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日本人の多くが知らない日本が投資する大麻株の話

 日本は麻薬に対して厳しい処罰を与える国である。

例えば大麻(マリファナ)は所持しているだけで最長5年間の懲役が科せられる。これは、児童買春の仲介で有罪となった場合と同じ懲役刑だ。近年頻繁に芸能界での麻薬使用や所持が報道されるがこれは芸能界に限った話ではない。

カナダをはじめとする先進国では大麻は合法だ。大麻は医療目的でも使われており、社会的排除を試みるよりハームリダクション(危害削減措置)としてリクリエーションとして楽しむための一定の麻薬を許可し、その一方で危険なドラッグの使用やオーバードーズ(過剰摂取)を防ぐ方法が試みられているからだ。

しかし、大麻に対する日本の断固たる排除姿勢にもかかわらず、ブルームバーグによると、世界最大の年金基金である国の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年の財務開示では、大麻会社の株を約8000万ドルを保有していたことが明らかにされた。GPIFはカナダの大麻公営企業であるCanopyGrowthのトップ株主であり、5,000万ドル以上の株式を保有している。ブルームバーグは、スピナッチやハッピーダンスなどの大麻ブランドを所有するトロントの企業であるクロノスグループに約1700万ドルが投資されたと報じた。 8000万ドルの投資は、GPIFの1.6兆ドルの総資産の0.005%を占めている。

多くの国で「ゲートウェイ麻薬」とされている大麻は、他の更に強い副作用や依存性のある薬物の使用の入り口ともなりえる薬物である。しかし、規制を緩和し、医療用途を模索する世界的な傾向にもかかわらず、未だ日本では危険な薬物として認識が変わっていない。日本の省庁が「一見矛盾する投資を行う」ことはよくあることだ。日本の大麻への投資は医学的・社会的観点から見ても「前向きなこと」だとも考えることができる。積極的に投資をしているからこそ将来日本も他の国に習ってハームリダクションのアプローチをとる可能性も考えられるからだ。

GPIFに合法大麻産業を含むファンドのポートフォリオが含まれることは大麻合法化の世界的な動きを反映させている。ナスダックなどの伝統的な株式市場指数は、より多くの国が医療や娯楽目的での大麻使用を合法化するにつれて、より多くの大麻生産者を追加した。 こういった動きではアジア圏でも徐々にみられている。2018年、タイは東南アジアで最初に医療用マリファナを合法化し、隣国、韓国は同じ年に医療大麻を合法化した。日本でも大麻が合法化される日はくるのだろうか。





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