見出し画像

お昼はアジア料理じゃないといいねからみる差別的発言一人歩き問題

「お昼はアジア料理じゃないといいね」

11月11日、米ウィスコンシン州で黒人差別に抗議するBlack Lives Matter (人種差別抗議運動)デモの参加者2人を射殺し、第一級殺人罪に問われている白人少年の注目の裁判で放たれた判事の「アジア人差別発言」が物議を醸している。

昼食のために休廷を宣言する際、判事のブルース・シュローダー(75)はランチが時間通りに届くかについてジョークを飛ばしたつもりだった。

「(ランチは)アジア料理じゃないといいがね。ロングビーチ港の船から届くものじゃないことを願うよ」

この発言はメディアを通じて瞬く間に「反アジア人コメント」だとして批判を浴びた。しかも、このような発言をする人物が人種問題に関わる裁判の判事として適任なのかという疑問まで生じている。

「人種問題と密接に関係している裁判で、あの発言は絶対に許されない」と人権運動家らがSNSで発言する傍ら判事の真意に関してはあまり追及されることがなかった。

実はこの発言、カリフォルニア州のロングビーチ港で多くのコンテナ船が滞留し、全米のサプライチェーン(供給網)が危機に陥っている現状を引き合いに出したものであり、アジア人差別をほのめかすものではないと考えられる。サウスコースト=アジアンフードの認識があったこと、判事の年齢を考えるとアジア料理に対する発言がアジア人に対する差別発言になると気が付かなったこともうかがえる。

現代人は極めて「センシティブ」な時代に生きている。

誰か、だけでなくものに対する発言が本人の意思とは関係なく取り上げられ、バッシングにつながりかねない。差別的発言を許さない、社会全体で差別的発言や行動を変えていこうという姿勢は最もだと思う。しかしその一方で発言だけに惑わされ、実際の思想や行動を変えていこうという姿勢がなげければ単なる誹謗中傷に過ぎない。

もし今回の判事の発言が人種的偏見や人間性を問うべき発言だとしたら今までの彼の功績や仕事におけるプロフェッショナリズムさえ問われるべき問題なのかを天秤において公平に判断されるべきではないだろうか。

差別的発言を気にしすぎるが故、差別問題の根本にある原因とその問題を見過ごしてしまってはいけない。


この記事が参加している募集

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?