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0222「バキバキ言い出したら週末」

朝から英語ばかりしゃべっている。アメリカに住んでいるので仕方ないのだが、英語ってわりと口を一生懸命動かさないといけない言語なので、顎まわりが痛くなってきた。たとえば、「木」の「Wood」とか、相当大げさに口を突き出して「ゥウーー」って言わないとあんまり通じない。日本人としては「なんでこんな顔しなきゃいけないんだろう」的なひょっとこ状態まで口をチュー型にしないとわかってもらえなかったりする。

私にとって最もやばい単語って「サラダ」=「Salad」で、これはもう全然通じるようにならなくて、超苦労した。もちろん普通に「サラダ」なんて言っても全くわかってもらえない。いろいろ工夫して「セァーラダ」とか「スァーリド」とか英語っぽくして発音をしても毎回「はい?」って言われてしまう。

移住して数年間というもの、こんな調子で「サラダの壁」にぶち当たり続けて数年して、小学校で英語(つまりこっちの国語)の先生をしているというアメリカ男性に出会って、「どうすればちゃんとサラダって言えるんだ泣?」と泣きついたところ、すごいソリューションを教えてくれた。

「サラダっていうときは、『Salad』って言いながら顔を苦そうにしかめるんだ」

と言うのだ。

言っていることの意味が全然わからなかったんだが、「Salad」の「Sa」でちょい延ばすところで思いっきり苦そうな顔をしてそれを元の顔に戻す勢いで「lad」の部分を吐き出す、という顔面運動と一緒に発音すると、なんだかわからないがまじで「Salad」が通じることがわかった。

結構すごいのが、英語版のSiriなんかも、これらのやり方で発音しないとちゃんと認識してくれないことで、カメラで表情見てるんじゃないの? くらいに思ったりする。

さっきの「Wood」といい、表情筋で発音するとうまくいく場合というのがあって、日本人からするとちくしょう無駄なカロリー使わせやがって、と思うが、結構これは実際子供の顔とかに影響しているのではないかなと思う。たとえば、日本で育った日本人の子供とアメリカで育った日本人の子供って、なぜかわからないけど、結構パッと見の印象で区別がつく。これはたぶん、普段使っている言語に求められる表情筋の使い方に影響されているのではないか。

で、そんなわけで顎まわりが痛くなってきたのだが、さらに悪いことに、数ヶ月前から顎関節症みたいのがひどくなっていて、口を開けると右側の顎のジョイントがバキバキ鳴るようになっていて、英語しゃべってるとめっちゃ顎がバキバキ言ってすごいうるさい。

「Currently I’m wor(バキバキ)king for new pro(バキバキ)ject which is exc(バキバキ)iting.」

みたいな感じで、たぶん相手にはあんまり聞こえていないが、しゃべっている自分自身には骨伝導で常にバキバキバキバキ言っている。口を大きく開くタイミングでバキバキ言う。

ただ、実はこの「バキバキ」はいつも鳴っているわけではなく、これが鳴っているということは自分がどちらかというと良い英語をしゃべっているサインでもありつつ、同時に「週末が近づいている」ということも示唆している。

何を言っているのかわからないかもしれないが、私の英語力は月曜日の朝に最低になり、金曜日の夜に最高になるのだ。なぜかというと、週末は基本的に全員日本人であるところの家族と日本語でしかしゃべらないので、週末が終わった月曜日の朝は、完全に顎のセットアップが日本語になっているのだ。で、ウィークデーに英語で仕事をした後の金曜日の夜に向けて、セットアップが英語に変わっていく。で、水曜を過ぎたあたりから徐々に顎がバキバキ鳴り出す。で、今日は金曜日なのでバッキバキだったのだ。で、明日からの土日でまたリセットされて、Japanglish野郎に戻ることになる。

昔から、ネイティブの彼氏/彼女・配偶者がいて一緒に住むのが一番英語がうまくなる、というが、それは間違いなくて、つまり週末でもうちのようなリセットがないので、英語力が果てしなく上がり続けるということでもあるし正しいと思う。

ただ、今の私がその状況になったら、顎がバキバキどころか外れて壊れると思うので、今の週末日本語生活がちょうど良いように思う。

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