【1日1文献】地域のなかで求められるリハ専門職の役割-東京都における地域リハ推進広域派遣アドバイザー設置事業のアンケート調査からの考察-#ケアプラン#アンケート調査#地域リハ

参考文献:地域のなかで求められるリハ専門職の役割-東京都における地域リハ推進広域派遣アドバイザー設置事業のアンケート調査からの考察-
筆者:伊藤 晃洋
発行日:2019年
掲載元:第53回日本理学療法学術大会 抄録集
検索方法:インターネット
キーワード: ケアプランアンケート調査個別訪問評価

【はじめに、目的】
・東京都では平成27年度から平成29年度まで「地域リハビリテーション(以下リハ)推進広域派遣アドバイザーの設置事業」を実施していた。
・今回、本事業の種々の依頼の内、「ケアプラン作成における個別訪問評価」について、依頼元の地域包括支援センター職員に対して、個別訪問の結果と今後の地域リハ活動支援事業に対する課題についてアンケート調査を行った。
・アンケート結果をまとめることで、今回の事業の成果と地域のなかで求められるリハ専門職の役割について考察する。

【方法】
・ 対象は平成29年4月1日から平成30年2月28日までに個別訪問評価の依頼をした地域包括支援センターの主任ケアマネジャー(以下ケアマネ)7名。7名全てに質問紙法を用いてアンケートを行った。
・調査項目は、①依頼の動機②依頼により期待する結果は得られたか③利用者の生活に変化はみられたか④この取り組みの必要な頻度⑤今後の課題⑥今後の期待についての全6問とし、個別訪問終了時点でアンケート用紙の記入を直接依頼した。

【結果】
・回収率は100%であった。
・依頼の動機は、医療への不信感などの利用者側要素と、ケアマネジメント作成のアドバイスなどの依頼者側要素が共通していた。
・今回の訪問により、「期待する効果は得られた」いう回答は100%であったが、「生活上の変化が見られなかった」という回答が57%であった。
・生活に変化がみられなかった理由として、「アドバイス通りの対応ができなかった」「1回の訪問では対象者の行動変容が起こらなかった」などの回答があった。
・今後の課題として「事務手続きの煩雑さ」という回答が87%であった。
・今後の期待として「ちょっとしたことでも相談に乗れるようにしてほしい」「他人の気持ちを考え、思いやる気持ちをもった対応をしてほしい」という意見が挙がった。

【結論】
・今回の結果より、依頼元の包括職員の期待には応えることができていることは認められたものの、利用者の生活に直結する変化・効果を出し切れていないことが明らかとなった。
・本事業は病院や施設に勤務するリハ職が地域活動へ参画することを促す目的もあるため、包括職員から一定の評価をいただいたということは成果があったと考えてよいと思われる。
・しかしながら、「ちょっとしたことでも相談に乗れるようにしてほしい」という意見からも、包括職員とリハ職間の連携が課題となっていることも示唆されたため、今後はこれまで以上に連携を図りやすい仕組みを作っていく必要があると思われる。
・また、最終的なアウトカムである地域住民の生活上の変化を出していくためには、リハ職自身が住民の機能レベルだけではなく、個人因子や環境因子、強みや弱みをしっかりと把握したうえで生活モデルの関わりをしていくことが求められる。
・また、行政の枠組みとして、単発での訪問だけでは対応困難なケースも多く、訪問Cサービスなど、短期集中的に関わる事業の必要性も示唆された。

ひとこと
・単発訪問で成果を出すのってめちゃくちゃ難しいですよね。

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/46S1/0/46S1_G-138_2/_pdf/-char/ja 

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