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0225「不屈とは何か」

実は今日も昨日に引き続き絶対に成功するビジネスのアイデアを思いついたので、それについて書こうと思ったのだが、それについて書こうとしたら私が愛してやまないボードゲームであるバックギャモンについての話題から離れられなくなってしまい、読み返さなくても散逸感に満ちた文章になったので、珍しく一回捨ててバックギャモンについて書く。普段日記には30分以上かけず、20分の技術勉強と一緒にしてガーッとやるようにしているのだが、今日はもう一度バックギャモンで書き直す。

バックギャモンというのは、よく携帯用のチェス盤がリバーシブルになっていて裏が三角のギザギザが書いてあるバックギャモン盤になっていたりするので、多くの人が見たことくらいはあるだろうが、日本の方の場合、多くの人がルールを知らないはずだ。大まかにいうと、要するにバックギャモンとは「多数駒折返しブロックすごろく」であり、自分が持っている15個のチェッカーをすべてゴールさせたほうが勝ち、その間に1つのマスに2つ以上同じ色のチェッカーが置かれたらそこは通過できない、みたいなちょっとしたルールがある「すごろく」である。細かいルールはここで私が説明するのもあれなので、Wikipediaで良いと思う。

バックギャモンの何が素晴らしいかというと、運と技術と努力みたいなものの配合が、人生に似ているところが素晴らしい。サイコロのゲームなので、運はある。しかし、不運に見舞われてもそれを技術と経験の力でひっくり返すこともできるし、諦めないで食い下がっていたら逆転する、なんていうこともある。シンプルな盤面に、見たことがない局面がどんどん登場し、都度都度判断を求められる。人生は判断の連続だ。そして、判断を封じられてしまうような苦しい状態もある。順風満帆に進めていたらいきなり落とし穴にはまることもある。この絶妙な配合が多くの人を魅了し、魔境に引きずり込む。

私がドハマりしたのはニューヨークに移住してきてからで、ニューヨークの公園では、5月くらいになるとたくさんの人々が公園のテーブルにチェス盤かバックギャモン盤を広げて、昼下がりを楽しんでいる。私は最初、その所作に魅了された。公園でバックギャモンをやっている人を観ていて、チェッカーをパッパッと動かしていくプレイヤーの動きが、なんかかっこよくて、興味を持った。そして、奴らはいたく楽しそうだった。そして始めてみたら、今まで遊んでいたどんなゲームよりも面白く、麻薬的だった。これほど自分に影響を与えたゲームは、「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」以来だったと思う。何度やっても「くそ、面白いな」と思う。

あまりに好きすぎて、会社のウェブサイトをつくっているときに、血迷って全く関係のない業務紹介ページにバックギャモン盤の画像を入れたほどだ。「実現力・技術力の「投資」事業」とバックギャモンにはどう考えても何も関連性がない。

バックギャモンのことを考えていて、トッププレイヤーの最近のインタビューをちょっとググってみたら、とても大事な記事に遭遇してしまった、というのもこの日記を書き直しているもう1つの理由だ。その記事とはこれだ。バックギャモンを嗜む者として、矢澤亜希子さんの名前を知らない人間はいない。私ももちろん彼女の半生についていろんな記事等を通して知っていたつもりだったが、こうして通しで読んでみて、正直、圧倒された。

我が国日本は、意外にもこのバックギャモンで3人の世界チャンピオンを輩出している。

矢澤亜希子さんは、2014年と2018年に、2度もバックギャモンの世界チャンピオンに輝いていて、これは、全世界の女性バックギャモンプレイヤーで初である。男性含めても3人目。つまり、いま現在ディフェンディングチャンピオンだ。末期寸前の子宮体がんを克服してここに至った「不屈の人」である。

これは、見方によっては大坂なおみ選手よりすごい話だ。世界のテニス人口は1億1000万人らしいが、世界のバックギャモン人口は驚くなかれ、3億人である。しかも、この「世界チャンピオン」というのは年に1人しかいない。そして、男女ひっくるめた総合チャンピオンなのだ。ちょっとバックギャモンをやってみると、これがいかにとんでもないことかわかる。ちなみに私は一度ニューヨーク在住の世界ランク20位のプレイヤーと対戦させて頂いたことがあるが粉も残らないくらいボッコボコにされた。

このインタビューでは、そんな矢澤さんの「不屈」の半生が語られている。内容は是非お読み頂きたいが、ここに描かれているのは、バックギャモンそのものだ。余命を宣告された矢澤さんの心境は、クローズアウトを食らって、相手がブロットをつくる万に一つのチャンスを狙うような状況だったのではないか。本来、ボードゲームなどに重ねてはいけない状況だが、この場合、むしろボードゲームに重ねるべきだ。

努力しても報われないことはたくさんありますが、自分の選択で最善の道を選ぶことができるのです

これは、バックギャモンをやっていると一番身にしみることで、それがまさに、前述の通りバックギャモンと人生の配合が似ているという所以でもある。私たちは、明日も明後日もサイコロを振ってチェッカーを進めなくてはならない。サイコロの目は何が出るかわからないが、チェッカーをどう進めるかは自分で決めるのだ。

全然言ってることがよくわからないかもしれないが、ちょっとルールを知ったら必ずわかるので、全員バックギャモンを始めるべきだ。

今日思いついた絶対成功しそうなビジネスに関しては、明日書く。明日もバックギャモンについて書いてしまう可能性があるが、たぶん書く。

みんなにも読んでほしいですか?

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