もちだもち太郎

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最近の記事

『あの日』人生の中間算       START IT AGAIN 凛々子の場合

 脇野凜々子は仕事を終え、六本木の「ニクアザブ」で一人焼肉をした後、いきつけのBARで終電近くまで飲み、帰路についた。  最近は同じような繰り返しの毎日にマンネリ感を覚え、せめて見た目を変えて、気分転換してみようと金髪に染めてみたが、意外に似合っている気がして少し気分がいい。  旦那の幹也は自宅でグラフィックデザインの仕事をしている。 凛々子は幹也の仕事の邪魔にならないように毎日遅く帰るという事を習慣にしている。  週末、幹也はサーフィンやサイクリングに出掛け、凜々子はテ

    • 『ANOTHER SKY』人生の中間決算 START IT AGAIN 由紀の場合

      「来年、この子と2人でブエノアイレスのラ・ボカに行こう、、」  大学入学と同時に上京し、この4月で世田谷区の三宿に住んで12年になる。  静岡の焼津で鰹節の工場を営む両親のもとで2人姉妹の長女として生まれ育った由紀は、街全体に漂う鰹節のニオイが自分に纏わりつき、体中の毛穴から染み込んでくる気がして、子供の頃からこの街を早く出たいと思いながら過ごしてきた。  自分がそう感じている事をまわりに知られるのはよくないような気がしていたので、海外で暮らすのが夢だという事を大義名分に、

      • 『没入体験』 人生の中間決算   START IT AGAIN 順二の場合

        恵比寿の雑居ビルの地下の一室で、両手を後ろ手にされ、ガムテープでぐるぐる巻きにされた四浦順二は、半グレ風の若者達に取り囲まれている。 逗子で貸ビル業を営む裕福な家で育ち、コネを使って青学から大手損保会社に入り、これまでの人生、40代前半で毛根が全滅した以外は大きなトラブルに見舞われず、57歳まで順風満帆に生きてこられた。 順二はツキもあり、学生時代に授業をサボって学生喫茶でやっていた賭けトランプや麻雀や競馬でも負ける事はなく、ここ最近は順調すぎる人生にマンネリ感を覚え、高低

        • 『湘南新宿ライン』 人生の中間決算 START IT AGAIN 健三の場合

          エロ本の修正箇所チエックと書店から返品された書籍の集計作業に追われ、帰宅したのは今日も23時過ぎ。 週の半分は在宅ワークだが、出勤した日の帰宅時間はほぼこの時間になる。 「修正はAIにやらせて、返品の集計はロボットにやらせればいいのに」 湘南新宿ラインを降りて、保土ヶ谷駅から国道1号線を歩きながらマスクの下で健三はつぶやいている。 家に着き、家族を起こさないように静かに玄関を開ける。 リビングのテーブルに短時間で泥酔できるストロングとつまみを用意し、ソファーに座ってスマホ

        『あの日』人生の中間算       START IT AGAIN 凛々子の場合

          『KAWASAKI』  人生の中間決算 START IT AGAIN 典行の場合

          典行は自宅近くのガス橋通りの御幸跨線橋で、目尻と頬に深く刻まれた皺の奥まで夕陽に照らされながら深いため息をついている。 時代の流れに従い、10年前にやめたセブンスターを思い切り吸いたい気分だ。 今日は多摩川河川敷のドライビングレンジに行き、調子がよかったので、上機嫌で帰宅したが、妻の優子と母が喧嘩をしており、いたたまれない気持ちになり、散歩にでて御幸跨線橋の橋脚にボンヤリしながら腰掛けている。 嫁と姑の間に挟まれている典行は、これまで八方美人になったり、二重スパイになった

          『KAWASAKI』  人生の中間決算 START IT AGAIN 典行の場合

          『最初で最後のメッセージ』人生の中間決算 START IT AGAIN 正巳の場合

          「終わった、、、、」 市議会議員生活、 もしかしたらこんな終わり方もあるかもしれないと思ってはいたが。 やはり自分は聖人でいるのは無理だったか、、、 年末、支援者が開催してくれた忘年会に参加した時の事。 1次会を終えて、2次会はスナックに行くことになり、ビルの3階にある店に向かった。 ビルに着いた正巳はエレベーターホールに沙希がいる事に気付いたが、他人行儀な軽い会釈を交わし、2人でエレベーターに乗り込んだ。 沙希は去年、東京から豊後高田市に移住してきて、すっぽんロールを

          『最初で最後のメッセージ』人生の中間決算 START IT AGAIN 正巳の場合

          『kitchen car blues』  人生の中間決算 START IT AGAIN 走(かける)の場合

          走り出したら 何か答が出るだろなんて 俺もあてにはしてないさ♪ 毎朝、妻と子供の寝顔を確認してから自宅横にある物置を改装したキッチンに向かい、牛スジの煮込みの仕込みを始める。 早朝5時、冬の時期はまだ夜が明けていない。 好きで始めたキッチンカーの仕事だが、大学を卒業して10余年、次第に世の中の仕組みが見えてきて、このところ20代の青かった自分の判断が正しかったのか、考えることが多い。 来月、森家には双子が誕生予定で、幼稚園に通う長女を含めて、走(かける)は34歳で3人の

          『kitchen car blues』  人生の中間決算 START IT AGAIN 走(かける)の場合

          『モヤモヤ④』

          エレベーターで女性と2人きりになったときってなんかドキドキするよね。 ドキドキしてると吊り橋効果的な感じで、女性が3割増しでキレイに見えるような見えないようなwww そんな時って、目のやりどころに困って、エレベーターの操作盤や階数表示をガン見して、よこしまな気持ちがないことをアピールするのがよこしまな気持ちがある男あるあるだと思うけど。www あと銀行とか法務局にいる女性もキレイに見えるのはなんでかな? 制服着てる女性とかもそう。 堅苦しい場所にいる女性や、制服を着させら

          『モヤモヤ④』

          『高校野球マニア日記③ 二松学舎大付』

          歴史がめちゃくちゃあるのに、拡大路線を選ばず単科大学として愚直にやってきた二松学舎大学。 でも二松『学舎』だからね❗️ 慶応『義塾』もカッコいいけど 慶応みたいにメジャーじゃない分、判官贔屓のオレからしたら『学舎』って響きがカッコよく感じる。 学校のトップは学長じゃなく塾長でもなく舎長だし。www 第3代の舎長は今をときめく渋沢栄一❗️ 第5代の舎長は終戦直後の日本を支えた吉田茂❗️ 夏目漱石も嘉納治五郎も二松学舎で学んでる❗️ オレの好きな言葉で 『知行合一』 (

          『高校野球マニア日記③ 二松学舎大付』

          『モヤモヤ③』

          運とか占いとか神とかオレは信じてない。 そもそも運で人生が左右される以前に、目の前の二者択一の連続の結果のほうが人生を決定付けるし、ひいてはそれが人格になる。 豊かな人生を送るためには、継続して正しい判断をしていく事と、他人と比較せず、謙虚に全てをポジティブにとらえる事が大事だと思う。 もし今の自分に不満があるなら、占いに頼ったり、大きなことを決断するより、目の前の判断ひとつひとつをマジメに、自分が信じる正義に照らし合わせていくのがいいんじゃないかな〜。 配偶者に不満が

          『モヤモヤ③』

          『ドーナツマニア日記②』

          おいしくないドーナツと魅力的ではない女性はいないという信条のもとに、ドーナツを食べた時に思い浮かんだ女性有名人を記すマニア日記。 まずは「I'm donut ? 」を展開する青山の「amam dacotan」が桜新町にオープンさせたセカンドブランド「dacō」のドーナツ。 1時間並んだから、もとをとろうと思ってパンとドーナツを20個買っちゃった。やっぱり全部なかなか美味しい。大きさが普通の半分強くらいだから、いろんな種類を何個も食べることができるのもGOOD👍 見た目もかわ

          『ドーナツマニア日記②』

          モヤモヤ②

          眠い目をこすり、駒大生の通学の波に逆らい、やっとの思いで駒沢大学駅につき、殺人的に混んでる田園都市線に乗り込む。 どの車両も混んでいて、背中とお尻で先に乗り込んでる乗客を押し、強引に乗り込まないと一生駒沢大学駅にいることになる。 まるで、満杯になっている灰皿に、さらに吸い殻を押し込むようだ。 扉を閉められる瞬間は毎回、自分がタバコの吸い殻になった気分で気が滅入る。 先日、そんな駒沢大学駅のホームに、歳の頃は16、7くらいで、バイオリンケースを背負った少女がいた。 満員電

          モヤモヤ①

          この時期やけに風呂場にチョウバエが発生するから、風呂入る前に大量のチョウバエを駆除するのが日課になってる。🛁 小さいチョウバエなんだけど、かなりの数の命を奪ってることは奪ってるよな〜って時々思う。 ところで先日車を買い替えた時、近い将来、確実に完全自動運転の時代がくるから、新しいこの車はこの先どのくらい乗れるのかな?って思って、自動運転についてのコンテンツをYouTubeでみてたんだけど、少しモヤモヤする事があった。 自動運転自体はAIの技術の発達ですぐにでも実現可能みた

          『共喰い』 人生の中間決算 START IT AGAIN 香織の場合

          「今日も飲みすぎたわ、、、❤️」 明日は仕事で6時に起きないといけないのに、2人のオジサンと寿司から焼肉のダブルヘッダーをこなして、仕事終わりから寝るまでの時間を無理矢理埋めるといういつものルーティーンを終え、タクシーに乗り込む。🚕 オジサンからもらったタクシー代の余りで自宅タワマン一階のコンビニで翌朝用のサンドイッチを買うのもいつものルーティン。🥪 オジサン達と肉体関係はないので、パパ活とは違うと思ってはいるが、アラフォー港区女子活である事は否めない。🧔🏽‍♂️ ただ

          『共喰い』 人生の中間決算 START IT AGAIN 香織の場合

          『高校野球マニア日記②』

          2024年春の甲子園大会東京予選2回戦 明治学院vs立教⚾️ ミッション系サラサラヘアー対決💇‍♂️ 立教のユニフォームは慶応と同様、大学と同じデザインでカッコいい。⛪️ 甲子園にでたら慶応みたいにOB達がいっぱい集まって大騒ぎになる学校。🏟 徳光さんや古舘さんが大騒ぎしそう。📺 エースは140キロのストレートを投げるU-12の代表だった林君っていいピッチャーだったけど明治学院が打ち崩したというか、立教の守備の乱れをついて大勝利〜。🙌 明治学院のエースは漫画「キャプテン」の 

          『高校野球マニア日記②』

          『清算列車』 人生の中間決算 START IT AGAIN 信哉の場合

          熊谷から乗り込んだ金沢行きの北陸新幹線 『はくたか号』。 学生が夏休みの時期だからか、土曜の始発なのに自由席の空きは少ない。 永友信哉はトイレに行き易い二人掛けの席の通路側に座り、カバンからお手拭きを取り出し、年入りに手の隅々までキレイにしてから早起きして自分で握ったおにぎりをほうばる。  食べ終えて指についた米粒を全てキレイに舐め尽くすまでが信哉のルーティン。 家族や友人に指摘され笑われたりもするが、これまでやめずに続けてきた。 ポテトチップスを食べた後の指を舐め尽くしたと

          『清算列車』 人生の中間決算 START IT AGAIN 信哉の場合