【1日1事例】訪問リハビリテーション利用者における地域差への関連要因 #訪問リハビリテーション #地域差 #生活空間

参考文献:訪問リハビリテーション利用者における地域差への関連要因
筆者:杉田 裕汰, 原 毅, 大沼 剛, 小暮 英輔, 浦野 友彦
発行日:2022年
掲載元:日本老年医学会雑誌 59 巻 (2022) 1 号
検索方法:インターネット
キーワード:訪問リハビリテーション, 環境因子, 生活空間, 地域差

【目的】
・訪問リハビリテーション(以下,訪問リハ)利用者において,居住地域の差とICF概念に基づき選出した各パラメータとの関連性を明らかにすること.
【方法】
・都市的地域(以下,都市部)と農業地域在住の訪問リハ利用者84名(男性46人,女性38人,平均年齢79.1±7.8歳)を対象とした.
・収集パラメータは,基本情報(年齢,性別,要介護度など),ICF概念における健康状態(主疾患),心身機能(modified Gait Efficacy Scale(mGES)),身体構造(握力,30-seconds chair stand test(CS-30)),活動(Functional Independence Measure(FIM),Life-Space Assessment(LSA)),参加(Frenchay Activities Index(FAI)),個人因子(生きがい意識尺度Ikigai-9),環境因子(Home and Community Environment(HACE),主介護者の有無,介護保険サービス利用の有無など)とした.
・測定は,対象者を担当する理学療法士または作業療法士が実施した.
・居住地域と各パラメータとの関連性は,対象者各群で有意差を認めたパラメータに対し,交絡因子(年齢,性別,FIM運動項目得点)で調整したロジスティック回帰分析を用いて分析した.
【結果】
・農業地域とLSA(OR=1.075,p=0.028),下位I「生活・感情」(OR=0.698,p=0.040),地域移動性得点(OR=5.755,p=0.001)に有意な関連を示した.
【結論】
・居住地域の差が,環境因子,活動,個人因子に関連することが示され,訪問リハ利用者において,各パラメータを使用する際に,地域差を考慮する必要性が示唆された.

【メモ】
・2012 年に新設された地域包括ケアシステムでは,介護 保険サービスの 1 人あたりの給付費割合や供給量2の地域差などの問題点が指摘されている.
・高齢者において居住地域の違いによる差は,運動能力や身体活動,世間体意識,住民同士のつながりなど へ影響することが報告されている.
・これらのことから居 住地域差は,単に環境因子のみならず,心理および身体 面,人的環境の指標にも関連する可能性が示唆される.
・加えて地域在住要介護者の外出を Life-Space Assessment(以下,LSA) で評価した調査では,居住地域に おける物的障害の関連性が報告され,居住地域の環境が要介護者の活動量にも影響する可能性が示唆されている


参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/59/1/59_59.49/_pdf/-char/ja


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?