ブルシットジョブ クソどうでもいい仕事の理論

デビッド・グレーバー著 「ブルシットジョブ クソどうでもいい仕事の理論」を紹介します。

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会社員時代、若い頃、給料以上の働きをすることが働く上での自分の安定性、スキルアップにつながると考えていた。
会社のお荷物になるのではなく、掛け替えの効かない稼ぎをすることが自分の存在価値につながると思っていた。
しかし、50歳になる頃管理職だったが、メールは1日に300通も来るし、「コンプライアンス」という名の下に、製品の出荷にかかる承認、値引きにかかる承認、部下の勤怠承認、エンジニアなど他の部署への依頼の承認、誰かがミスをした時の言い訳の書類の承認や、回収した発注書がシャチハタ印でも良いかどうかの根回し、実績計上の書類の承認、また、何か費用が発生する場合の稟議書起案、またその承認者への事前ネゴなど、責任の所在を明確化するだけの仕事にかかかる時間が膨大だった。本来の営業活動(ビジネスアイデアを考え、顧客と面談する時間)がほとんど取れない状態で、とても価値を生んでいると思えない仕事に埋め尽くされていた。
その承認行為自体は責任の所在を判断するスキルが必要なため、掛け替えが効きにくい面はあるが、価値を生んでいるかというと、甚だ疑問であった。
その疑問に応えてくれる書籍が「ブルシットジョブ クソどうでもいい仕事の理論」だった。
デヴィッド・グレーバーはイェール大学の人類学者で、価値の理論の研究者であり、2011年の「ウォール街を占拠せよ」活動で指導的な立場だったと言われる人物。(2020年9月に亡くなっていたことを最近知った)
「ブルシットジョブ」では下記のテーマで、数多くの証言や分析から、本当に価値のある仕事への転換に向けた気づきを起こそうと試みた本だ。

・なぜ、やりがいを感じずに働く人が多いのか。
・なぜ、ムダで無意味な仕事が増えているのか。
・なぜ、社会のためになる職業ほど給料が低いのか。

そもそも社会的にさほど重要と思われない仕事、やっている本人でさえ意味がないと感じている高給取りの仕事などが、広告業、コンサルタント業、金融業を中心に近年急速に増えていると指摘しています。
さまざまな職業の人の証言に加えて、資本主義での「労働」の観念の起源から考察し、本当に価値ある仕事とは何か再考しよう、と問題提起しています。
仕事のやりがいに対しての疑問は、自分だけが感じていたわけではなかったのか、と勇気づけられる本でした。
お薦めします。

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