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好きなことをやって食べていけるほど人生甘くない。でも、やらないでいるほど長くもない。

このノートを初めて見る方、はじめまして。カナダのNPOで働いているケイと申します。私はカナダでとくに経済的状況やDVなど様々な理由から困窮する女性や子どもたちのサポートをする団体のプロジェクトコーディネーターをしています。

日本にいる時もNGOや民間で社会的な活動をしてきましたがそのためいわゆる就職活動というものをしたことがありません。非営利組織で働くようになってから企業とかかわる経験も増え、同世代で企業で働く人の話などを聞くと普通の会社で働くことも選択肢に入れておけばよかったなあと思うときがあります。非政府組織で働く、非営利で働くというと聞こえはよいですが、長期で働くうでの雇用問題や働き方、賃金面での問題があるからです。しかし、一般企業ても良い点と悪い点があるように良くも悪くも私には非営利で働く道しかなかったんじゃないかとなんとなく思います。

この道を選んだというより、好きなことをしているうちになんとなくこっちの道にすすんだ、という方が正しいかと思います。大学院を卒業しても働きたいと思える企業がなく、気が付けば非営利での求人を探していました。やはり自分のやりたい道を最後までやり遂げたいという思いがあったのかもしれません。

私の今の職では幼いころに虐待被害にあったことがある人や薬物やアルコール中毒、身体的・学習障害などを持つ方、人種やバックグラウンドが違う様々な人に出会います。自分が想定もできないような境遇にいる人と仕事をするうえで大事にしていることがつながりをたもつこと、正論を押し付けないこと、本人の意思を尊重し、小さな目標をつくることです。

1.つながりを保つこと

過去の経験からトラウマを持つ人と接するのは必ずしも容易ではありません。過去のトラウマから心を閉ざしていたり、自暴自棄になっていたり、攻撃することで自尊心を保つ人もいます。皆と理解しあえればよいですが私がサポートする短い間で信頼関係をつくるのは大変難しいです。それでも一か月に一回はケースマネジメントと呼ばれる一対一の対話の時間を設けています。この時間を持つことで信頼関係を気付き、相手のプログレスにも気づくことができます。

2.正論や個人的な意見を押し付けないこと

アドバイスをするつもりが正論で相手を傷つけてしまうこともあります。心がけていることとしてまず相手を理解すること、一心に相手を受け入れ、聴くこと。

3.本人の意思を尊重すること

相手の話を聴いているとついアドバイスしたくなってしまうものですがそうではなく、本人がどうすればいいとおもうか、その上で私ができることはなんなのかを聞きます。そうすることで判断権を相手に委ね、自立と尊厳を守ることができるからです。

4.小さな目標を作る

私がサポートする女性の中には普段の生活がままならない人や人との会話に恐怖を抱えるほどトラウマを持った人もいます。そういった人に大きな目標を突き付けるのは非常に困難です。まずは朝ベットから起きること、子どもたちを学校へ見送ること、そんな小さな目標を少しづつ挙げて一日の小さな成功体験をお祝いします。そうすることで本人も自身がつきますし、サポートする側も次なるステップを考えることができます。

カナダでもコロナ禍で女性に対する暴力やDV、失業などが問題になっています。奇しくもコロナは以前から存在した問題をより大きく浮彫らせ、貧富の差をより明確にさせました。社会問題は私の生活の縮図でもあります。自分は関係ない、と思っていても同じ社会で生きている以上私たち一人ひとりの行動や言動、経済活動が誰かしらに影響をもたらしています。社会問題を仕事にしていくという生き方は難しくもあり、難しいからこそやりがいがあるものでもあります。

自分のキャリアを見直すと正解ばかりではなかったと思いますが好きな事をやり通したというだけの満足感はあります。これから社会問題を解決するために働こう、非営利組織で働きたい、という方には早まらず(笑)ぜひ企業やある程度レールの整ったところで力試しをしてもらいたいと思います。なぜなら一般企業から非営利で働くことは容易でも非営利組織から一般企業にもどることは今はまだ容易ではないからです。一般企業で力をつけた後でも非営利やソーシャルな道で働きたいと思った方はぜひその道を貫いていただきたいと思います。

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