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【来日記念】Jesus Jonesについて

元祖デジタルロック・バンドと呼ばれている「Jesus Jones」の来日公演が決まりました。12年ぶりとなる来日公演は11月1日 (水) 下北沢シャングリラで、2011年の解散ライブ以来ということです。


今回は80年代後半から90年代、そして現在と活動をしている、オルタナ・インディ〜テクノ、そしてデジタルロックの元祖と呼ばれいる「Jesus Jones」です。

ただ、デビュー当時、日本では普通に「80年代洋楽ロックアイドル」っぽい扱いもありました。また、お洒落なバンドでした。

時期的に90年代に差し掛かっていたので、サーフィンというか、バイクというか、スケーターというか、HipHop系というか、グランジやブリットポップの波が、波がやってきそう、の時代です。




Jesus Jonesは、1989年2月にリリースしたシングル「Info Freako」でデビューします。

Jesus Jones - Info Freako - Official Music Video

ハードでラウドなギターが最高です。デジタルサウンド、HipHop、サンプリング、しかも、おしゃれで、超最先端なミクチュアーです。

MVを見ていると、気づくのが「Stüssy」のパーカーとTシャツです。

「Stüssy」のロゴと、パーカーのロゴの図解

すぐにわかる特徴のある「Stüssy」のロゴです。

こちらは「STUSSY」のテキスト入りTシャツです

「Stüssy」は70〜80年代に、サーフィンとスケートボード、アンダーグラウンドなサブカルチャー、DJ、そしてアーティスト、ミュージシャンと美意識の共通感を持つ人達の間で流行ったファッションブランドで、現在も渋谷にショップがあります。

要は「ストリート」と呼ばれる渋谷・原宿系ファッションと思ってください(サーフィンですが)因みに、私はこの会社のWEBデザイナーの面接を受けに行ったこともあります。(どうでもいいネタ)

この曲がデビュー曲になりますが、当時、赤を基調として黒のファッション、ベレー帽を逆にかぶり、CAPや、ドレッドヘアー、サングラスという姿のJesus Jonesのメンバーらが、原宿あたりを歩かれたら街中は大騒ぎ間違いなしの「カッコよ」です。


今後のジャケットデザインの路線を考えたら、MVなどの反動なのかなと勘繰ってみる


Jesus Jonesというバンド、最先端すぎな格好良さの衝撃でした。1989年10月に1stアルバム『Liquidizer』をリリースします。

Liquidizer』は。どうにも名作で、これを聴くと「カッコいい」という言葉しか出てきません。『Liquidizer』は注目され、セールスも好調でした。


Jesus Jones - Never Enough - Official Music Video

Never Enough」の3インチCDシングルを持ってました。3インチCDシングル、一時期は中古屋でよく見ましたが今はあまり見なくなりました。

Never Enough」は逆回転っぽいような音も入っていますが、サイケデリック要素もあり、疾走感からもドキドキしてしまうサウンドです。映像ではJesus JonesBeatles役で、ボーダー柄のソバージュの女性は熱狂的なファンですとなってます。80年代当時は、このようなファッションの女の子ばかりです。


これが一番妥当かなー的な。


いくつかのブログで散見できますが、同年5月にThe Stone Rosesの1stアルバム「The Stone Roses」がリリースされています。

The Stone RosesJesus Jonesが同じ年にレコード・デビューという事を今まで気づきませんでしたが、とはいえ、The Stone Rosesは2枚で一旦は解散し、リリースも1989年と1994年という間隔でした。

Jesus Jonesはプレスの評判もよく、レコードセールスもよかったことを覚えています。

1990年3月に「Real Real Real」をリリースします。


Jesus Jones - Real Real Real (Official Music Video)

Real Real Real」は、全米ビルボードホット100で4位でした。

このMVは2種類あり、こちらは英国ver.で米国verもあります。

こちらがUSヴァージョン

USはグラフィカルで、アングルがアグレッシヴです。色味が抑えられて、光と影が強く、キラキラではなく、躍動的な映像です。

私もよく見ましたが、日本では、目の色が極端なグリーン(着色された緑の目)になっている公式にあるMVが流れていました。公式にあるMVはインターナショナル版だと思います。



この曲のアナログ盤で、カードとバッジつきを持ってます。入れ込んでました、はい。



1990年9月に「Right Here, Right Now」をリリースします。

Jesus Jones - Right Here Right Now (Official Music Video)

この曲は全英シングルチャートに9週間連続ランクインし、最高31位。1991年7月には全米ビルボードホット100で2位、1991年のUSの大学でのラジオで一番聴かれた曲になりました。

90年代の「カレッジチャート」は、真の音楽好きのチャートという感じで、ビルボードよりも音楽をよく知っている、信頼の高いものと言われていました。カレッジチャートから人気がでたのが、The Smashing Pumpkinsなどでしたが、そもそもグランジバンドは大学生などの支持からが多かったと記憶しています。

この「Right Here Right Now」はMVを見るとわかりますが、「ベルリンの壁崩壊」「ソ連崩壊のニュース映像」「アメリカとソ連の指導者による演説」と、80年代の政治的出来事の映像とバンドのシンクロがなされています。

日本でも「Right Here Right Now」は、流行りました、流行りました。


1991年1月に2ndアルバムの『Doubt』をリリースします。2ndアルバムの『Doubt』はバンドとして最大のヒットアルバムで、100万枚以上のセールスを記録し、グラミー賞の「Best Alternative Album」にもノミネートされました。


この1991年に来日公演です。

6月14日 渋谷クラブクアトロ 東京
6月15日 クラブチッタ? 東京
6月16日 新宿パワーステーション 東京
6月17日 新宿厚生年金会館大ホール 東京
6月19日 大阪クアトロ 大阪
6月20日 大阪クアトロ 大阪
7月21日 名古屋クアトロ 名古屋
7月16日 クラブチッタ 川崎

15日のクラブチッタは川崎なのか、東京で別の会場なのかは、今の時点でわかりませんでした。※わかりましたら訂正します。


Doubt』は、国際的な成功を収めました。


またシングルでは「International Bright Young Thing」のほか、公式チャンネルにはない「Who? Where? Why?」のMVもあります。「Who? Where? Why?」は、いかにも「オルタナ」という感じの合成映像で、お花とドギツイ色が全面の風変わりな作品になっています。

このキャラクターはまあまあ。デジタル坊なのでしょうか?


1991年にはNirvanaのメジャーデビュー年でもあり、MTVでどれだけ「Smells Like Teen Spirit」が流れたでしょうか。1991年はこの2つのバンドが米国での若者に支持されたそうです。

グランジは小汚い格好をし、Kurt Cobainの毒気だらけのインタビュー、パンクロックで、米国チャート1位になるといい、1位の快挙を達成します。

英国バンドのJesus Jonesは真逆な印象です。Kurtほどの破壊的な事もなく、かなりの量のライブのスケジュールをこなし、お洒落なファッション、綺麗な髪型、マスコミ向けの回答をしています。

商業的な成功は収めていく中、フロントマンのMike Edwardsは1週間程度の録音でのアルバム制作に疑問を感じる事もあったとあります。

さらに、EMFというJesus Jonesに類似したファッションのダンスミュージック・バンドが出てきたり、Britpopの台頭も1991年頃からになります。


Jesus Jonesは、Blurと同じレコード会社で、1991年12月21日には他の所属バンドと共にライブを行っています。「The Food Xmas Party 1991 (Brixton Academy Dec 21 1991)」というプロモカセットが音源としてあります。

レコード会社の販促物です。このギグの広告ではJesus Jones>Blurとなっています


こうして『Doubt』発表以降、多くのライブやフェスにJesus Jonesは出演します。ツアー中の移動のバスなどで曲を作るなど、ハードなスケジュールをこなします。


3枚目のアルバム『Perverse』を1993年1月に発表し、7月には日本への公演が合計8回行われます。

7月6日 札幌ファクトリーホール 北海道
7月7日 福岡市民会館 福岡
7月8日 簡易保険ホール 東京
7月10日 厚生年金ホール 東京
7月10日 名古屋ダイアモンドホール 名古屋
7月14日 大阪厚生年金会館 大阪
7月15日 ゆうぽうとホール(大阪簡易保険会館) 大阪
7月16日 クラブチッタ 川崎

前回に比べ、会場がクラブからホールと、スケールアップしています。

Perverse』はダークな音になりましたが、「テクノをポップ大衆に受け入れられるものにするという彼の使命」のもと、制作され、この音楽は後のThe Chemical BrothersThe Prodigyなどにも影響を与えたとされます。

特に「Zeroes and Ones」はMVは公式で公開されていませんが、デジタルエイジのごとく「0」と「1 」で構成されていて、映画『マトリックス』のようでもあり、いつものごとく、ファッショナブルなメンバーが空間を跳ね回るという攻めた映像です。

オレンジのパンツは目立ちます、これはカッコいいです

この曲も公式チャンネルにありませんが、是非、アップしてほしいです。曲も良くて、ダンスミュージックの色合いが強いですが、重厚な曲調で。「メタルバンド」も考えていたとかいないとかですが、これは普通にダークなダンスミュージックです。

コンピュータワールド、コンピュータの脅威をテーマにした曲とされていますが、01の世界ということですが、デジタルミュージック・テクノなのに「脅威」というのが面白いです。


この曲の他に「The Devil You Know」などは、ローゼズやマニックスのようにペンキを被ってみたり、「The Right Decision」ではメンバー全員でスーツ姿で道を闊歩していくだけという、シンプルだけど、洗練されたおしゃれ路線でグイグイといく、デビューからのパーカーやスウェットなどから、ファッションにも変化が出てきますが、おしゃれ健在です。

「The Devil You Know」のMV製作時のフォトセッション、または販促用でしょうか?

曲も「The Right Decision」は「Right Here Right Now」のような、ちょっとバラードっぽい、ソフト路線だったのですが、なにぶん、以前ほどのドラマチックさが失われていて弱い印象になっています。

Perverse』は賛否両論となってしまったアルバムなので、さすがに曲調はこれまでの路線でも、ファッションだけはインパクトが若干落ちだったのかもしれません。

Pitchforkから1990年代の「キャリアを潰した10枚のアルバム」のリストに加えられた『Perverse』ですが、今、聴いてみても、そんなに曲もMVも問題ではなく、前作同様の高い質を誇っている作品だと思うのです。

さすがにやや偏向的な感じもしますが、とはいえ、セールス的な問題が結果として出てしまったことが大きいのかもしれません。

「The Right Decision」ですが、デジタルエイジ狙いなのかもしれません


ジャケットデザインに関して私の感想は、あれは攻めた方向性だと思うのですが、レコード店で並んでいるのを想像するとどうなのかなと。若干グロテスクですが、グランジの作品もそうしたものも多く見受けますので、時代って言えば時代ですので、特に問題はないのでしょうけど、なにぶん、進化の早かったバンドと後世に語れているので、色々と負の方向に働いてしまったのかもしれません。


はー、私の中でも賛否両論の文章になってしまいましたが、それでも1994年には3度目の来日をします。今度はさらに会場はスケールアップし、武道館2daysです。

9月20日 日本武道館 東京(サポート:布袋寅泰)
9月20日 日本武道館 東京(サポート:布袋寅泰)
9月23日 福岡サンパレス会館 福岡(サポート:布袋寅泰)
9月25日 大阪厚生年金会館 大阪(サポート:布袋寅泰)
9月27日 名古屋市民会館 名古屋(サポート:布袋寅泰)


この後、Jesus Jonesはしばらく活動を休止しますが、1997年に4枚目のアルバムをリリースします。

以前ほどの、目立ったサンプリングの使い方はトーンダウンしますが、ダンサブルなテクノサウンドは健在です。

これはこれで良い感じなのですが、97年というと、テクノではなく、ギターポップだったのかなと。

でもそんなに酷くはないと思うのです。1つ私が思うには、デジタルロックなのにジャケットがペイントなのが、どうなのかなと。インド風の音もありますので、Britpopの終焉も近いのではないかと思いますが、洗練された音楽で、懐古的なロックサウンドという方向性は間違ってないと思うんですよね。


「The Next Big Thing」のMVですが、カッコよくない?近未来だよ

この曲も特に、アルバムも路線的には変わってない上に、よりギターサウンドになっていて、ビジュアルも変更しています。ストリートでボードやってそうですが。

ちょっとこれ思い出してしまいました。

Electronicの「Forbidden City」色合いもですが、イメージ全体が


フロントマンのMike Edwardsはこの2作について、時間をかけて制作できた傑作とも言っています。


「Chemical #1」ではワイルドなシーン満載です。壮大なロケです。



特にチャートを賑わすような活躍はなくなりますが、特にそんなに言われるほどでもないのに、残念です。

「Chemical #1」など、新境地という感じ。


砂漠が出てきます、Electronic 「Get The Message」

Electronicだしすぎ?すみませんでした)


初期の2作品についての不満があり、その反動というか、後の2作品は自由にやりましたということろなのでしょうか。


2001年『London』、2004年『Culture Vulture !』(EP)のリリースを経てから、しばらくレコーディングはされなくなり、SNS時代に再認識が起き、過去のアルバムやEPなどの再リリース、ライブ活動などから、日本公演を行います。


2011年8月22日 赤坂Blitz 東京

赤坂Blitzも懐かしいですが、1day公演でした。


かなりワイルド

この2011年にはThe Wonder Stuffと一緒に英国でツアーをしていました。The Wonder Stuffも懐かしいです。

その後、2018年に『Passages』というアルバムを発売しますが、リリース元のPledgeMusicが支払い遅延の問題を報告する事件が1年続いた後、2019年5月に破産となります。

クラウドファンディングの走りであったPledgeMusicですが、2009年から10年間の音楽制作・販売の1つのケースを模索していましたが、残念です

『Passages』は『London』ほどギターサウンドではなく、テクノサウンドが戻ったアルバムです。

サブスク配信などでは全アルバムが聴くことができます。



さて、私の文章もなんだか長くて賛否両論な雰囲気ですが、今回の来日公演は「急遽決定」だそうです。

前回の来日から12年ぶりの奇跡の来日ということです。

メンバーは、マイク・エドワーズ (ボーカル, ギター) ジェリー・デ・ボルグ (ギター) アラン・ヤワルスキー (ベース) イアン・ベイカー (キーボード) ジェン (ドラムス)


2種類のビジュアルがありまして、現在のやつ。

何かメンバーの順番が合ってないというか、どういう撮影条件なのか

どちらで売りたいのかの欲張り2種類のビジュアルです。

こっちは、まま、ありがちな、「これですよね」的なビジュアル

USツアーのポスターは以下なので、この路線がいいなぁーと個人的に思ったりしてみます。

一段とおしゃれ


あら、USツアーは中止になっていますね。


【緊急来日決定!】Jesus Jones Japan tour 2023 告知第一弾


公式サイトは以下です。


最後に新曲です。

Jesus Jones - Still Smiling (new single, lyric version)



というわけでしたが、まだこの内容ではイマイチなので、また次回「Jesus Jonesの(デジタルロックからの90年代〜grunge・Britpopの間で)」という記事でお会いしましょうという企画はありません。


また次回の記事をお楽しみに。




次回予定は、メタル、90年代、時事ネタ、追悼シリーズなどを予定しています。


今年はブリットポップのバンドの来日も多く、またメタルなどの記事も色々と書ければと思っています。

最後にメンバーシップも始めています。



ご清聴ありがとうございました!


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