「wemoペン」のレビュー 〜製造元はアソコ!?〜

軽ーく書くつもりが、脱線してるうちに結構長くなっちゃった感

※この記事では一応、製造元について目星をつけておきましたが、確証はないため、個人の感想としてお受け止めください。

さぁさぁ、来ましたよ「wemoペン」がねぇ!

Wemoファンというよりボールペンファンとして、この奇抜なデザインはイロモノ的興味を魅く。wemoというものの特性上、ネットーリした昔ながらの油性インクが求められるんだがそれを見事満たしてきてるネ。

構造は単純。ただ、出てるペン先を引っ張るだけで引っこ抜けてしまう仕様なので、そこは多少不安を感じる。そんなにキツキツじゃないので、実際、これを弄くり回しながら路上歩いてたらいつの間にかリフィルどっかいってて、夜道を這いながら探し戻った(幸いすぐ見つかった)。

まぁ、ホームページに書いてない内容をお伝えしましょう。

上:ステンレス

このボールペン、チップがなんと珍しいことに洋白のようなんだよね。フランスのBICやドイツのシュナイダーの一部製品とかは真鍮製だから色ですぐ見分けがつくけど、洋白はいわゆる「500円玉色」。よ〜く見ると、現在圧倒的主流なステンレスチップとの違いがわかる。


あるいは、磁石を近づけてもよい。

ボールはステンレスなどの鉄系素材のほかに、「超硬」も使われるが、両方磁石に反応するので、超強力磁石を近づけると先端がほんの少し振れる。ただチップ(ここではボールの台座、という意味で使ってる)が反応してる時のそれとは明らかに異なる。

洋白をチップとして使ってるメーカーは、今はそんなに多くないと思うんだけど、そういうのは調べても出てこない。Wemo側が自社ブランドで専用ペンを作ろう、となったときに、必ずしも国内の大手メーカーに依頼してるとは限らないんだけど、とりあえず、今手元にあるのでいうと、プラチナ万年筆とOHTO、そしてサクラクレパスには、洋白を使った現行品がある。


ただ、ざっとホームページをみてみたところ、そこに載ってるのでチップが洋白であると明言されてるのは”BSP-400M”なる製品だけのようだ。とは言えしかし、プラチナ万年筆は昔から、ダイソーなどの100円ショップで、ホームページに載ってないような「闇ペン」を売っており、最近は比較的新しいパッケージのものも増えてる。

そういうのの中には、確認できただけで「ノックボール」とかエアーグリップナントカとか、低粘度油性のアルミ軸のやつとか、洋白チップのものも多い。ただ、ゲルインクの「ゲルローラー」「エーペンゲル」はステンレスと思われるチップだった。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/73/1/73_1_23/_pdf/-char/en

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/73/1/73_1_23/_pdf/-char/en

油性インクと水性インクでは、求められるチップの耐久性が異なってくるという話がある。事実、超低粘度油性インクの「ジェットストリーム」開発時にも、チップ云々で苦労したというエピソードがあるみたいだし。

そんな風に、同一メーカー内でもチップ素材を使い分けるという話は、ないわけではないということね。



OHTOは、「油性ソフトインク」や「ふでボール」など洋白チップが多いようだが、“C-300”系はステンレスの模様。ただし、OHTOの油性といったら基本的にはニードルチップがウリ。今回は砲弾チップだしなぁ。


サクラは、「ノックスボール」、ノック式の「ボールサインノック」や「ボールサインNX」ではステンレス、「レトリコボール」やキャップ式の「ボールサイン」では洋白……と思ったらなんと!驚くことにキャップ式「ボールサイン」の0.6では洋白で、0.4ではステンレスだったのだ!ずっと使ってきたけど気づかなかったこのトリビア!これには感動した!


この機会にチップ材質の分布を再確認できてヨカッタ!!


あと、海外製品についても見てみたけど、BICの「アトランティスイグザクト」やインドHAUSER社(実質ダイソーのブランド?)の低粘度油性ボールペンは、洋白らしきチップだったね。海外には「パーカー芯」「ゴリアテ芯」など、超筆記距離の油性リフィルも多いので、そういうのは必然的にステンレスチップになるのだね。リフィルのボディ自体は洋白あるいはなんらかの銅合金でできてて、先端のほんの一部だけステンレス、とかいうケースが結局多いってのも今回初めて知れた。

あとは、ダイソーでまとめ売られてるいかにもチープって感じの多色ボールペン2種の先端に洋白チップを発見したが、そんなダイソーでもやはりステンレスチップがほとんどよ。


困って、一応クロマトグラフィーのようなコトをしてみた。エタノールしか手元にないからそれを使った。東洋アドバンテックのNo.50Aで60分。「紫と黄」の色素を検出。

過去に色んなメーカーでやってみたからわかるが、これは中粘度油性ボールペンで「黒」を作るときには、多分ごくごく一般的な組み合わせなのよ。油性はね、水性インクに比べてあんまり個性が出なくて面白くないの。低粘度になってくると、トンボ鉛筆の「黄と赤と青」やぺんてるの「紫と黄とピンクとオレンジと青」などのように多少面白みが出てくる。あくまで分離の一例だけどね。ただし、パイロットに関しては中粘度からアクロインキまで大枠は「黄と赤と青」で変わらない。つまりさすがに今回パイロットのインクではないだろうと思う。


さてさて、じゃあ俺は「wemoペン」リフィルの製造元の本命がどこだと思うのか?うーむ答えづらいし断言なんかできるわけないよねぇ。だって、俺は全種類のボールペンのチップを調べたわけじゃないから、このメーカーはステンレスチップしか作っておりません!なんて悪魔の証明はできないでしょう。しかも全然名も知らんメーカーから引っ張ってくるってこともあるんじゃないの、その辺の事情も知らんし。

でもでも強いて、強いに強いて言うんであれば、「プラチナ万年筆」さんかなぁ。

というのも、この「wemoペン」の芯、品番なのかようわからんチッコい数字が4桁、端っこに書いてありましてね。”2202“とのこと。そして、この類の表記、「プラチナ万年筆のボールペン替芯あるある」なのよ。俺が持ってるこの会社のペン類全部に、そこそこ近い数字が書いてあって、予想だけどこれは「製造年の下2桁と製造月」なんじゃないのかなぁ、買った時期も大体この順番通りだし、そう考えるとなかなか説明がつく。そうすると、「wemoペン」は少なくとも今年2月時点では製造が決まっていたということなのか、というオツリの推測もついてきちゃう。状況証拠としてはなかなかのもんだろう。

まぁ、ここらへんのことは問い合わせてみても絶対教えてくれないでしょうがね。

ちなみに、これまで買ったボールペン、流石に全部は使いきれないので、親の職場なんかにちょくちょく持ってってもらってるからね。SDGsよ。

↓参考までに、かなり昔にやった油性インクの色素分離。かなり大量にやる必要があったので、ダイソーのエタノール除菌液+コーヒーフィルターで代用したので、正確性はかなり劣る。条件もかなり曖昧である。あくまで、どの色とどの色で構成されているかをみるものである。

ちなみに、不溶部分(顔料?)の色から、三菱鉛筆の油性インクはそれぞれ別物だと分かる。(現在の“BOXY”に使われているのと「ベリー楽インク」は同じものだとだいぶ前回答をいただいた)。

なお、トンボ鉛筆の超低粘度系3種の色素分布は類似してるようにも思えるが、それぞれ別物らしいので、あくまで「色」に関する違いしか分からないということを改めて留意してほしい。「明らかに異なるもの」は判別できるが、「同じもの」は判別できない。

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