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可愛かったのに…。残念そうに「のに」って言うな!私が一番残念じゃ!


子供の頃「可愛い」と言われた人は、大人になると「可愛かったのに」と言われる確率が高い。

この「のに」は非常に残酷な言葉だ。

のに」とつくだけで「今はもう可愛くなくなった」と言われているようにしか聞こえない。
わざわざ「のに」なんてつけなくても「子供の頃も可愛かったね」とか、今は全く可愛くないのなら、「子供の頃は可愛かったけど、今は大人になったね」とかいろいろ言い方があるじゃないか!
でも、ほとんどの人が「可愛かったのに」と言うのである。

私はこの「のに」をず〜っと言われ続けてきた。すっかり慣れっ子だ。
もうこの歳になると平気だが、若い頃には多少なりとも傷ついたものだ。

なにもそれは他人からだけでなく、家族からも向けられる。
今も語り継がれるとんでもない汚点に「ローズちゃん事件」がある。
これにはさすがに打ちのめされた。

「ローズちゃん」は百貨店「高島屋」のオリジナルキャラクターだ。その昔
ローズちゃんのモデルを募集するキャンペーンがあったらしく、周りから私をモデルに応募したら?といわれ、気を良くした母がそのローズちゃんモデルのキャンペーンに応募したらしい。

当時の私は幼くて、あまり覚えていないが、「ここで、こんなふうにポーズして」とか「こっち見て笑って!」とか色々注文をつけられ写真を撮られ、「イヤや」と言っては、怒られて泣いた。泣いたら泣いたで「早く泣き止み!そんな顔やったら出せへんやん!」って、こっちは分けもわからず怒られて、何に出すかもしらんがな状態。

さらにはそのポーズがまた、子供のポーズじゃない!
コンクリートの塀にもたれて立って、片手を上げて、男の胸によりかかる女みたいな変なポーズ。ほかにも顔のアップが、涙目で哀愁漂い過ぎ!
おかしいやろが〜!それは!全く子供らしさも、無邪気な可愛さもない。
よくもまぁ〜あんな写真を出したもんだ。母の勇気にも恐れ入る。

大人になってから母に「なんであんなポーズさせたん、泣きべそかいた感じやったやん」と聞くと「そんなポーズしか思い浮かばへんかったし、締め切り迫ってるのにあんた寝起きで機嫌悪いし、言う事きかんから怒ったら泣いたんやん」というご回答。
そんな状態で出した写真が選ばれるはずもない。

なのに「ローズちゃんモデルに出してん」と母が言いふらした結果、
私は家族や周囲の人から「ローズちゃんに落ちた子」と呼ばれるようになった。兄は未だにこの話をする。「可愛かったのにな!ローズちゃん落ちたけど」と一言つけて。完全に家庭内いじめだ。

いや、知らんし!
怒りが込み上げたが、いまさら何を言っても後の祭りだ。
こうして「ローズちゃん事件」と「可愛かったのに」は私の心のシミになった。


ただ、子供のときの「可愛さ」は、顔が可愛いとかそういうものだけではなく、子供が持つ特有の「素直さ」や「心の純真さ」からくる「可愛さ」ではないだろうか。

だから、大人になったら言われんようになるわな〜と思うことにしている。

まぁ、もっと歳を重ねたときには「可愛いおばあちゃん」といわれるようにはなりたいけどね。


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