例の大変な事態は続いているので相変わらず家は強制退去になっていて、AirBnBで近所で借りた仮住まいに滞在している。ありがたいことに、本来の家よりちょっとステータスの高い表面がツルツルしたマンションの一室なので、むしろ暮らしやすい。子供が三人もいるし、普段家が狭すぎて私はリビングのソファで寝ている、つまりベッドがないのだが、今の仮住まいはキングベッドとクイーンベッドがあるので、長男と次男がキングで寝ても多少余裕があって、ちゃんと寝れる。久しく、ちゃんとベッドで寝るのは出張中の特別なご褒美的な感じになっていたので、ありがたい。
あと、建物の玄関がホワイトチョコレートの匂いがして、すごくいい。

トラブルシューティングの続きをやりつつ、午前中は嫁が歯根治療というか、虫歯の神経を抜くやつ（英語だと、Root Canalという）をやる日だったので、仮住まいで娘と二人で過ごすことになった。彼女は二歳半だがまだ乳離れしていないので、結構珍しい。仕事をしながら娘と遊んだり、ミルクをあげたりしているうちに、なんかここしばらくの出張移動生活の疲れなのか、ふわっと脱力してしまって、動きたくなくなってしまった。

結局嫁の治療が長引いたので、久々にニューヨークのオフィスに出社できたのが３時過ぎになってしまって、そこからガッと仕事脳に切り替えてやることはやったが、そろそろ家でゴロゴロしながら出張中に見逃した「まんぷく」を一気見するとかをやらないといけないと思う。

海外では日本のテレビなど見れないと思う方は多いかもしれないが、アメリカには「テレビジャパン」という日本語専門ケーブルチャンネルが存在し、だいたいNHK系の番組を流している。これは、現地の文化に馴染みたい日本人には毒とも言える危ないチャンネルで、テレビジャパンをつけておくとその半径３メートル以内は日本化されて、アメリカに住んでいる意味とかがそこそこ無効化される。

https://tvjapan.net/

とはいえ、アメリカの公立学校に行く子どもたちはより日本語に触れたほうが良いし、我が家はだいたいテレビジャパンを流している。たまにNHK以外のものが放送されることもあるが、日本での放送より３年くらい遅れることがある。
たとえば、土曜日の夕方には仮面ライダーシリーズを放送するのだが、いま放送しているのは2014年の仮面ライダードライブだ。竹内涼真くんが初々しいというか、わりと大根気味な演技で仮面ライダーを演じている。
移住直前に日本で、「劇的ビフォーアフター」を観ていたのだが、たまたまその回が２本立てで、「いかにその家が汚くて終わっててリフォームが必要か」を説明して匠が登場したところで「続きは来週！」ってなってしまって、「来週移住してるから見れねえよ！」と吐き捨てて移住した。
ところが移住３年後にテレビジャパンで３年前の「劇的ビフォーアフター」が放送され、３年越しで続きを観ることができた、なんていうこともあった。

しかしこのテレビジャパンは、唯一の日本語チャンネルであるから、日本語の放送を観たい場合は唯一の選択肢となる。つまり、番組がひどくても、チャンネルを変えられないのだ（CNNでも観てろ、といえばそれはそうなのだけど）。

ゆえに、朝ドラとか大河ドラマが面白いかどうかというのは、アメリカ在住のテレビジャパンユーザーにとっては生活レベルの重大な問題だ。特に朝は時計代わりにも使うから、朝ドラがひどいドラマでも、逃げることができない。

そういう意味でいうと、今の「まんぷく」は、とても素晴らしいドラマだと思う。普通に毎日楽しみなレベルで面白い。こういう朝ドラは良い。「ひよっこ」以来の当たりだと思うが、「ひよっこ」と「まんぷく」の間には２つ挟まっているから、つまり丸１年も、辛い朝ドラ生活が続いたことになる。

とりわけ、前作の「半分、青い。」は、自分にとっては「つまらない」というレベルを超えて不快でしかなかったので（作り手側の「どうです？ 面白いでしょう？ 面白いでしょう？」的な態度が垣間見える一方的な展開と、全く共感できない主人公と）、さすがにたまに見てらんなくて消したりしていた。あのレベルになると仕事に影響が出る。

実は、この日記を始めるまで、こういう「なぜお前はアメリカに住んでるのに朝ドラを見ているんだ」的なコンテクストを説明しづらいのと、アメリカに住んでいるのにアメリカの番組を見ていないという格好悪さがあって、あまり朝ドラを見ていることをカミングアウトできていなかった。

しかし、アメリカに住んでいるからこそ、朝ドラというのは重いものなのだ。我々は、朝ドラがつまらないからといって、「とくダネ！」とか「スッキリ」に変えることはできない。

そんな中、やや辛かった「西郷どん」が終わった。大河ドラマに関してはさらに言いたいことがたくさんあるので、またそのうち書くはず。