い人の違いは神経伝達のスピードが速いかどうかです。
神経伝達のスピードには神経線維のまわりを覆っている『髄鞘』(ずいしょう)の質によります。
髄鞘は脂肪でできた細胞で、神経細胞体が発した電気信号はその脂肪をピョンピョンと飛び越えて走ります。
これを『跳躍伝導』と言います。
この跳躍伝導のおかげで脳細胞からの命令が瞬時に伝わるわけです。
髄鞘の質が悪いと跳躍伝導も遅くなってしまうため、運動パフォーマンスも認知パフォーマンスも落ちてしまうということですね。

ワーキングメモリーも改善できる

さらに、20分間の有酸素運動がワーキングメモリーの改善に効果があるとされています。
ワーキングメモリーとは記憶の一時保管とその想起に必要な能力です。
例えば『100から7を引いて、そこから7を引いてください』という問題を解く際に、『93』という数字を頭の片隅に保存しておき、続いて93から7を引く作業を行う必要があります。
これをワーキングメモリーと言います。

ワーキングメモリーには数字の計算だけでなく、言語情報に関する『音韻ループ』や視覚情報に関する『視空間記銘メモ』、両者を統合してアウトプットするような『中央実行系』といった能力があります。
このワーキングメモリーは加齢とともに衰えてしまい、認知症の方ではすっかりできなくなってしまいます。
なんとそれが20分間の有酸素運動で改善するのですから、ウォーキングをやらない手はありません。
外に出て歩くことは、日光を浴びて皮膚からビタミンDを合成することにもつながります。
ビタミンDは障害予防には必須のビタミンですので、後日改めて解説いたします。

ウォーキングは朝食前がベストタイミング

次に、運動をいつ行うべきかですが、可能であれば朝食前が最適です。
前日の夕食から何も食べなかった場合、朝食の時間までに約12時間ぐらい経っていることになります。
血中にあるグルコースや肝臓に貯蔵されたグリコーゲンはすでに使い果たし、脂肪酸から『ケトン体』を生成して脳のエネルギーにするケトジェニックの状態になっています。
この状態は体のなかにある中性脂肪を燃料としているため、脂肪燃焼効果が高いのです。
なお、ケトン体には脳機能を改善させる効果や免疫能を高める効果など、他にもたくさんの健康効果があります。

グルコジェニックよりもケトジェニック

一方、朝食後はグルコースが血中にたくさんあるので、グルコースをエネルギーとして使うグルコジェニックという状態です。
朝食に含まれる糖分を燃料として使い、血糖値を下げるインスリンも分泌されているため(インスリン分泌時は脂肪合成プロセスしかないため)脂肪を燃焼させることができません。
つまり、せっかく運動をするのであれば朝食前がベストタイミングと言えます。
ただし、朝はどうしても運動したくないという方は、どのタイミングでやって頂いても大丈夫です。
なぜなら、全くやらないよりはやった方が断然良いからです。

脂肪を燃焼させた方が良い理由

脂肪を燃焼させた方が良い理由のひとつに長寿ホルモン『アディポネクチン』の分泌があります。
脂肪細胞はクッションや保温材、エネルギーの貯蔵庫としての重要な役割を担っていますが、最近になって、ホルモン様の物質を分泌する内分泌器官であることもわかりました。

おもしろいことに、脂肪細胞が脂肪をたくさん貯めているときは悪玉ホルモンを分泌し、脂肪が少ないときは善玉ホルモンを分泌するとのことでした。
アディポネクチンは生活習慣病や動脈硬化予防、体重減少効果のある善玉ホルモンです。
長寿の方はアディポネクチンの血中濃度が高いことが分かっています。
運動だけでなく、大豆たんぱく質や、オメガ3脂肪酸、柑橘類に含まれるノビレチンという成分もアディポネクチンの分泌を促す作用があります。
年齢とともに脂肪の代謝が悪くなり、食事量を制限しないと太ることになるため、アディポネクチンの分泌量が低下してしまうのウォーキングを習慣にしてアンチエイジングをしていきましょう。

運動にはまだまだたくさんの健康効果があることが分かっています。
特に筋肉から分泌される『マイオカイン』はアディポネクチンに匹敵する健康効果があるので、後日改めて紹介したいと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。
今回の記事が参考になったという方は是非『スキ』や『フォロー』をして頂けましたら幸いです。
今後とも何卒宜しくお願いいたします<m(__)m>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?