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0092 ジョン・ウォーターズ監督『ピンク・フラミンゴ』聖地巡礼

2015年5月2日(土)にアメリカのメリーランド州ボルチモアでジョン・ウォーターズ監督の『ピンク・フラミンゴ』(Pink Flamingos) の聖地巡礼をしてきました。

ボルチモアはアムステルダム、名古屋と並ぶ世界3大ジョーク・タウンとして有名です。ボルチモアには新型コロナウイルス COVID-17がパンデミックになって以降、WHOよりも信頼できる感染情報を発信したジョンズ・ホプキンズ大学があります。

私が訪問した2005年のGWは、よりにもよって4月27日(月)からボルチモアで黒人暴動が始まってしまい
米東部ボルティモアで人種暴動 州知事が非常事態宣言、州兵出動 - 産経ニュース (sankei.com)
【BBC】 ボルティモア暴動 拘束された黒人青年の死亡で (youtube.com)
クポからは「オリオールズの試合が中止になっとる」と警告されましたが、(ワシントン・ダレス空港までの)フライトが欠航になった訳でも無かったので決行。実際に行ってみたら略奪されたお店とかも結構あってそれなりにヴァイオレントな状況でした。

さて、私と『ピンク・フラミンゴ』のめぐり逢いは、1986年9月28日(日)に名古屋シネマテークで聖デヴィッド・リンチの『イレーザーヘッド』と2本立てで鑑賞した時に遡ります。東京では6月21日ロードショーだったので3ヵ月遅れての名古屋公開。当時の日記をチェックしてみたら、前日の9月27日(土)に部活を終えてから省吾君と名鉄東宝でジェイムズ・キャメロンの『エイリアン2』(とジャッキー・チェンの『サンダーアーム 龍兄虎弟』の2本立て)を鑑賞していて、更にこの後の10月6日(月)に中日シネラマ会館の試写室で安井君と『未来世紀ブラジル』の中部高校映画連盟の試写を観たことになっていたので、この頃は、シカゴのジョン・ヒューズ校長も唸るであろう、かなり充実したハイスクール・ライフを送っていたことになる。
『イレーザーヘッド』も初鑑賞でそれなりに衝撃だったけど、兎に角『ピンク・フラミンゴ』が凄すぎてぶっ飛んだ。"The Filthiest Person Alive"の名誉を賭けてボルチモアでディヴァイン一味とマーブル夫妻が闘争するだけの話なんだけど…。しかし"filthy"なんて形容詞…普通使わないよ。同じような単語だと"dirty"とか"vulgar"とかあるけど…。てな訳で、この日を境に我が人生は大きく狂わされてしまうことに…。1998年8月1日(土)には今はなきシネ・ヴィヴァン六本木に駆け付け〈特別篇〉を鑑賞したし、今や、我が家の玄関にはトレーラーハウスでは無いもののピンク・フラミンゴが鎮座してます。

舞台はヘンなヒトとそうでない人が住んでいる街ボルチモア。ここでは壮絶な“世界一下品な人々”の称号をめぐってバトルする二つのファミリーがいた。まず、チャンピオン側として“俗悪の女王”ディヴァイン(←バブス・ジョンソンと名乗る・演:ディヴァイン)とその問題家族=ヒッピー息子クラッカー(演:ダニー・ミルズ)&脱色ブロンドの覗き見大好きコットン(演:メアリー・ヴィヴィアン・ピアース)&エッグマン大好きママ・イーディ(演:エディス・マッセイ)。対する挑戦者側はコニーとレイモンドのマーブル夫妻(演:ミンク・ストール&デヴィッド・ロチャーリー)+召使チャニング(演:チャニング・ウィルロイ)。目立ちたがり屋で嫉妬深いこのカップルはパンク到来前に赤と青の髪をして、とんでもない商売をしている。そして繰り広げられる“お下劣バトル”!悪趣味王座を獲得するのはディヴァインなのか?マーブル夫妻なのか?

という訳で、ストーリー順に聖地巡礼のご案内。オープニングタイトルにも登場し、最後はマーブル夫妻の焼き討ちに遭うトレーラーハウスはボルチモア市北側の衛星都市フェニックスにありました。ディヴァイン演ずるバブス・ジョンソン宛にマーブル夫妻が臭いプレゼントを送付するんですが、ちゃんとポストマンがフェニックスって住所を読んでる(笑)。但し、焼け落ちちゃっているのでここは訪問しませんでした(←行ってないんだったら書くなって感じなんですが、作品の性質上重要な聖地なので言及せざるを得ないんです…)

レイモンド&コニー・マーブル夫妻が住んでいるのが元々は、ジョン・ウォーターズとコニー・マーブル演ずるミンク・ストールがシェアして住んでいた借家。ボルチモア市では郊外に当たる場所に位置しています。トレーラーハウスが無き今『ピンク・フラミンゴ』最大の聖地はここで決まりでしょう。勿論マストで訪問です。自分入りの写真を撮っていたら陽気な黒人のお兄ちゃんがノリノリで声をかけてくれました。

ディヴァインが散策するウォーターフロントの丘はフェデラル・ヒル・パーク。
Federal Hill Park - Wikipedia
ディヴァインが歩いた階段を上ってウォーターフロントを見渡してまた階段を降りてきました。因みに、ここはノーマン・ジュイソンの『ジャスティス』でもアル・パチーノが歩いてます。アル・パチーノはディヴァインの真似したな!

ディバインが闊歩するダウンタウンは、ボルチモア・ペン駅に戻ろうとトラムに乗っていたら映画に搭乗した場面と同じ風景に出くわして、大慌てでトラムから降りて撮影した場所です。黒人暴動の時期で、ちょっとガタイの良い黒人のお兄さんがオリオールズのシャツとかをストリートで売っていて怖かったので小心者の私はちょっと離れた場所から撮影しました。本篇画像では紙袋を抱えた黒人のお姉さんの背景にある煉瓦壁の出っ張りに注目して下さい。ここが照合ポイントです。昔も今もあんまり変わってないですね。

続いて、マーブル夫妻がバブス・ジョンソン宛に臭いプレゼントを発送した郵便局。建物は今でも「ポスト・オフィス」のレリーフはありますが、今ではオーガニック食品店になってます。私たちは1991年から数年間、貰ったヒトが不快になるプレゼント(←1000円位の予算)交換をするクリスマス・パーティをしてましたが、その原点はこの郵便局にあったのです。メリー・クリスマス!

でもって、もう一回マーブル夫妻の家。ディバインとダニー・ミルズ演ずるクラッカーズが階段の手摺を舐めて自分たちが来た事を家に知らしめています。動物生態学上では犬のマーキングと同等に見做される行為です。マーブル夫妻は帰宅後、かなりアナログな特殊効果によって家のソファ等から拒否されることになります。私がこの家を訪問する前にネットで検索してみたらあるツワモノがこの手摺を舐めている画像をアップしてました。私は実行できなかったので勝てませんでした。
尚、このシーンの影響なのか、ウッチー氏はケイイチさん家で主人が不在の間に自慰行為の暴挙に出て、その後、童貞を卒業するまでの間、"Super Onanista(葡語 スーペル・オナニスタ 日本語訳 凄いオナニーをする奴)"とか"Master of Masturbation"の称号を手にしました。ウッチー氏を讃える歌曲も沢山作られました。※ケイイチさんは家から拒否されませんでした。

バブス・ジョンソン(ディヴァイン)とクラッカーがマーブル夫妻の家の手摺を舐めまくる!

ディバイン一味はマーブル夫妻を処刑しましたが、トレーラーハウスが焼き討ちにあったためボルチモアを離れてアイダホ州ボイシに向かいます。ここはボルチモアのダウンタウンで撮影されました。3人が歩いている右側の酒場は屋号は変わりましたが、ロゴのフォントは同じですね!

そして映画のラストはパティ・ペイジの「ハウ・マッチ・イズ・ザット・ドッギー・イン・ザ・ウィンドウ」(←ピーター・ジャクソンの『乙女の祈り』でも使われている…オマージュなのかな?)をBGMにワンちゃんのウンコを食べるところ。私は初見の時は絶句しました。今でもですが…。でもってこの場所は長きにわたりジョン・ウォーターズ含むボルチモア映画のキャスティング・ディレクターを務めるパット・モーランの当時借りていた家の前。ワンちゃんはパット・モーランの飼い犬のナッチーです。正確には映画本篇でナッチーがウンコしている場所は背景に金網があるので別の場所になる筈ですが、周辺を歩き回って探してみたのですが解らず終い。町山さんと柳下さんも行ったパット・モーランの家の前の写真を撮りました。

オマケはボルチモアの北に隣接する衛星都市ツーソンのプロスペクト・ヒル墓地にあるディヴァインのお墓。聖地巡礼なので私なりにディヴァインに対する敬意&弔意を込めて墓参りの表現をしてみました。

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©2015 プッチー・ミンミン

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