ほんのしおり

ひとりごちて かかにゃあパンクしちまうよ

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最近の記事

母の顔

今年で還暦を迎える母の顔がとても美しく見える。 小さい頃、母親が洗面台でお化粧をするのを側で羨ましくみていると、母は「ほら、綺麗なお母さんの出来上がり」とメイク終わりに茶目っ気たっぷりに言うのであった。 思えば、保育園や小学校低学年くらいの頃は 私の脳内に容貌の美醜の判断は、まだ存在していなかったように思う。 母親が、決して世間で言う美人ではないと気付いたのは、小学校高学年だった。 法事で母方の親戚が集まったとき「ほら、私綺麗だから」や「私細いから」と母が言って、 周りの叔

    • お手紙

      拝啓 お返事が遅くなり、ごめんなさい。 手書きで返してくださった優しさに、私も手書きでお応えしたかったのに、とうとうお気に入りの手紙屋さんへ足を運ぶことが出来ないまま、冬を迎えてしまいました。 あなたからのお返事、宝物のようです。 向田邦子の何かの本で読んだ、 「心のなかが白湯を飲んだようにポカポカとあたたかくなる」という一文が心に浮かびながら、 あなたからのお手紙を何度も何度も読み返しました。 あなたは、孤独と愛を生涯描き続けた女性として、フランソワーズ・サガンの名

      • お手紙

        拝啓 朝の空気に秋の匂いが混じるようになった今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。 「手紙をください」と言ってくださってから、ひと月あまり経ってしまったことをお許しください。 もうすぐ今年も終わってしまいますが、この1年のあいだ私の頭の中を占めていたのは、春よりも少し前に終わった、とある人との恋でした。 密かに憧れの情を抱いていたあなたに、どんなお手紙を書こうかと悩みましたが、やはり今書きたいこと、聞いてほしいことを書くことに決めました。 平凡な表現ですが、今までの人生で1番

        • 泣きながらご飯を食べるということ

          悔しい。 やっぱりどう考えても悔しい。 あれもこれも、あまりに悔しくてたまらないときには食欲も失せてただひたすらに泣いてしまう。 二股のショックに1日1食しか食べられなくなっていた私に 「払っておくから夕飯も食べなさい」と言って ランチもウィンナコーヒーも奢ってくれた上司の優しさに「今日こそは食べよう」と決意した。 帰りの電車に揺られながら、自分のために何を作ってあげようかと考えているとなんだかなんでも食べられそうな気がしていた。 だけどいざ帰宅すると、暗い部屋にポツ

          縁なんてもの

          スピリチュアルなことはあまり信じていない。 かといって跳ねつけるわけでもなく、 あまり飲み込まれないように距離をとっていると言った方が正直なところである。 だけど、つくづく縁のある人だなあと思わざるをえない人はちらほらいる。 ひょっとして前世で何か特別な関係だったんじゃないの?と思うような人に男女問わず出会ってきた。 例えば、親友のこと。 大学入学後の履修説明会で ふと目に留まった最前列の女の子だった。 おっきな講堂に、文学部の1年生が敷き詰められて 高校からの知り合いを

          縁なんてもの

          愛想いつのまにか落としてた

          私いつのまに愛想、落としたんだろう。 最近ニコニコできなくなっている。 小さいころから「おっとりしている」と 先生や友達から言われてきて 恋人にも「真顔をみたことがない」と 言われてきた私が どうやら最近真顔でいるらしい。 自分でも「あ、今顔が硬直している」とわかるようになった。 人と話している時に真顔でいることなんて今までの私なら考えられなかった。 なのに、最近は極力ニコニコしないでおこうとすら思っている。 たぶん、疲れたんだろう。人間関係に。 ニコニコしていると軽んじ

          愛想いつのまにか落としてた

          失恋は私の責任だ

          少しずつ、少しずつ認められるようになってきたこと。 失恋は私の責任だということ。 自分を責めるつもりは全くないのだけれど よくよく考えてみたら、失恋って誰のせいでもなく私の責任であって、 私とあの人の2人のストーリーなのだと気付いた。 いや、きっとずっと前から気付いていたのだけど 長い間認められなかった。 自分に非があると認めることは 「こうありたい」という理想の高い人間には 何よりも辛く苦しいことだから。 思い返してみると あの人がよく言っていた言葉があった。 「

          失恋は私の責任だ

          失恋後は花びら占いのようで

          別れてから1年以上経つけれど 小さいころよくやったお花の占いみたいに 「ありがとう」の花びらと「許せない」の花びらが日々交互に散っていくのは変わらずで その日のお天気だったり自分のホルモンバランスだったりがなかなか安定させてくれないみたい 今日は「ありがとう」のターン 出会えたことにありがとう こんなに好きになれたことにありがとう あのときあんな言葉をくれてありがとう って 「ありがとう」のターンなのに 鼻の奥がツーンとする時もある 「許せない」のターンなのに 胸の辺り

          失恋後は花びら占いのようで

          ない感性を羨む

          私の好きなもの 今のわたしを構成する愛しき武器たち 私の感性 感性に善し悪しはないのだから自信を持つなんてことはおかしなことのような気もするけれど 自分の好きなところを聴かれれば 私は何より自分の感性が好きだ 小さい頃から国語だけがずば抜けて得意だった私らしい感性 アイデンティティの最たるもの だけど時々、わたしには無い感性のある人を 羨むときがある なんならちょっぴり恨んでもいるかもしれない 恋人に長らく付き合っている 本命がいることを知ったとき 何よりも傷ついたのは

          ない感性を羨む