見出し画像

記憶

そして君は僕の前から姿を消した
微かな香水の香りだけを残して

僕は君の香りが好きだった

だから
僕も君と同じ香水を買ったんだ
そうすれば
会えない時でも
君と一緒にいるような
錯覚を出来るから

でも
僕がつけても
君の香りにはならないんだ

やっぱりあの香水は
君がつけるから
あの香りになるんだね

僕がそう言った時
君は言ったね

私はあなたの香りが好きよ

香りとは
そういう物なのか
つけてる人の香りになるんだ

香水単体なら
どの香りも同じ

だけど
人がつけた瞬間
その香りはその人だけの
香りになる

どれだけ
君と同じ香水を買っても
もう君の香りはない

それでも僕は
今日もその香水をつけていく

もう空の瓶が
何本たまったんだろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?