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お手紙

拝啓 朝の空気に秋の匂いが混じるようになった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。
「手紙をください」と言ってくださってから、ひと月あまり経ってしまったことをお許しください。
もうすぐ今年も終わってしまいますが、この1年のあいだ私の頭の中を占めていたのは、春よりも少し前に終わった、とある人との恋でした。
密かに憧れの情を抱いていたあなたに、どんなお手紙を書こうかと悩みましたが、やはり今書きたいこと、聞いてほしいことを書くことに決めました。
平凡な表現ですが、今までの人生で1番愛していた人に、実は長らく付き合っている恋人が居たのです。世間で言う「二股」であり、私は「本命ではない方」でした。
彼への失望よりも先に、私を苦しめたのは劣等感でした。「どこがいけなかったんだろう」と考えては、本命の彼女と比較して落ち込み、あっという間に自信をまるっきり失ってしまいました。
最近では少しずつ少しずつ、取り戻してきたものの、雨の日やなんとなく外が暗い日には、また0に戻ってしまうのです。
劣等感は悪いものではないと思いつつ、向き合い方が分からずにいます。貴方は「劣等感」というものをどのようにお考えで、今まで向き合ってこられましたか。私も向田邦子と茨木のり子が大好きなので、そのお話もしたかったのですが、今回は私個人の話となってしまい、ごめんなさい。
お返事はいつでも、手書きでなくても、気が向いたらいただけますと幸いです。
ほんのしおり

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