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あなたの未来が、見たい

8ヶ月ぶりに再会した21歳の青年は、自分の未来に向けて、修行の真っ只中にいた。

6ヶ月前に大学を辞め、Webマーケティングの会社に就職。ライティング力、発信力を鍛え、自分の伝えたいことを周りに上手く伝えるための能力を身につけたい、そう思い、この職種に応募した。フリーランスという働き方への憧れもあった。

パソコンに向かって文章を打ちまくり、雛形どおりにセールス用の文面を作成する毎日。次第に、型にはまった文章が気持ち悪い、と感じるようになった。自分の思いどおりに書いた文章を提出すると「自我が強く出過ぎている」と指摘を受けた。周囲からも「だんだん胡散くさくなってきたね・・・」と言われ、自分でも明らかにこの仕事は合っていないな、と実感した。結局、Webマーケティングの仕事は1ヶ月で辞めた。

それから1ヶ月半ほど、近所の銭湯でアルバイトをしながら、もんもんと一人悩む日が続いた。

当初はバリスタとして働こうと思い、知り合いのツテで働き口を紹介してもらったが、経験がないので採用できない、と断られた。中途採用の応募を探し、コミュニティーマネージャーの面接を受けた。採用にはつながらなかった。そもそも興味のあった「食」の世界に関わろうと、飲食業界での仕事も頭を掠めた。しかしそれも、何か違う気がした。

そんな時にアルバイト先の銭湯の主から、仕事を紹介された。「バイタリティあふれる若者はいないか」という先方の依頼に対して、自分を推薦してくれた。ひとまず、どこかで働くことが先決だと感じていたので、二つ返事でOKした。

VTuberの所属する事務所運営や、NFTを扱うゲーム会社のマーケティングの仕事に携わった。少数精鋭のベンチャー企業。周囲は頭のキレる、猛者ばかり。明らかにスピード感が違う、と感じつつも、なんとかついていこうと、3ヶ月、がむしゃらに働いた。
同じミスを繰り返す、報連相が足りない、初動が遅い、成長意欲に乏しい。想像力、ホスピテリティ、気遣いが足りない。
厳しい指摘を受けながらも、自分でも納得することばかりだった。自分なりに指摘を受け止め、改善を図ったが、先週の面談で、上司から最後通告とも取れる指摘を受けた。

求められるレベルに、期待に、自分は到達できるのだろうか。会社のスピード感についていけない自分と、このままもがき、頑張り続けても、ギリギリ及第点をもらえるかどうかの現状しか見えてこない現実に対して、焦りを感じた。このままではヤバい。

一方で、どの会社にいても、結局直面する課題は一緒なのだ、と改めて実感していた。この会社を辞めたとしても、つまるところ自分が向き合うべき課題は、変わらない。今の会社で1日でも長く踏ん張るべきか、新しい会社で心機一転スタートするべきか。心は揺れる。

大学を辞めたことは、後悔していない。今の自分にとって、机上の空論ではなく、実践することが第一なのだ、という意識は、持ち続けている。

組織の中で働くことを経験する中で、「考える」よりもまず「動く」ことが大事だと、日々思い知らされてきた。求められているクオリティに対して、それと同等のアウトプットを出すのは当たり前。それを超えた成果を、スピーディに出せるかが、求められる世界。今の自分には、その工程を全て自分で管理するフリーランスという職業は、まだ難しいと感じた。
今は、まだ。

組織の中に入り、フルタイムで働き、社会の洗礼を受けた彼は、この数ヶ月の出来事を、時折深く考える素振りを交えながら、淡々と語ってくれた。

ベンチャー企業という特殊な世界で、スピード感に圧倒され、自分の能力に限界を感じながらも、その中で自分の課題、そして、今コミットするべきことを見出してきた鈴木さん。私の目には、さまざまな苦悩と葛藤の中で、自分と向き合い続け、しっかりと前を向いて進んでいる、頼もしい青年、として映った。

大学を辞めてから6ヶ月が経ち、2社目に就職した会社も、もしかしたら辞めるかもしれない、という状況の中でも、彼に悲壮感は感じられない。

自分を変えたい、と思う人たちに対して、方向性を照らし、導いてあげられる人になりたい。

その想いは、未来インタビューで話してくれた彼の将来像とも重なる。

マクロとミクロの視点のバランスが大切、と彼は言う。特にマクロの視点、俯瞰して自分や社会を見る視点は、自分のできる領域を広げ、ひいては他人とのコミュニケーション能力を高めることに繋がるという。

自分の感性で感じたことを、他人に言葉で伝えられるようになりたい。自分と真逆の価値観を持つ人たちにも通用する説得力、表現力が欲しい。
周りの人たちに対して、深くアプローチできる力を身につけたい。

そのために、今できること、するべきことを、一つずつ確認し、実行しながら、自分の目指す未来へ向けての階段を、彼は今、一歩ずつ登っている。


この文章は、未来インタビューを受けてくださったお客様に実施する、アフターインタビューの納品としてお渡ししたものです。
ご本人の了解を得て、noteに掲載させていただきました。

実は、彼との未来インタビューは、ちょっとイレギュラーな形で行われまして。私にとっては忘れられないインタビューの一つなのです。

未来インタビューでは、「未来を掘り下げる10の質問」に事前にお答えいただき、その答えをもとに、まずは1-2時間ほど「なりたい未来」を掘り下げます。そして未来の自分を十二分にイメージしていただいてから、残りの30分〜1時間で、○年後の未来の自分になりきってインタビューをするのが基本のやり方。
しかし彼は、この後半のインタビューがうまくいかなかったのです😅

最初の質問を投げかけてから、30秒経ち、1分経ち・・・おそらく3分くらい待ったのではないかと思うのですが、彼は固まったまま。
未来インタビュー史上、初めての出来事。
さすがの私も、ちょっと焦り始めます😱

マズイ。このままでは記事が書けない。
記事が書けないどころか、インタビューすら続行不可能になってしまう・・・。

これはもう、仕切り直しをするしかない、ということで、インタビューは一旦終了。
コーヒーのおかわりを頼みながら、さて、どうしたもんかと思い悩んでいた時に、ふと頭をよぎったことがありました。
彼はそもそも型にはまらないタイプの人。自分の興味あることに次々と挑戦し、社会の枠組みの中で生きることに違和感を感じていた彼。高校と並行してオルタナティブスクールに通ったり、新設の大学の一期生に応募したりと、枠を取っ払ってやりたいことを自由に取り組んできた彼に、私のやり方にあてはめたインタビューは、通用しないのだ、と感じたのです。

そこからは、いつもの形式は無視して、彼の話しやすそうなところを探りながら、未来の話を掘り下げていきました。
そうすると、溢れるようにいろいろな話が出てきたのです。

思えば、この時にはじめて、私自身も、「インタビューは対話なのだ」という経験をしたのだと思います。
雛形はあるけれど、それに囚われ過ぎてはいけない。相手をしっかり見つめ、空気感を読み解きながら、その場に応じて、臨機応変に対応を変えていく。

そんなことを教えてくれた彼と、8ヶ月ぶりの再会。すらっとした細身の体に、ハンサムな顔立ち。そして、ちょっとあどけなさが残る笑顔は、当時のままでした。息子と同年代といってもよいのですが、彼からは不思議な落ち着きと、思慮深さが感じられて、話している体感は、30代の男性、という感じ。それだけ様々な経験を積み、たくさんのことを考えてきたのではないかと思います。

若き彼の未来に、心からのエールを込めて。

Thanks to
Takuya Suzuki

👉鈴木拓哉さんの紹介記事(当時20歳)は、こちらから。

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