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科学英語の書き方 〜 ライフサイエンス辞書の紹介〜

こんにちは、ぷにぷにアザラシです。突然ですが皆さん、学術論文や卒業論文を英語で書く機会がこれまでにあった方も数多くいらっしゃると思いますが、どうやって英語を調べていますか?例え単語が合っていたとしても、その単語や言い回し、本当によく使うフレーズなのか、自信はありますか?今回は、そんな悩みに応えるべく、私がいつも使っている「ライフサイエンス辞書」と呼ばれる科学英語に特化したWeb英和/和英辞書をご紹介します。

目次
1. ライフサイエンス辞書とは
2. 英和・和英
3. シソーラス
4. 例文検索(コーパス)
5. まとめ

なお、各項目についての詳細は、次回以降から説明していきます。

1. ライフサイエンス辞書とは

上記のリンク先にある、京大薬学部の金子周司先生がお作りになられた、オンライン英和・和英辞書のことです。他の辞書に比べて、生命科学系の英単語について数多く収載しています。科学論文の執筆ならば、この辞書さえあれば困らない、という印象です。

この辞書は「英和・和英」「シソーラス」「コーパス」の3つのシステムから構成されています。それぞれ見ていきましょう。特にコーパスが威力絶大です。

2. 英和・和英

「英和・和英」は他のオンライン辞書と操作の上ではあまり変わらず、画面の検索窓に調べたい英単語 or 日本語を打ち込んで検索をかけます。検索モードの標準は「〜で始まる」ですが、「〜を含む」、「〜で終わる」、「〜に一致」の合計4つのモードを使用することができます。

また、検索窓横にある「先読」をONにすると、予測単語を表示してくれます(下図)。

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検索結果は以下のようなもので、

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青い字はすべてリンクとなっています。「例文を表示する / 減らす」をクリックすると、各用法の例文が表示されます(下図)。

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3. フレーズ検索(シソーラス)

MeSH(Medical Subject Headings)に準拠して類義語を整理した、単語の意味だけではなく内容(関連語の集まり)を見ることができます

例えば "sulfonylurea receptor" という単語の意味がわからない場合、検索してみると以下のように表示され、

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「スルホニル尿素受容体」などと訳すことだけではなく、「KATPチャネル」というものと深く関わりがあることまでわかります。また末尾の関連語を見れば、

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どうやら喫煙や血糖などと関連しそうだ、ということもよくわかります。
(離婚も関係するかも?!これは、ノイズなのかも知れませんが)

4. 例文検索(コーパス)

コーパスは、その単語やフレーズをどうやって実際に使っているのか、実際の例文を検索することができます。検索する例文数、表示する例文の単語数などは、検索窓右下の「詳細検索」を押せば設定できます。

例えば「マクロファージ(免疫細胞)のサイトカイン(炎症物質)産生」という日本語を英語にするとき、"cytokine production of macrophage" なのか "cytokine production in macrophage" なのか "cytokine production by macrophage" なのか、迷ったとします。このとき、検索窓に "cytokine production" と打ち込むと、

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のようになり、順番に見ていくと、"cytokine production in" が一番多く "cytokine production by" が次点で、"cytokine production of" は存在しないことがわかります。このことより in や by は使って良いが、of は使ってはいけないということがわかります。つまり、その文章における英単語の使用方法が一目瞭然なわけです。

すべてを見なくとも、画面上部の「集計値を見る」を押すと、どの単語がどれくらいの頻度で出てくるのかを見ることができます。300例文中、cytokine productionの直後に in が 53回も使われていることがよくわかりますね。

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また別の方法として、"cytokine production @ macrophage" と、@を使って検索をすれば、

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のように、"cytokine production" と "macrophage" の間に1つ以上の単語が含まれたものを、すべて検索することができます。これを見ても、of はほぼ現れず、in か by しか使わないことがよく分かります。

5. まとめ

以上、基本的なライフサイエンス辞書の使い方を示しました。私自身、今でも論文執筆の際には欠かさず使用しておりますので、これから英語の論文を書く予定がある方は、是非使ってみて下さい。


以上、どなたかの助けになれば幸いです。

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