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The Whoを観に行った

イギリスを代表する60年代のバンドと言えば、The Beatles, Rolling StonesそしてThe Whoだと私は思っている。ビートルズもストーンズも日本の皆さんは今でも誰でも知っているのではないかと思うのだが、フーはちょっとマニアック路線なのだろうか。そんな私は、若い頃にイギリスの音楽に全く興味がなかったもので、夫が聴くものを聴きながら未知の音楽を知っていっている段階で、息子も全く同様、息子は音楽に関しては私の影響を一切受けてくれない。私が思うこの3大60年代ロックバンドの中でも、私はThe Whoがダントツに好きである。なんせサイケデリックなのだ。当時は耳にしたこともないような新しいサウンドに若者たちがウズウズしたのではないだろうか。今私が聴いてもウズウズするくらいだ。

先日友人と話をしながら、彼女がポールマッカートニーのコンサートに行って感動したと言っていたのを聞いて、確かに、あのビートルズだった人が目の前で演奏するわけでそりゃ感動もんだろうなと私も思ったのであった。
そんなことを思いながらThe Whoを検索すると、なんとメンバーのうち二人はまだご健在でライブ活動を行っていることを知りライブに行ってみたくて仕方なくなった。
聞いたこともないような場所でライブするんだなー、どこだろう、と思ってGoogleマップしてみると、アメリカやないかい!根気よく彼らのHPをよく見てみると、ロンドンでもライブがある!Teenage Cancer Trust (10代の癌患者のための基金)主催のライブのトリをなんとフーが飾るという。すぐにチケットを取ろうと会場のロイヤル・アルバート・ホールにアクセスしたが売り切れ。諦めたまま新年を迎えていたのだった。そしてそれから3ヶ月の時が流れ、またThe Whoを懲りずに検索したら、チケットが出ている!!きっと払い戻しがあったのだろう。ライブの1週間前に家族3人分のチケットを購入できたのであった。コンサートのチケット自体は1人£150だったのだが、グレード1リストという指定建造物で行われるコンサートなので、建造物を守るための料金に取扱費みたいなものが加算され、1人£167のなかなか贅沢なコンサートに行くことになったのであった。加えて最近は急な病でも全額払い戻しできる保険付きも選択できる。子連れで行くので何があるか分からないため£31.5の保険もかけた。

さて厳かで煌びやかでもあるロイヤル・アルバート・ホールを目の前に息子は嬉々としている。アルバートホールはどのアングルからも演者がよく見えることで人気だそうだが、会場に入ると私たちの席はボックス席のなんとステージのど真ん中ラインであった。ボックスの中には8人しか入れず、外から入る際は鍵で開けてもらわないといけないセキュリティ万全のシートだ。イギリスのライブは始まるのがとても遅く21時から始まる。前座が演奏をして21時シャープにトリの演奏が始まり、MCみたいなものは大してなく1時間半から1時間45分もないくらいでライブが終わるのが常だ。

21時3分前に席についたら程なくThe Whoがステージにやってきた。ボーカルのロジャーは御歳78、ギタリストのピートは80歳!!!満員御礼の会場のオーディエンスは確実に息子が一番若く、残りは40代から80代まで勢揃いである。演奏はオーケストラと共に始まり、なんだかまろやかなスタートだ。あまりに穏やかでまろやかなスタートに息子は始まって15分で帰りたいと言い出す。オーケストラが去り、ロックになってきたところでなんとかなだめながら最初の1時間の間に私たちが好きな曲を全部演奏してくれたこともあり1時間で会場を後にした。
齢80のおじいさん2人のパフォーマンスだ。ロジャーの有名なマイクを振り回すパフォーマンスはマイクのコードが本人の首や体に絡まる始末。ピートのギターのピックは何度も手から滑り落ちる。それでもロジャーの声はよく出るし、あの年齢でステージに立てるエネルギーがあること自体素晴らしいなと思ったのだが、ライブアクトができないので躍動感がなく、ミュージシャンとオーディエンスとの一体感を全く感じられないライブであった。そうでなかったらあと30分粘ったであろう。

絶世期時代の映像を観て、それを期待して行ってしまったがために残念な結果となった人生初のThe Whoのライブであったが、来年彼らがライブをするかなんて分からないし行って良かったなと思っている。さて、次は誰のライブに行こうか。


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