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気候変動が新たな感染病をもたらす可能性

感染状況が落ち着いたと思った直後、また変異株が出現してきた新型コロナウイルス。このウィルスとの戦いが終わる日は来るのだろうか。そもそもウィルスはどこからきてどのようになくなっていくのか。だが警戒すべきは、いまある新型コロナウイルスだけではない、次に考えられるウィルスへの対策も考えなくてはならない。この記事では科学的論文を参考に新たな感染病の可能性と地球変動の関係を探る。

ウィルスはどこからやってくるのか

一般的に新型コロナのようなウィルスによるパンデミックは人間と野生動物の接近が原因とされている。多くの科学者によるとパンデミックを引き起こすような病の多い地域がアフリカから南アメリカで増えている。また動物学者によれば、ニパウイルス感染症(主にブタの体液や組織の接触による)マラリア(蚊によって媒介される)、ライム病(野鼠や小鳥などを保菌動物としノミによって媒介される)など、世界中でよく知られている感染症の3分の1が動物との接触で蔓延し、急激な土地開発を発端としている。気候変動で温暖化が進めば病原菌を運ぶノミや蚊の活動も活発になるためより感染病は悪化の一途をたどるだろう。

開発発展途上国はウイルスを広める危険要素に満ち溢れている。どこにでもいる蚊、吠える犬や鶏、家族がいつも食べている野生動物の肉などがそれだ。2013年、西アフリカの国ギアナで発生したエボラ出血熱は、感染した野生動物の肉を食べたことがおそらく原因とされている。

温暖化だけじゃない森林伐採によっておこること

新型コロナウイルス感染症のような世界的なパンデミックがまた広まるとしたら、自然と人間社会が密接するところから出現する可能性があるといわれている。マレーシアのヤシ栽培から、アフリカの自然資源採掘、ブラジルの放牧に至るまで、文明が自然世界に侵入していくことで古代から存在する病原菌と人間との接触の可能性が増えていく。元来、哺乳類と鳥類には160万のウイルスが潜んでおり、そのうちのいくつかは人間に感染すると死をもたらす可能性があると考えられている。またある調査によると土地の40パーセントが破壊される度に、食物を必要とする野生動物たちが人間世界に足をのばすため、ウイルス拡散が生じやすいともいわれている。

温暖化で人の行動も変化する

温暖化で変わるのは人と自然世界の接触頻度だけではなく、人の行動も変わる。例えば森林破壊は猛暑と干ばつを引き起こし、特に先進諸国では野外に井戸や貯蔵庫で水を保管する人が増えだす。すると、蚊が培養されやすくなり、動物の血液から人間の血液へウィルスが拡散しやすくもなる。以前は温暖な地域にしか見られなかった蚊やハエなど病原菌を運ぶ虫が爆発的に多くなることで感染症のリスクが世界的に跳ね上がるだろう。出生異常を引き起こすジカ熱やサシチョウバエによって媒介され、皮膚炎を引き起こすリーシュマニア症などが例にあたる。

感染症で最初に犠牲となるのはBOP(Bottom of the Pyramid)層

先住民族のような弾圧されてきた人口ほどパンデミックの要素は高い。政府や先進国家から弾圧されてきた経験から西洋医療に対する信頼が薄く、伝統的な家庭療法や習わしに対する信頼の方が厚いからだ。コロナ禍の今でも西洋の治療法やワクチン接種を拒否する先住民族も多い。

コロナ禍で人々の流れが途絶えた一方、世界的にCO2の排出量の大幅な削減は達成されていない。"Climate Anxiety"(環境変化への恐怖・不安)が欧米諸国を中心に叫ばれるようになったものの、先進国ではいまだに2030年にむけての具体的プランがかけたままだ。パンデミックと戦ういまだからこそ次に起こりえる感染症を防ぐために地球環境と私たち一人ひとりの暮らしを誰もが見つめ直すべきだろう。


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