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ゲゲゲの謎 舞台挨拶感想他



ゲゲゲの謎について

 水木しげる先生 生誕100周年を記念して企画された映画で鬼太郎ゲゲゲの鬼太郎の父と行員水木の話が描かれた作品。(PG12)
12/14 現在、興業収入12億を越えたとのこと。お祝いにこの記事をメロンソーダを飲みながら書いている。本当におめでとうごございます!!!!


舞台挨拶のきっかけは入村仲間どるちゃんだった

 「舞台挨拶きちゃったーーーー」
 それは、私がゲ謎の熱に浮かれ、二回目の入村に赴こうとチケットを購入した矢先だった。入村仲間のどるちゃんからDMが届いたのである。
 “舞台挨拶”の四文字を見て、私はふと脳裏に浮かんだ記憶と苦い思いを噛み締めた。
 学生時代のことである。フランス語の教授が突然一枚の紙を鞄から取り出し、掲げた。
「ここに映画の舞台挨拶の当選券があります。せっかくだから、今からこれに行きたいという生徒にあげるから希望者は手をあげてください。もちろん単位に影響ありません」
 行きたい、そう心の中で思ったのに、学生の頃の私は手を上げる勇気がなく、結局とれたのは単位だけで、フランス語の習得も映画の初舞台挨拶体験も得られなかった。
 ふと舞い降りたこのチャンス、絶対に行きたいと思った。何より今自分がはまりにはまっているゲゲゲの謎の舞台挨拶、しかも監督、脚本家、イラストレーターといった制作陣によるものだという。これは絶対に逃せない。そして文章を勉強中の身としてゲ謎のむき出しの感情から溢れたセリフの簡潔ながらも美しく無駄がないセリフ選びについても少しばかりか制作秘話みたいなものを聞けちゃったりするのだろうかなどと淡い期待が沸いたのだった。と、そんな個人的後悔と突如沸騰したゲ謎熱から今回のお話は始まる。
 このNoteは、宝塚チケット合戦で培った力と、日々ゲ謎人気による疲弊したグッズ争奪戦惨敗、入場特典の敗退、そしてパンフレット探しの疲れから生まれてしまった筆者の狂骨により無事舞台挨拶チケットを手に入れた1ファンによる日記のようなものであることをご了承頂きたい。
※ちなみにその他の舞台挨拶も最高に素敵な内容になっているので以下にてリンクしておく。

 今回は映画鑑賞を行い、その後舞台挨拶が行われるという順番での決行となった。ゲ謎本編が終わった瞬間、会場にわっと拍手が鳴り響く。映画鑑賞が終った直後に拍手が起こるというのは非常に珍しく、私も人生でおそらく今回が二度目だったと思う。私も混ざり目一杯手を叩く。会場との一体感を指先からびりびり感じ、そして熱も高まった。さぁ、聞く準備は万全だ。

いざ、舞台挨拶が始まった

 今回舞台挨拶でお喋りして下さったのは以下お三方。
・古賀豪監督
・吉野弘幸さん(脚本)
・谷田部透湖さん(キャラクターデザイン)

 ──第一心の声(私の)は以下である。
 生古賀監督かわええ……。古賀監督がにこにこ壇上に上がられ座る一部始終、マスコットのようなかわいさをされている。だが待て。この目の前に座りにこにこと微笑んでいる男こそ今回ゲゲゲの謎の監督を勤めた男だぞ……ギャップがすごい。龍賀の“賀”は古賀の“賀”と一緒だぞ、この笑顔を侮ってはいけないと戒められるような思いになりながら、両側のお二方の様子も伺う。
 吉野弘幸さんはおしゃれハンチング帽を被り、圧倒的存在感と未知の空気(私が吉野さんと同じ空気を吸うのが初めてなだけですごく有名な脚本家さんです)を漂わせていらっしゃる。ザ・業界人の空気まとわれている方に日頃なかなかお会いする機会がない為この時点でもう鼻息が荒くなる私。事前にXのアカウントを探してはいたものの吉野さんのアカウントを見つけることができず悔しい。
 谷田部透湖さん、SNSを事前に拝見させて頂いていたので最近体調不良だったことを勝手に把握して心配していた私。ちょうど舞台挨拶の2日程前にもお寿司に当たられてさらに体調が悪そうだったのでとっても心配だったのだがとりあえずお元気そうにされていてほっと安心(もしかしたら無理にでもこうして挨拶に来てくださったのかもしれないと内心思いつつ)。お寿司は美味しいから仕方ない。美味しいもの我慢する方が体に毒だーなんて勝手ながら心の中で叫ぶ。否、そういえばXでも叫んだ。

会場が湧き上がる裏話の数々

 古賀監督の前回の舞台挨拶動画を拝見したところ、どうやら古賀監督は涼しい顔してぶっこんでくるお方だと予習済みである。そらみろ予想通り、今回も涼しい顔してにこにこしながら制作の裏話を唐突にぶっこんできた。
以下、御三方のお話箇条書き
・社長室へ行くと、ゲゲゲの謎。社長室に行かないと墓場鬼太郎。2つの分岐点は社長室に行く為に席を立つか立たないか
・21年5月から企画スタートし打ち合わせしたものの3ヶ月間なかなか話しが進まなかった(古賀監督・吉野さん)
・21年8月より透湖さんが参加することになり打ち合わせ中にiPadで次々にラフを描かれたことにより劇的に進んだ
・水木は戦時兵で心のケアをされぬままサラリーマンへ勢いでなった男
・オールバック水木は左目の傷が目立ちすぎるためボツになった
・龍賀家には細かい設定がある
・長田“少年”と乙米の関係とかね……と匂わせ
・長田以外の龍賀一族には30年代の俳優モデルがいたりいなかったりする
・長田にはモデルがないが水木先生の作品の中をベースに創り出された男
・長田の声優が石田彰さんだったのは偶然
・シナリオハンティングはしていない(吉野さんすごすぎる……)
・吉野さんは今回の企画に携わる前は墓場鬼太郎のみ履修済
・脚本家は一番最初に仕事が終わるのであとはみんなを応援する側に回る為吉野さんは差し入れをたくさんした
・吉野さんが差し入れした叙々苑の焼肉弁当は非常に美味しかったが糖質で眠くなってしまった透湖さん(可愛い)
・打ち合わせで透湖さんの旅行歴からグーグルマップで東京⇔鳥取間の車でのルート詮索し監督の下見を経てロケハン決行(吉野さんはお留守番)
・ロケハン中にスタッフの一人が怪奇現象にあった。部屋の真ん中に布がさーさーっと垂れていたらしい
・本編汽車の中~哭倉村に着くまでの間に入りきらなかった映像がある
 ①汽車の中で水木が太陽族に絡まれる
 ②汽車を降りると温泉街が広がっている※ちなみに愛知県定光寺駅らしい
 (ここうまく聞き取れなかったのでYouTubeを待ちたい……!!)
 ③列車を降りると温泉街といくつかの廃村がある
 ④タクシー運転手に「この辺では神隠しが多い」「お客さんも無事帰ってこられるといいですね」的なセリフがある(こちらも少しあやふやですが、らしいことを仰られていた)
・最後に作中の好きなおばけ
 谷田部透湖さん:河童
 吉野弘幸さん:狂骨
 古賀豪監督:さがり(さがりがあそこまで活躍するのはこの映画が最初で最後であろうとのこと)
 ※さがりとは、湖の島に水木が上陸した際、エノキの木に馬の首が垂れ下がった妖怪。劇中ではゲゲ郎の霊紐で仕留められていた
※今回のお話はSNS等での叫びはOKとのことで事前に許可が入っておりましたので記載しております
※ぐちゃぐちゃのノートにメモした内容なので内容に誤りがある可能性がございます。公式のYouTube公開はよこい……。

司会者の方も凄かった

 終始、会場にざわつきと黄色い、笑い声が入り交じり、溢れており大変幸せな一夜となった。
 我々はしかしながら、このお話を聞けたことをある一人の方に感謝せねばならない。ずばり、司会の方である。会場のファン達の心を代弁するかのように切り込んでいく勇姿、決して忘れはしない。現在のSNSでの流行りまでも網羅した素晴らしい切込み、そして食いつき……本当に素晴らしかったです……どるちゃん(入村仲間)が特に司会者の方に感激してしたのがすごく印象的で、いかんせん初舞台挨拶の私はそうなんだとその時は他人事に思っていたのだが改めて整理してみるとこの量の話をたった30分で聞き出せるというのも本当にすごいことだなと思いました。しかも内容が濃すぎる。

原口なおこさんが会場入りされていた

そして水木しげる先生の娘さんの原口なおこさんも会場にいらしていたとのことでファンとしてこれ以上ない幸せ……。大丈夫だろうかこんな幸せで……逆に心配になってくる。非常に人らしさを自分に感じつつ以下リンク。

悪魔くん

そしてそして、12/14はこれまた偶然か、必然か──
アニメ悪魔くん埋もれ木一郎の誕生日!ゲゲゲの謎にはまった同士に是非おすすめしたいアニメなのでまだ未履修の方は是非!! 悪魔くんもとってもとっても面白いしダークで血塗られているので見ましょう!!!!
何卒……悪魔くん好きもっと増えていいはずだ……。

私の「ゲゲゲの謎」感想

(東映さんのフォームにも同様のものをお送りした一部抜粋)
※ここからは文体を少々意識的に変えております。


夜遅くでしたが、古賀監督、吉野さん、透湖さんの御三方が来てくださりお話を直接聞くことができたのは人生の宝物です。

 舞台挨拶でもう3度目の鑑賞になりましたが何度見ても新しい発見があり劇場に行けば行く程次はここに注目してみよう、あそこはどうだったか確認しようと今までの映画鑑賞経験ではありえないような、楽しみ方をしています。
 1シーンの映像の中にメッセージが2つも3つも入っているなんてものすごい熱量の作品に出会えたこと、心から感謝しております。
早くブルーレイやDVDでゆっくり止めながら気になるところをチェックしたいです。発売を本当に楽しみにしています。
 そもそもは今回の映画を透湖さんのキャラクターデザインに惹かれて観に行ったのですが、この映画はビジュアルだけじゃなかった。BGM(サウンド)はほとんどピアノなのに、最後の水木が斧を振り下ろすシーンだけはコーラスが入っていて、みんなの願いの一刀のような表現にも鳥肌がたちました。ゲゲ郎の戦闘シーンでは息をも奪われるような迫力で、レジェンドアニメーター太田晃博さんがあのシーンをお作りになったと聞いて神業にも程があると震えました。
 作中の脚本一つ一つのセリフが大好きで、例えば冒頭の鬼太郎が呟く「母さん…」が初見ではわからなかったのですが、次で最後の狂骨だよという意味での母さんだと気付き、今まで人生の中で一番重い「母さん」になりました。沢城みゆきさんの演技も、呟くような、やっとだよっていう含みをされていて、冒頭から涙が止まりません。
 古賀監督イチオシの昭和30年、熱量のある世界。一度見ただけではわからない龍賀家の家系図と関係性。考えれば考えるほど一番怖いのは人間なんだと思えてくる大人ホラー。PG12を保ったまま表現できているのも本当に凄い。田舎に不自然に並ぶ電柱、入村1回目では僅かな違和感だったのが2回目には完全に制作陣によって図られていたことに気がつく。そしてまたゾッとする。その繰り返し。もはや一種のテーマパークに通っているような気分です。

最後に

 制作陣のお話をお聞きして共通してベースにあるのが、いかに水木しげる先生が素晴らしいのかということを制作陣が共通認識として持っており、今回こんなにも素晴らしい作品を作ったのにも関わらず、一つも驕るところがない。そういった姿勢をとることがどれだけ難しいことなのか、想像してみてください。だってゲゲゲの謎がこれだけ人気でグッズも品薄、パンフレットも受注生産になったもののの年内発注は難しいような映画、ここ数年でどれだけありましたか? 興行収入がどんどん伸び続けている現状を見ても俺達私達がやってやったぜという態度が一つもないんですよ。本当に尊敬しかない。その根底にあるのは水木先生への尊敬の念であり、ゲゲゲの鬼太郎が子供やあらゆる世代の大人のお友達に愛されている作品であるという根底的な思いがあってこそですよね。
 古賀監督が「公開された作品はもうみなさんのもの」といったことを仰っていてこの言葉がもう全てを語っていると私は一人心を打たれました。
 今まで私は作品の時代背景や歴史、キャラクターの関係性や性格について、あまり深く考えてきませんでした。だけど、初めて聖地(調布)にもソロで足を運びました。ゲ謎は私の人生ごとがらっと変えてくださった唯一無二の作品です。
 本当にありがとうございます。
 筆者はこのnoteを書き終えた後、今度は子供の頃には目を向けてこなかった水木しげる先生のエッセーを読み漁ってみようと思います。

以下、ファンアートです😚


※今回のnoteの表紙に使わせて頂いたのは入村仲間どるちゃんによるものです。どるちゃんありがとう♪



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