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クリエイターは個人事業主でもあるという話

 アニメやゲームは集団的創作、小説やマンガは個人的創作になることが多いという話を以前書いた。

 そういう意味で、小説家やマンガ家、イラストレーター、ライターのような人たちはクリエイターであるとともに、個人事業主であることも多い職業だ。
 つまり、物を作るということをやりながら、それで生活をするために事業を回すということをやらなければいけない。多くのクリエイターは事業を回す方は面倒だと感じがちで、基本的にクリエイティブに全力集中したい人が多い。
 そりゃそうだと思いつつ、現実的にはそうはいかないので、改めてそんなことを書いてみようかと思う。

税金周り

 よくある年1回の確定申告。これはつまり税金周りの作業になる。ざっくりと、青色申告と白色申告ってのがあって、基礎控除があるので青色申告の方が基本的にお得だ。
 でも、その代わり複式簿記で帳簿をつけなきゃいけなかったりとやらなきゃいけないことが増える。
 
 事業を回すことに興味がなかったら、悪いことは言わないので税理士さんにお願いしたほうが良い。きちんと帳簿をつけて、申告までやってくれる。ただ、税理士さんもかかる時間と手間で料金が変わる。
 
 普段からレシートを内容ごとに整理してまとめておくだけで大分手間が違う。複数の書類が入るバインダーを買ってきて、毎月種類ごとに日付順に放り込んでいくだけだ。それだけはやっておいた方がいい。

契約回り

 普通にお仕事をする上では、クリエイターは業務受託契約を結ぶことが多い。ライティングの仕事はほとんどがそうで、出版する場合は出版契約、それを展開していくに際しては商品化契約など、普通にお仕事をするだけで契約というものを数多く結ぶことになる。
 秘密保持条項や、反社条項など、わりと普通の取引にはどこにでも含まれる基本的な条項があって、分量が多くなりがちなので、読むのも面倒と思っている人もある程度いるだろうが、契約書はきちんと読んだ方がいい。

 大手の会社との取引だと、先方のひな型を強く押されることが多い。契約書はどちらかというと、相互の認識のズレを少なくしてくれるツールとして認識してもらって、納得できないこと、理解できないことは先のトラブルの元になるから、きちんと内容を確認して認識のズレを最低限にしておいた方がいい。
 そして、もう1点。自分の対面に立ってやり取りしている人が、その契約の内容をきちんと説明できるかどうかも要チェックポイントだ。私の経験上、契約の内容説明すらできない人との取引は、他でもトラブルとなりうる地雷が埋まっていることが多い。

 この辺り、法律的なアドバイスは弁護士しかできない(そう法律で規定されている)が、取引、ビジネスについてのアドバイスならば弁護士でなくてもできる。その辺がめんどくさいクリエーターさんはエージェントを頼ってもいいかもしれない。

 契約書もまとめて管理しておかないとなくしたり、いざ必要な時に見つからなくなったりする。そういう意味でもエージェント入れておくのは楽かもしれない。

請求書回り

 業務委託契約を結んで、いざ作業。でも待った、通常の業務委託の商取引は、見積、発注、納品、検収、請求というステップを踏む。

 ★見積書:受託者(クリエイター)が作って発注者に送る。
 発注書:発注者が作って受託者(クリエイター)に送る。
 ★納品書:受託者(クリエイター)が作って発注者に送る。
 検収書:発注者が作って受託者(クリエイター)に送る。
 ★請求書:受託者(クリエイター)が作って発注者に送る。

 実務上はいくつかは省略することも多いが、請求書だけはほぼ確実に作る。その際、個人事業主の場合は、源泉記載を入れること、また、免税事業者でなければ適格請求書発行事業者番号も忘れずに。

 源泉税は個人に対する報酬の支払い時に、本来受け取る側が支払う税金を、支払い側が先に報酬から引いて、税務署に代理で払う制度で支払い側に源泉税の代理支払いが義務付けられている。
 なので、請求書に源泉記載が無くても、多くの場合は支払い側が源泉して支払ってくれるが、認識を合わせるためにも入れておいた方が良い。

 この辺りは誰でもできるので、専門家はあまりいない…。まぁ、エージェントを入れているとエージェント会社が代わりにやってくれることが多い。面倒な人はそっちを頼るのがいいかもしれない。

保険・年金回り

 個人事業主なので、健保は基本的には国民健康保険だったり年金は国民年金だったりする。つまり割と最低限度になるので、将来への備えは自分で作るしかない。
 幸い、保険会社もいろいろな保険を用意していて、年金的に使えるものもいっぱいある。iDecoだってあるし。そのあたりは金融機関や保険会社と相談して、自分に合ったものを選択するのが良い。

他にもいろいろとあるような気がする。なんにせよ、生活の糧を得るにはクリエイティブだけに集中しているわけにもいかないということ。自分で出来ないものは専門家に任せるつつやるしかない。

とりあえずぱっと思いついたものは書いた気がするのでいったんここまで。
思いついたら追記することにする。

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