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リプトンで

私は関西の田舎の方の出身です。大学から東京で生活することになったのですが、東京に来てから1週間程度で東京弁をこなすようになり、いっぱしのシティーボーイとして田舎臭さを消して青春を謳歌していました。
ある日、クラスメイトの横浜の女の子と渋谷の喫茶店に入ったとき、紅茶のことで衝撃を受けたことを今でも覚えています。
当時、紅茶と言えば日東紅茶かリプトン。もうティーバッグが主流の時代でした。そんな中、高級な紅茶としてデビューしてきたのがトワイニング。他にも何社かあったようですが、私の中では日東とリプトンは同じランクでトワイニング他はちょっと格上の高級なイメージでした。
さて、喫茶店でボーイが注文をとりにきます。私は「アイスコーヒー」、もちろん関西では当たり前の「レイコー」が東京では通じないことはすでに知っていましたから余裕のオーダーです。
一方、彼女は「レモンティー、リプトンで」とさりげなく言いました。その瞬間、私はガツーンと頭を打たれたような衝撃を受けたのです。洗練されたファッションに身をつつみ、おしゃれな街横浜で育った女子大生の放った一言が「リプトンで」。その素敵な言葉の響で私の中の「リプトン」の格がぐーんとあがったのです。
「リプトンって女子大生にとっておしゃれな紅茶なんだ」。「レイコー」が通じなかったことより、びっくりした都会での出来事でした。
それ以来ずっと私の中でリプトンはおしゃれな紅茶という思いは変わりません。長く東京にいても都会への畏敬は変わらず。やっぱり未だに根は田舎もんなんでしょうね。

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