映画の話

“モンスター映画”と“怪獣映画”

ぷらすです。

今、映画館ではトム・クルーズ主演の「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」が上映中ですね。
この映画は「ミイラ再生」という映画のリブート作品で、「ダーク・ユニバース」というモンスター版アベンジャーズみたいなシリーズの第一弾なんだそうです。

ちなみに、2014年公開のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』と今年公開された『キングコング:髑髏島の巨神』は、「モンスターバース」という怪獣版アベンジャーズ的シリーズで、「アベンジャーズ」の成功以降、ハリウッドではオールスター大集合映画が大流行りなのです。

ところで、ゴジラやキングコングって日本では「怪獣」扱いですが、海外では「モンスターバース」というタイトルにある通り(巨大)「モンスター」扱いですよね。
で、“怪獣”と“モンスター”って似てるようでちょっと違うと僕は思うんですよ。
というわけで、今回は(僕が思う)怪獣とモンスターの違いについて書こうと思います。


まず、モンスターなんですが、上記のミイラ男や、ドラキュラ、狼男、ゾンビ、フランケンシュタインなど、人間大のモノからキングコングのような巨大生物まで色々いて、ウィキペディアによると「モンスター」は 怪物、魔物 の事で、語源はラテン語のmonstrane(見せる)とも、monere(警告)とも言われているそうです。

つまりザックリ分けると、狼男、ドラキュラなどの「魔物」と、キングコングなど異常生物としての「怪物」に二分されるんですね。

一方の「怪獣」は、正体不明の生物、怪物の事を指す言葉で、語源は伝説的な妖怪、神々の類いが数多くまとめられた中国の書物『山海経』から来ているそうで、つまり怪獣は分類としては妖怪や神さまの仲間なんです。

つまりモンスターと怪獣の違いは、西洋と東洋の宗教観の違いって事になるんじゃないかなと。
キリスト教など一神教由来の宗教観から生まれたのがモンスターで、神道など多神教由来の宗教観から生まれたのが怪獣。
もちろん例外もあるし、“モンスター”も遡れば妖怪・妖精・神話などが元になっているのも多いので、怪獣もモンスターも根っこの部分は同じだと思いますが。

日本では「初代ゴジラ」や「シン・ゴジラ」は人間が抗えない災害や戦争などの象徴として描かれています。
初代ゴジラのヒット以降ポップアイコンとなったゴジラは、子供向けの怪獣王として人類を守ったり「シェー」をしたりもしていますが、基本的には人類を襲うこともあれば外的から地球を守る事もある「バランサー」的な立ち位置で描かれたりしていますよね。
「怪獣」はそれ自身が神のような存在です。

一方でキングコングは、巨大生物のモンスターとして描かれていて、だから人間の通常兵器で対抗することが出来るし、それは1998年公開、ローランド・エメリッヒ監督の「GODZILLA」も同じで、あくまで突然変異の巨大生物なので、「モンスター=怪物」ではあるけど「怪獣」ではないんですよね。(大量に卵を産んで増えるし)

日本でも、初代ゴジラは芹沢博士の開発した「オキシジェン・デストロイヤー」によって一応は死ぬんですが、これはある種、宗教的な儀式のメタファーというか、神官や高僧が御札や神通力で妖怪を退治する、または自らを生贄として荒ぶる神を鎮める行為の置き換えで、人間の通常兵器は(基本的に)怪獣には効きません。

庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」では、この第一作のプロットを引き継いでいて、人間には退治出来ない「荒ぶる神」であるゴジラを血液凝固材で凍結する。つまり鎮めて祀る=共存するというエンディングになっています。

ここがモンスターと怪獣の一番大きな違いで、モンスターは(基本的に)人間にとって倒すべき敵で、怪獣は封じる、もしくは鎮めて祀る畏怖・畏敬の対象(神)なわけです。

海外の人たちが日本の怪獣映画を観て、日本の人が海外の怪獣映画を観て、それぞれに違和感を感じるとしたら、多分この感覚の違いなんじゃないかと思うんですよね。

とはいえ、アメリカのテレビなどで日本の怪獣映画や特撮、アニメが放映され続けてきたことで、子供達の間で「怪獣」の概念が徐々に浸透。2013年には、巨大怪獣と巨大ロボットとの戦いを描いたギレルモ・デル・トロ監督の「パシフィック・リム」
そして2014年、ギャレス・エドワーズ版「GODZILLA ゴジラ」が公開されます。

「パシフィック・リム」での怪獣は呼び方こそ「カイジュー」ですが、宇宙人? が作り出した生物兵器という扱いなのでモンスターに近いきがしますが、ギャレス・エドワーズ版「GODZILLA ゴジラ」は、「VSゴジラシリーズ」や、平成版ガメラの流れを汲んだ外敵から地球を守る「バランサー」のゴジラとして描かれているし、同じ「モンスターバース」のキングコングは、髑髏島に君臨する神として描かれています。

そういう意味で「モンスターバース」のゴジラやキングコングは、日本版ゴジラ=怪獣の概念にかなり近い描かれ方をしているし、個人的な感覚としては、モンスターに怪獣がミックスされた新たな「怪物映画」になっているんじゃないかなーと。

そんな「モンスターバース」シリーズの次回作は『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ(原題) / Godzilla: King of Monsters』で、モスラ・ラドン・キングギドラも登場するらしいので、今から楽しみですね。

ではではー(´∀`)ノシ

|ω・).。oO(*個人の感想です)


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