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2022年ベストアルバム10選+α

毎年恒例のベストアルバム。2022年は近年にない大充実の一年になりました。相変わらず偏ったセレクトですが、今年繰り返し聴いた新譜アルバムを選びました。本当はもっとたくさん挙げたかったのですが、ギュッと凝縮してアルバム10枚+特別な3枚の合計13枚(13曲)。泣く泣く選から外した作品もあるのですが、そちらは上のジャケット画像でチェックしてみてください。



01. Wax Machine - Hermit's Grove
ブラジル出身で現在は英国を拠点に活動するラウ(Lau)率いるワックス・マシン。冒頭の「Guardians Of Eden」が良いですね。鳥達のさえずりとフルートの導入、ブラジル音楽とジャズ、英国のアシッドフォークが融合したようなナンバーです。



02. Delfina Mancardo - Octante
アルゼンチンのブエノスアイレスで活動する女性SSW、デルフィーナ・マンカルドのデビューアルバム。この「Desandar」という曲を一聴して、このアルバムが素晴らしいものだと確信しました。どこかあどけない歌声とリード楽器を多用した柔らかなアンサンブル。素敵です。



03. Nacho Casado - Disco Bleu
スペインの男性SSW、ナチョ・カサドの三作目のアルバム。ブラジル音楽やソウルミュージックに影響を受けているそうで、過去作品も含めてアナログ盤で愛聴している。この「El Nadador」は、デオダート「Skyscrapers」のベースラインを引用したグルーヴィなナンバー。



04. Bala Desejo - Sim Sim Sim
ブラジルのリオで活動する若き4人組、バーラ・デゼージョのデビュー作です。アナ・フランゴ・エレトリコが共同プロデュースしているそうです。「Baile de Máscaras (Recarnaval)」は、ロジャー・ニコルス「Don't Take Your Time」のような裏打ちを効果的に使った流れるようなサウンド。ジャケットデザイン〜ヴィジュアルも格好良いです。



05. DJ Meme - Som Bacana!
ブラジルで1980〜90年代からクラブDJとして活動しているDJ Meme(Marcello Mansur)。ハウスミュージックや1970年代ダンスクラシックのようなクラブミュージック的なアプローチはもちろん、ジャズやソフトロック的なサウンドの曲もあって、曲のヴァリエーションが心地よい。マルコス・ヴァーリが参加した「Planadores」はソフトロックですね。



06. Fleur - Bouquet Champêtre
オランダの女性シンガー、フルール。ジャケットやルックスからも1960年代後半のフラワームーヴメント〜サイケデリックな雰囲気が漂いますが、サウンドの方も1960年代のガールポップ〜イエイエ的なサウンドです。特に「Le Capharnaüm」はグルーヴィなナンバーで踊れます。



07. Sessa - Estrela Acesa
ブラジルのセッサ(Sérgio Sayeg)の二作目。ブラジル音楽やレゲエ、サイケデリックなどが交錯する摩訶不思議なサウンドは、現代のトロピカリズモとも言えそうです。この「Gostar do Mundo」を始めとしてヴィンテージな質感のサウンドも良い。



08. Mitch & Mitch & con il loro Gruppo Etereofonico - Amore Assoluto Per Ennio 
ポーランドのミッチ&ミッチというグループの新作は、エンニオ・モリコーネのカヴァー集。しかもモリコーネの全盛期ともいえる1960〜70年代の楽曲を中心にカヴァーしている。切ない転調を繰り返す名曲「ある夕食のテーブル - Metti Una Sera A Cena」も取り上げています。



09. Laufey - Everything I Know About Love
女性SSW、レイヴェイのデビュー作。ノスタルジックなサウンドと彼女の低く落ち着いた歌声が好きで、彼女がSNSにアップした映像はほとんどチェックしたと思う。特に「Fragile」というメロウなボサノヴァ曲が好き。



10. シンリズム - Musica Popular Japonesa
今年は日本のアーティストの作品にも良いものがたくさんありました。シンリズムさんの新作はブラジルの1970-90年代あたりのポピュラー音楽の影響を受けているようで、特に「Lady」という曲はブリージンで切ないメロディの佳曲でした。



ここまでは純粋に今年愛聴したアルバム10選ですが、ここからは特別編。今年はWebのレビュー記事やCDライナーノーツを書く機会があり、ここに挙げた3枚は繰り返し聴いて思い入れもあるアルバムです。



11. 古川 麦 - Xin
「Green Turquoise」という曲を聴いて以来、古川 麦さんの音楽を愛聴している。本作は3枚目のアルバムで、「Xin - 手紙」がテーマとなっている。「Vacilando」はブラジリアンリズムが心地よいナンバーで、上で挙げたシンリズムさんも参加している。



12. Caity Gyorgy - Featuring
カナダの女性ジャズヴォーカリスト、ケイティ・ジョージ。日本盤CDのライナーノーツを書きました。楽曲毎に異なるゲストミュージシャンをフィーチャーしている。「It Might as Well Be Spring」はブラジリアンリズムにアレンジされていて、まさに春の如く軽やかなナンバーです。

noteに彼女のキャリアをまとめた特集記事も書きました。



13. Sunaga T Experience - Re Blue
最後はこちら、須永辰緒さんの新作CDのライナーノーツを書かせていただきました。ジョニ・ミッチェルの大名盤『Blue』をまるごとカヴァーした大胆なコンセプトアルバム。「All I Want」の冒頭、じゃーんと音が鳴ったのを初めて聴いたときは鳥肌が立ちましたね。

noteに『Blue』のカヴァー曲の特集記事を書きました。



以上、2022年のベストアルバムでした。2022年は音楽家の訃報が多かった。僕の好きな1960〜70年代に活躍していたアーティストが亡くなるたびに悲しい思いをしましたが、当時から50年も経っているわけで、まぁ仕方がないことではありますね。でも、彼らの撒いた音楽の種は確実に新しい世代に受け継がれていて、今回のセレクトにも先人から受け継がれた音楽のスピリッツが含まれていると感じています。
2022年12月25日 ワタナベトオル(pwm)



(おまけの1曲は日本語で歌われるあの曲)

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